[CML 022489] Re: 「森美術館問題を考える討論集会」(2)

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2013年 2月 6日 (水) 20:15:19 JST


前田さん、リプライありがとうございます。

はじめに昨日の「森美術館問題を考える討論集会」での討論の内容を実況的にまとめている「ツイートまとめ」がありますので
そのサイトをご紹介しておきます。

(1)「森美術館問題を考える討論集会――問われる表現の自由と責任」昼間たかし氏と渋井哲也氏の実況を中心としたツイート
http://togetter.com/li/450871
(2)「森美術館問題を考える討論集会――問われる表現の自由と責任」実況以外の反応
http://togetter.com/li/450902

(1)を見ると前田さんのご報告にある「パネラーに対する誹謗中傷をしたり、反対意見の女性に駆け寄ってつかみかかったり」
した人はどうやら昼間たかしというフリーライター氏のようですね。しかし、このハプニングを逆の見方をしている人がいます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%BC%E9%96%93%E3%81%9F%E3%81%8B%E3%81%97

     「さすがに主催者の意見に批判的な人に罵声をあげて掴みかかるとか、主催者が人を議論の対象じゃないと決めつけ
     て退出を命令するとか、討論会と名乗る集会としてはどうなのかなぁという展開になっている『森美術館問題を考える討
     論集会』」
     https://twitter.com/syuu_chan/status/298754123761860608

(1)を見ると「昼間たかし‏@quadrumviro:参加者から「座れ」とヤジが来たので「なにいってんだ!」と言い返すために近寄ったら、
精神科の先生に取り押さえられ、前田氏に「出って行って下さい!」といわれ」とあるので、この逆の見方をしている人は昼間氏
が「精神科の先生に取り押さえられ」たところを見て上記のような視野狭窄の感想を述べているのかもしれません。いずれにして
も公正な「実況」とはいえませんね(主観が勝ちすぎている)。

次に前田さんの論点に対する感想をいくつか。

> セクシュアリティがからむと頓珍漢な意見を述べて顰蹙を買ってきた東本さんらしい文章です。

「頓珍漢な意見」とか「顰蹙を買ってきた」などというのは前田さん個人のご意見、すなわち主観でしかありませんね。実際に私
は前田さん以外に「顰蹙を買っ」た覚えはありません。こうしたあなたの主観にすぎないことをさも「客観」のように言うところこそ
まさに「前田さんらしい文章」というべきところでしょう。

> 第1に、私たちは森美術館を批判しているのであって、NY事情など関係ありません。NYで問題があると思う人はそこで発言
> すればいいだけのことです。

私が会田誠氏のお連れ合いの岡田裕子さんの意見を紹介しているのはジェンダー関係のメーリングリスト上でのことです。
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-516.html

同メーリングリスト上ではさまざまな会田誠氏批判がありましたので、その批判に対するひとつのアンチテーゼとして「こういう意
見もありますよ」という程度に岡田裕子さんの意見を紹介しているわけです。「森美術館批判」オンリーのアンチテーゼとして岡
田さんの意見を紹介しているわけではありません。また、岡田さんの意見は、フェミニストアートの世界的基準をひとつの例証と
して日本のフェミニズム運動の限界性を指摘しているもので、岡田さんの意見を単なる「NY事情」の紹介などと矮小化するのは
岡田さんの指摘の正しい読み方とはいえないように思います。

> 第3に、女がやっても批判がなくて、男がやると批判があるのはおかしいという、根本的な無理解を露呈した文章を好意的に
> 取り上げています。(略)セクシュアル・ハラスメントや性差別は、男が女に対して行うから問題なのではありません。権力関係
> を利用して行うことが基本です。

ここでも前田さんは岡田さんの指摘を矮小化しています。セクシュアル・ハラスメントや性差別の問題は根本的には「権力関係」
の問題である、ということはフェミニストにとって常識の部類に属する「知」の問題といってよいでしょう。グローバリズムフェミニズ
ム展に呼ばれる作家の岡田さんがそうした「常識的知」すら知らないと考える方がむしろ非常識的です。岡田さんがつぶやいた
今回のツイッターでの論はツイッター上の論という制約から「権力関係」の問題まで論を拡張していないだけだ、というように理解
するのがふつうの理解というものでしょう。また、セクシュアル・ハラスメントや性差別の問題は権力関係の問題であるという認識
からは「男」や「女」という性的附従性は本質的な問題ではありえませんから「権力関係」の問題として「女がやっても批判がなくて、
男がやると批判があるのはおかしい」という批判にも当然なっていくでしょう。それを「根本的な無理解」などという前田さんの論理
の方が逆に「おかしい」のです。

> 第4に、そもそもフェミニズムを持ち出していることがお笑いです。(略)一部の人々は会田作品擁護のつもりで、フェミニズム
> 叩きをして、論点すり替えに励んでいます。

私は「フェミニズム叩き」にはもちろん賛成しませんが、宮本節子さんの「会田誠展」批判がジェンダー関係メーリングリストを通じ
て短期間の間に急速に拡まり、今回のような抗議活動が展開される最大の契機になったのは事実です。私はそのジェンダー関
係メーリングリストの参加者のひとりですからそのことは事実をもって立証できます。そして、そのジェンダー関係者の「会田誠展」
批判がPAPS(ポルノ被害と性暴力を考える会)の抗議を含めて往々にして的外れな論であることが多い、というのは私がここ数
回の弊記事で「引用」という形で間接的に立証していることでもあります。前田さんはその事実を見ておられないようです。

