[CML 022681] 追記(資料): 日本維新の会とみんなの党、「憲法96条改正」で合意 その責任を誰が負うのか?

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2013年 2月 17日 (日) 16:14:37 JST


先の記事の後に「憲法改正の限界」に関する衆議院憲法調査会事務局・最高法規としての憲法のあり方に関する調査小
委員会の「硬性憲法としての改正手続に関する基礎的資料」(衆憲資第24 号、平成15 
年4 月3 日)を添付するつもりでし
たが忘失していました。該当部分は以下のとおりです(p26-29)。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/shuken024.pdf/$File/shuken024.pdf

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 憲法改正の限界
 憲法改正の手続に従えばいかなる改正も可能であるか否かについては「無限界説」と「限界説」の二説が存在しており、
この問題は、憲法、人権、国民主権等の本質をどのように考えるかという、憲法の基礎理論と密接に関連する。通説は
「限界説」を採るが、その論拠は、以下のとおりである。

1 権力の段階的構造― 制憲権(憲法制定権力)と改正権(制度化された憲法制定権力) 
 ―
 民主主義に基づく憲法は、国民の「憲法制定権力(制憲権)」によって制定される法である。この「制憲権」は、憲法の外
にあって憲法を作る力であるから、実定法上の権力ではない。そこで、近代憲法では、法治主義や合理主義の思想の影
響も受けて、「制憲権」を憲法典の中に取り込み、それを「国民主権の原則」として宣言するのが、だいたいの例となって
いる。また、その思想は、憲法改正を決定する最終の権限を国民に与える憲法改正手続規定にも、具体化されている
(日本国憲法96 条が定める国民投票制はその典型的な例である。)。憲法改正権が「制度化された憲法制定権力」とも
呼ばれるのは、そのためである。
 このように、「改正権」の生みの親は「制憲権」であるから、改正権が自己の存立基盤とも言うべき「制憲権」の所在(国
民主権)を変更することは、いわば自殺行為であって理論的には許されない、と言わなければならない。(『憲法 第三版』
芦部信喜 366 頁)

2 人権の根本規範性― 自然権思想の実定化―
 近代憲法は、本来、「人間は生れながらにして自由であり、平等である」という自然権の思想を、国民に「憲法を作る力
(制憲権)」が存するという考え方に基づいて、成文化した法である。
 この人権(自由の原理)と1にふれた国民主権(民主の原理)とが、ともに「個人の尊厳」の原理に支えられ不可分に結
び合って共存の関係にあるのが、近代憲法の本質であり理念である。したがって、憲法改正権は、このような憲法の中の
「根本規範」とも言うべき人権宣言の基本原則を改変することは、許されない。もっとも、基本原則が維持されるかぎり、
個々の人権規定に補正を施すなど改正を加えることは、当然に認められる。(『憲法 
第三版』芦部信喜 366 頁)

3 改正の限界の内容
 日本国憲法には、明示的に改正の限界について規定する条文は存在しない。しかしながら、通常、以下の諸点につい
て改正の限界が指摘されている。

ア 前文の趣旨
 限界説を採れば、日本国憲法前文が人権と国民主権を「人類普遍の原理」であるとし、「これに反する一切の憲法…
…を排除する」と宣言しているのは、ただ政治的希望を表明したものではなく、改正権に法的な限界があることを確認し
たものと解されることになる。つまり、改正禁止条項は、その内容が改正権の理論上の限界(憲法の根本規範と言われ
る人権尊重と国民主権の原理)と一致する場合には、改正の限界を明示することによって、改正権に対して注意をうな
がすという確認的意味をもつのである。ドイツ連邦共和国基本法が、人権保障と国民主権のような「基本原則に影響を
及ぼす」改正を禁止し(79 条3 項)、フランス第五共和制憲法が「共和政体は改正の対象とすることはできない」と定め
ているのも(89 条5 項)、その趣旨である。(『憲法学 憲法総論』芦部信喜 77 
頁)

     【改正の限界についての明示的な条項を有する諸外国の憲法の例】
        ドイツ連邦共和国基本法
     第79条(基本法の変更)
     (1)及び(2) 略
     (3) この基本法の変更によって連邦の諸ラントへの編成、立法に際しての諸ラントの原則的協力、または、第1
     条〔人間の尊厳〕および第20条〔連邦国家、権力分立、社会的法治国家、抵抗権〕にうたわれている基本原則
     に触れることは、許されない。
        フランス第五共和国憲法
     第89条(憲法改正)
     ①~② 略
      共和政体は、これを改正の対象とすることはできない。
        イタリア共和国憲法
     第139条(憲法改正の限界)
     共和政体は憲法改正の対象となることができない。

