[CML 025225] 【北海道新聞】激化するヘイトスピーチ

泥憲和 n.doro at himesou.jp
2013年 7月 3日 (水) 10:21:00 JST


激化するヘイトスピーチ
存在感増す反対派 刺激に
経済的不遇で社会に反感
2013.07.01 
北海道新聞朝刊全道 13頁 朝文
 (全1,485字) 

 「韓流の街」とされる東京・新大久保などで在日韓国・朝鮮人らを罵倒し、挑発するデモが社会問題化している。反対派と衝突し逮捕者を出す騒動も起きた。聞くに堪えない差別語を吐き散らすヘイトスピーチ(憎悪発言)が一定の支持を受け、勢いを増している背景には何があるのか。

 「殺せ!」「たたき出せ!」。日曜の観光地に不穏な罵声が響いた。「在日特権を許さない市民の会(在特会)」などが主導した6月16日の新大久保デモは、約200人が日章旗を掲げ行進。「レイシスト(人種差別主義者)をしばき隊」などの反対派約350人も「帰れ!」と応戦し、乱闘騒ぎで計8人が逮捕された。

■鈍い地元反応

 JR大久保駅周辺で反対署名を集めていた在日3世の弁理士・金展克さんは、2月にデモの存在を知った。「38歳の今まで差別と無縁で、初めてネット動画を見た時は戦慄(せんりつ)しました。『死ね』と言われたのは、ほかでもない自分だと感じた」

 社会運動も縁遠かったが、意を決して「しばき隊」に合流。だがメンバーに在日コリアンはいなかった。「マイノリティーは無難に」といった同胞社会の「経験知」に加え、韓流ブーム後に来日した「ニューカマー」も多く、当事者のはずの地元の反応は鈍かった。

 試行錯誤の末、警察にデモ排除を求める署名活動を始め、約3カ月で1万数千人分が集まった。「外国人差別を禁止する法律制定を国に求める動きも出てきたようですが、私はまず目の前のぼやを消したい。この街にデモがある限り、国全体のことは考えられません」

■思想信条なし

 在特会は全国各地で同様のデモを展開。公式ウェブサイトによると、結成は2006年末で、会員は1万3千人以上いるが、実数は不明だ。新大久保や大阪・鶴橋のコリアンタウンに活動の重点を移したのは今年に入ってから。著書「ネットと愛国」で実態に迫ったジャーナリスト安田浩一さんは「リアルな反対派が現場に現れたのが火種になった」と解説する。

 「匿名なら何でもあり」というネット右翼の作法を路上に持ち出した同会を「思想信条はないも同然。目立ちたいだけ」と分析。過激化への反発から昨年は活動が停滞したが、「極左から右まで」幅広い層を集めて存在感を増す反対派に刺激され、注目度の高い街で巻き返しに出たとみる。

 「身近でネタに困らない韓国関係が攻撃対象になっているが、原動力は社会、経済的に努力が報われていないという思い。戦後社会の基盤だった民主主義や、それを支える知識人、メディアへの反感は、ネット界に限らず相当数の人々が共有しているのではないか」

 「明快な『諸悪の根源』を設定し、強烈な感情論でこき下ろす。そうすると運動が締まる。若いころは僕も、今の憲法に全て押しつけ同じことをしてました」と言うのは、新右翼団体「一水会」顧問の鈴木邦男さんだ。

■日本人が劣化

 全共闘に鍛えられ、三島由紀夫や福田恒存ら右派知識人に学んだ後は、冷静な言論戦に路線を変更。「在特会の動きも、反対派と論戦させれば止められる。どんなに醜悪な『便所の落書き』でも、警察など権力に頼って排除しようとするのは筋違い」と法規制論の高まりに水を差す。

 冷戦終結後の左翼の弱体化に伴い、右翼も衰えたと指摘。入れ替わるように登場した「草の根保守」の好戦的な言動を危ぶむ。「思想も覚悟もないくせに、戦争をあおるような記事を載せた雑誌が書店に並んでいる。政治家を含めて言葉が軽く、誰でも簡単に『愛国者』になれる時代。在特会には、そんな日本人の劣化が凝縮されていると思う」

【写真説明】東京・新大久保で在日コリアン排撃を叫ぶデモ=6月16日 



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