[CML 028586] アンパンと牛乳

林田力Hayashida Riki info at hayariki.net
2013年 12月 30日 (月) 12:55:37 JST


反貧困ネットワーク代表などを務める宇都宮健児(宇都宮けんじ)氏が東京都知事選挙への出馬意思を表明した。宇都宮氏の人間性が分かるエピソードに「アンパンと牛乳」というものがある。これは広めたいエピソードである。

 「アンパンと牛乳」は雨宮処凛氏が宇都宮氏と会った時のエピソードである。宇都宮氏は「おもむろに持参したコンビニの袋からアンパンと牛乳を出し、食べ始めた」という。それを見た雨宮氏は「この人は、本気でいい人に違いない。私は一瞬で宇都宮弁護士を信頼し、なついた」と述べる。

このエピソードは2012年選挙当時も良いエピソードであり、是非とも広めようという話であったが、2014年は一層広める価値がある。

ちょうど速水健朗『フード左翼とフード右翼 食で分断される日本人』(朝日新書)という書籍が2013年12月に刊行されたばかりである。この書籍では食生活の面からフード左翼とフード右翼に分類する。フード左翼は「有機野菜」「地産地消」「ベジタリアン」「ビーガン」「マクロビ」「ローフーディズム」など自然派の食を愛好する人々であり、フード右翼は「コンビニ弁当」「ファストフード」「メガ盛り」「チェーン系290円居酒屋」など産業化された食を愛好する人々である。

 興味深い点は貧困問題に対するフード右翼・フード左翼の位置付けである。フード右翼の支持によって食が安くなることは貧困をなくし、食の民主化を進めることになる。逆にフード左翼は富裕層に偏り、余裕のある人の道楽という側面がある。先進国が有機農法を進めると世界の飢餓が進行するという側面がある。左翼は反貧困の側にいると自称するが、フード左翼は逆である。

これはフード左翼だけの問題というよりも現実の左翼の矛盾と重なる。フード左翼という視点から左翼の矛盾が見えてくる。フード左翼は福島産農産物の忌避などカルトが顕著であるが、左翼そのものも外から見るとカルト的な面がある。結局のところ、ブラック企業や住まいの貧困という現実に苦しむ人々の琴線には全く響かない。

これは左翼が低迷した原因である。今の左翼に若者が魅力を感じないことも当然である。現実に労働組合や革新政党はブラック企業という言葉を使い出すことによって支持を広げることができた。観念的な労働者搾取や貧困論に逃げず(自分達は唯物論であり、観念論ではないという的外れの反論をしてくるだろうが)、ブラック企業や住まいの貧困の現実認識を深める必要がある。
http://hayariki.net/tobu/milk.html
この点で「アンパンと牛乳」のエピソードは強烈である。コンビニで購入したアンパンと牛乳を食べる点はフード右翼的である。ブラック企業や住まいの貧困に苦しみ、左翼の欺瞞性に違和感を持つ若者も支持できる。雨宮氏も右翼から入り、日本社会の生きづらさという問題意識を持ち続け、そこに右も左もないというスタンスである。このような異色の立場だから「アンパンと牛乳」というエピソードにも気づくのだろう。
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林田力Hayashida Riki
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