[CML 028376] 『ダンダリン』第7話、労働災害

hayariki info at hayariki.net
2013年 12月 21日 (土) 13:46:34 JST


ドラマ『ダンダリン 労働基準監督官』第7話「働くことの壁とは…ダンダ化できない指導係」は労働災害(労災)の話題である。労災は過労死でも問題になる。社内イジメ、労災隠しが出てくる。東急ハンズ過労死もパワハラが原因の一つである(林田力『東急不動産係長脅迫電話逮捕事件』「東急ハンズ過労死と東急不動産だまし売り裁判」)。
『ダンダリン』第7話はブラック企業経営者と社員を分断して描くことに成功している。パワハラ・イジメが行われているが、加害者はブラック企業経営者だけで、他の社員は同情的である。視聴者はブラック企業経営者だけを憎めばいいという分かりやすい構成である。
ブラック企業経営者は、とことん最低な人間に描かれる。労働基準監督官が暴力を振るうということは許されないことであるが、それが人間的には支持できると思えてしまうほどの悪辣さである。
現実は経営者だけでなく、パワハラ体質のブラック社員がブラック企業を支えていることが多い。パワハラが快感になって止められないブラック社員もいる。イジメや差別が職場ぐるみで行われる。東急電鉄の労働組合員差別が典型である(林田力『ブラック企業・ブラック士業』「東急一時金請求裁判控訴審」)。現実のブラック企業問題は一筋縄ではいかないが、エンタメ作品としては単純化して描くことも必要である。
『ダンダリン』第7話は南三条和也(松坂桃李)がフューチャーされる。南三条は段田凛(竹内結子)の指導係で段田凛と接点が深い。段田凛の影響を受けていることがコミカルに描かれる。南三条はブラック士業から引き抜きの誘いを受けていた。南三条がブラック士業の側に行かず、労働基準監督官のモチベーションを高めることは喜ばしいことである。南三条のモチベーションが高く、段田凛と攻守逆転した趣である。登場人物のパターンをひねって面白い。ダンダ化という言葉まで生み出すほど作品世界が濃厚である。
ところが、その南三条がブラック士業のダークサイドに落ちそうになる。このドラマは過去を振り返る形式になっており、南三条がブラック士業のダークサイドに堕ちないという結論は視聴者に提示されている。それでも南三条が、どのように乗り越えるか見物である。
『ダンダリン』第7話は独立行政官である労働基準監督官の職業意識も問われる。北本市いじめ自殺裁判の東京地方裁判所民事第31部判決(舘内比佐志裁判長、杉本宏之裁判官、後藤隆大裁判官)を見ていると日本では独立性があるはずの裁判官ですら、段田凛のような意識に欠けている。
日本は戦前から大津事件のように司法権の独立は曲がりなりにも達成できていた。そのために逆に戦後改革が及ばなかった面もある。司法権の独立では裁判所という組織の独立性だけが強調され、裁判官の独立は軽視され、司法官僚が温存されている。司法を特別扱いするのではなく、労働基準監督官なども含めて独立性を強調することが官僚化への抵抗になるのではないか。
『ダンダリン』第7話では解剖に対する日本人の意識の後進性は真実の追求の妨げになっていることが描かれた。まさに日本は海堂尊の指摘する死因不明社会である。解剖によって予想通りの結果を得られなくても、遺族にしても労災かもしれないという疑いを抱えて生きていくよりも、ずっといい筈である。
http://hayariki.net/home/faqindex.htm
-- 
林田力Hayashida Riki
Poverty Business in Tokyo [Kindle Edition]
https://www.amazon.com.au/dp/B00FW2UMKE



CML メーリングリストの案内