イ 平和主義
 国内の民主主義(人権と国民主権)と国際平和の原理は、不可分に結び合って近代公法の進化を支配してきたと解
されるので、平和主義の原理もまた改正権の範囲外にあると考えなくてはならない。ただし、平和主義と軍隊の存在と
は必ずしも矛盾するわけではないので、憲法9 条2 項の戦力放棄の条項は理論的には改正可能とみるべきである。
(『憲法学 憲法総論』芦部信喜 78 頁)

     【平和主義条項に関する憲法制定時の考え方】
     平和主義条項についての改正の可否に関しては、第90 回帝国議会・衆議院帝国憲法改正案委員小委員会
     における金森德次郎国務大臣の以下の発言が知られている。
     ○金森国務大臣 是ハ非常ニ「デリケート」ナ問題デアリマシテ、サウ軽々シク言ヘナイコトデアリマスケレドモ、
     第一項ハ「永久にこれを抛棄する」ト云フ言葉ヲ用ヒマシテ可ナリ強ク出テ居リマス、併シ第二項ノ方ハ永久ト
     云フ言葉ヲ使ヒマセヌデ、是ハ私自身ノ肚勘定ダケカモ知レマセヌガ、将来国際連合等トノ関係ニ於キマシテ、
     第二項ノ戦力保持ナドト云フコトニ付キマシテハ色々考フベキ点ガ残ツテ居ルノデハナイカ、斯ウ云フ気ガ致
     シマシテ、ソコデ建前ヲ第一項ト第二項ニシテ、非常ニ永久性ノハツキリシテ居ル所ヲ第一項ニ持ツテ行ツタ、
     斯ウ云フ考ヘ方ニナツテ居リマス…
                                                        (昭和 21 年7 月30 日)

ウ 憲法改正手続
 96 条の定める憲法改正国民投票制は、国民の制憲権の思想を端的に具体化したものであるから、これを廃止する
こと(そして、それに代わって総議員の3 分の2 の多数決だけで改正が成立する制度に改めること)は、いわば改正権
による制憲権の簒奪ないし改正権の自己否定(自殺行為)であり、国民主権の原理を根底からゆるがす意味をもち、
改正権の対象とすることは理論上できない、と解される。もっとも、国民代表制の代わりに憲法改正を行うための特別
の憲法会議(convention)の制度に改めることは、理論上は可能と考えてよいであろう。ただ、問題は、国民意思と代
表者意思との一致を確保することが、事実上きわめて困難であることにある。(『憲法学儀法総論』芦部信喜 78 頁)

     【憲法調査会における発言から】
     この問題については、第150 回国会・平成12 年11 月9 日に衆議院憲法調査会に参考人として出席した小林
     武南山大学教授からも、以下の発言があった。
     ○小林参考人 …憲法は、主権者である国民の作品でございます。九十六条が、憲法改正の発議権を内閣に
     は付与せず、国民代表議会に限定いたしまして、その採択は国民みずからが行うことを定めているのも、単
     なる手続ではなくて、国民が憲法をつくるというその原理を表明したものにほかなりません。…(憲法改正につ
     いて最近説かれていることで、気がかりに思うことの一つは、)九十六条の定める憲法改正手続の軟性化を
     説く議論であります。その一例は、国民投票を削除し、国会の発案要件も三分の二を単純多数決にすべしと
     する(意見であるが)、これはそれほど単純なものではありません。とりわけ国民投票を除くことは、国民主権
     の原則と抵触いたしますから、憲法改正の限界に当たるものとして、改正対象になり得ないとするのが憲法
     学の通説であります。

エ 全部改正
 憲法の「改正」は元の憲法典の存続を前提としているので、憲法典自体に「全部改正」を認める規定が存在しない
かぎり、新しい憲法典にとって代える改正を行うことはできない、という説もある。しかし、「憲法は個別的規定の総体
にすぎぬもので、全部はその部分と異なる性質のものではなく、全部を変更する権力は部分を変更する権力と当然
に異なる権力であるとはいえない」と考えられるので、全部改正を憲法改正の限界を破るものとして、日本国憲法の
下で不可能と説くのは、妥当ではなかろう。96 条の「この憲法と一体をなすものとして」とは、日本国憲法の基本原理
を継承する憲法として、という、実質的な意味に解すべきだと考えられるからである。全部改正を禁止していると解し
ても、2 回以上に分けて改正を行えば、全面改正も可能となる。(『憲法学 憲法総論』芦部信喜 78 頁)
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東本高志@大分
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