> 第5に、「単純な否定では無く、議論すべき作品である」などというのも、卑劣なごまかしです。森美術館に抗議した「考える会」
> や宮本節子さんたちは、「単純な否定」などしていません。きちんと議論しましょうと言って、自分たちの論拠を明快に提示して
> います。それを無視して、「単純な否定」などと虚偽のレッテルを張って非難するのは悪質なデマゴギーにすぎません。

宮本節子さんたちが「単純な否定」などせずに「きちんと議論しましょう」と言っていることは私も承知しています。しかし、私から見
ればPAPSの主張には「単純な否定」の主張もあることは否めないことのように思います。たとえばPAPSの下記の主張などは
「単純な否定」以前の問題、すなわち誤りというべきものです。

     「カナダ、EU諸国、オーストラリアなどの主要先進国においてはすべて、これらは違法な児童ポルノとして処罰の対象に
     なっています」(ポルノ被害と性暴力を考える会 PAPS)
     http://paps-jp.org/action/mori-art-museum/group-statement/

下記サイトは「フランスで、犬シリーズが収録された書籍が発行されて」いる事実をあげて、上記のPAPSの主張の誤りを端的に
指摘しています。
http://d.hatena.ne.jp/beniuo/20130128

岡田裕子さんの「それが単なるポルノか否か、単純な否定では無く論議すべき作品であるべきでしょう」という主張は「悪質なデマ
ゴギー」ではありません。「虚偽のレッテルを張って非難」云々の批判も当然当たりません。


東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/

━━━━━━━━━━━━Original Message Started━━━━━━━━━━━━
From: maeda at zokei.ac.jp
Sent: Wednesday, February 06, 2013 4:52 PM
To: 市民のML
Subject: [CML 022487] Re: 追記2: 「森美術館問題を考える討論集会」(2)
前田 朗です。
2月6日


東本さん

>
> 上記の岡田さんのご意見のうち「性的な表現はむしろフェミニストアートに多
いのです。しかしフェミニストアートはポルノを彷彿と
> させる表現であっても作者が女性であること、主題の内容などの関係でフェミ
ニスト団体からのクレームはあまり無いように思い
> ます。では作者が男性であっても主題によってはそれが単なるポルノか否か、
単純な否定では無く論議すべき作品であるべきで
> しょう」という指摘は、いまある多くのフェニミズム団体の思想の欠陥の本質
を衝いたとりわけ重要な指摘であるだろう、と私は思
> っています(実は私も岡田さんのご意見とほぼ同様の思いを長い間抱き続けて
います)。
>
>


セクシュアリティがからむと頓珍漢な意見を述べて顰蹙を買ってきた東本さんら
しい文章です。

第1に、私たちは森美術館を批判しているのであって、NY事情など関係ありま
せん。NYで問題があると思う人はそこで発言すればいいだけのことです。関係
ないものを無理やり持ち出して混乱させる幼稚な手法にうまうまと乗せられるの
は、事柄にセクシュリティがからんでいるからでしょう。

第2に、いまどき、単一のフェミニストアートを語ること自体、大笑いの頓珍漢
です。まあ、東本さんはあらゆるフェミニズムが同じに見える色眼鏡をお持ちな
のかもしれませんが。

第3に、女がやっても批判がなくて、男がやると批判があるのはおかしいという、
根本的な無理解を露呈した文章を好意的に取り上げています。セクシュアル・ハ
ラスメントや性差別の基本のキを理解していないからです。セクシュアル・ハラ
スメントや性差別は、男が女に対して行うから問題なのではありません。権力関
係を利用して行うことが基本です。社会的に存在している男女間の構造的格差を
利用し、そこに権力関係が作動するからセクシュアル・ハラスメントであり、性
差別なのです。そんなことも理解していないから、女がやると批判されないのに
男がやると批判されるのはおかしいなどと馬鹿げたことを書くのです。そうした
馬鹿げたおしゃべりに乗っかっているのが残念ながら東本さんです。

第4に、そもそもフェミニズムを持ち出していることがお笑いです。会田さんも
ツイッターで唐突に母親がフェミニストとか書いているそうです。森美術館問題
が浮上した最初の時期に、私はまっさきに「これはフェミニストによる芸術作品
への批判だ」という歪曲した攻撃が行われるだろうと述べました([wam]という
MLですが)。その通りになって、一部の人々は会田作品擁護のつもりで、フェ
ミニズム叩きをして、論点すり替えに励んでいます。ワンパターンの幼稚で卑劣
な手法です。だから、私が主催者となって集会を開いたのです。私は明らかにフ
ェミニストではありません。かつて上野千鶴子さんを批判した時に、女性たちか
ら「フェミニズムの敵」と名指しされた私が、森美術館問題の集会を開催してい
るのです。

第5に、「単純な否定では無く、議論すべき作品である」などというのも、卑劣
なごまかしです。森美術館に抗議した「考える会」や宮本節子さんたちは、「単
純な否定」などしていません。きちんと議論しましょうと言って、自分たちの論
拠を明快に提示しています。それを無視して、「単純な否定」などと虚偽のレッ
テルを張って非難するのは悪質なデマゴギーにすぎません。

以上、とりあえず東本さんへのリプライです。

ではまた。
━━━━━━━━━━━━Original Message The end━━━━━━━━━━━━





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