[CML 028148] 特定秘密保護法への懸念は、もう現実に。海自護衛艦「たちかぜ」乗組員「いじめ自殺」内部告発の3等海佐に懲戒処分の手続き

BARA harumi-s at mars.dti.ne.jp
2013年 12月 9日 (月) 02:06:04 JST


朝日新聞・調査報道
2013.12.8
朝日新聞・朝刊
http://digital.asahi.com/articles/TKY201312070560.html?ref=pcviewer

海自、告発封じ込め 3佐の懲戒検討 いじめ自殺

海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」乗組員の自殺に絡み、「いじめを示す調査文書が
隠されている」と内部告発した3等海佐(46)に対し、海自が懲戒処分の手続きを
始めた。
遺族らに「捨てた」としていた海自は告発後、原本が見つかったと謝罪していた。
特定秘密保護法で行政機関の情報隠しが懸念される中、秘密でもない文書への
内部告発まで萎縮させる隠蔽(いんぺい)体質が、改めて浮かび上がった

 3佐は2008年の告発時、調査の関連文書のコピーを証拠として自宅に保管
していた。
海自はこれを規律違反だと主張。
3佐は「正当な目的であり、違反にあたらない」と争う構えだ。
内閣府の審査会は今年10月、「不都合な事実を隠蔽しようとする傾向がある」と
海自の姿勢を厳しく批判。
海自の現役事務官も、遺族が国を相手に起こした損害賠償請求訴訟で「上司から
文書を『捨てろ』と命じられた」とする陳述書を提出している。

 海自は乗組員が04年に自殺した直後、「たちかぜ」の乗組員190人にいじめの
有無を尋ねたアンケートを実施。
しかし遺族が05年に情報公開請求すると、原本は破棄したと答えた。
3佐は当時、遺族の訴訟を担当。
職場に原本があると知り、08年に防衛省の公益通報窓口に告発したが、
海自は認めなかった。

 このため12年4月、「海自は文書を隠している」とする陳述書を東京高裁に
提出。
海自が再調査し、破棄は撤回された。

 海上幕僚監部広報室は朝日新聞の取材に対し、「個人のプライバシーを
侵害する恐れがあるため回答を控える」としている。

捨てろ、あれは「ない書類」だ 海自幹部、直訴黙殺 いじめ自殺
http://digital.asahi.com/articles/TKY201312070566.html?ref=pcviewer

海上自衛隊が「ない」と言い続けた文書の存在を告発した男性が、
処分されようとしている。
組織のうみを出そうと、警鐘を鳴らし続けた現役の3佐。
都合の悪い情報は隠し、告発には罰をもって対処する海自。
特定秘密保護法への懸念は、もう現実化していた。

懐には、ICレコーダーを忍ばせていた。
説得に失敗したら、人生が破滅する――。
覚悟のうえでの「直訴」だった。

 2011年1月26日。
3佐は海自の幹部の一人である首席法務官の部屋を訪ねた。
「隠している文書があります。正直に公開すべきではないかと」。
自殺した「たちかぜ」乗組員へのいじめを調べたアンケートを公開する
よう求めた。

 部屋に入ったのは午後1時。
乗組員の遺族が起こした訴訟の一審判決が言い渡される30分前だった。
「文書が隠されたまま判決が出てしまっていいのか」。
そんな思いに背を押された。

 だが、返事はつれなかった。
「どうしようもないじゃない。今言われても」

 なぜ3佐の進言に応じなかったのか。
この元幹部=退職=は朝日新聞の取材に「信じている部下が調べて
『ない』と結論が出ていたのだから、当時は『ない』と信じていた」と答えた。

 「昔の海自は確かに『どうやって隠すか』という組織だった。
でも、もう変わったと信じていた。
結果的に、公開の意識を現場に浸透させきれていなかったことに、
悔しさを感じる」

 今年6月、海自から3佐に、懲戒処分手続きの開始を通知する文書が
届いた。
海自は今後、3佐の弁明を聞いたうえで、処分内容を決めるとみられる。

 ■公開請求に「破棄した」

 3佐は、上司にアンケートの公開を直訴しつつ、自らも情報公開を
請求していた。
だが海自の回答は「すでに破棄した」だった。

 内閣府の機関「情報公開・個人情報保護審査会」は3佐の異議申し
立てを受け、海自の対応を審査。
その答申が10月に出た。

 「文書発見後も破棄を働きかけるなど、組織全体として不都合な事実を
隠蔽しようとする傾向があった」。
異例の厳しい指摘だ。

 アンケートには、自殺した乗組員が艦内で先輩隊員からエアガンで
撃たれたり、胸ぐらをつかまれたりしていたと書かれていた。
遺族も3佐の前に情報公開請求をしたが、やはり「破棄した」との回答だった。

 答申は「1回目の請求で不存在としたことから(2回目も)安易に不存在と
判断した。より慎重に探すべきだった」と批判した。

 ■原本隠蔽も事務官に指示

 今年10月、自殺した「たちかぜ」乗組員の遺族による訴訟が続く東京高裁に、
3佐とは別の現役事務官が書いた陳述書が提出された。

 それによると、事務官は訴訟の担当者だった12年1月、「破棄された」っと
聞いていたアンケートの原本を職場で偶然発見した。
上司に相談したが、こう言われた。
「破棄するに決まっているでしょう。今さら出せるわけがない」

 同年6月、3佐が高裁に出した陳述書を機に、内部でアンケートの調査が
始まった。
事務官は調査担当者から聞かれた。
「アンケートはもうないんですよね」

 答えに詰まると、次の瞬間、上司が言った。

 「はい、ありません」

 事務官は別の上司に相談したが、やはり「捨てろ」と指示された。
「あれは『ない書類』だ。あってはならない書類だから」

 翌日は上司から「指示した件は、誰にも見られないよう隠密裏に実施して
下さい」とメールが届いた。
だが事務官は「やはり破棄はできない」と判断。
別の上司に報告し原本はかろうじて遺族側に開示された。(高野遼)

 ◆キーワード

 <「たちかぜ」乗組員の自殺> 
2004年10月、乗組員(当時21)が東京都内で電車に飛び込み自殺した。
遺書には先輩隊員から暴行を受けたと記されており、後輩隊員らがエアガンで
撃たれたり、アダルトビデオの買い取りを強要されたりしたことが発覚。
遺族は「先輩隊員のいじめが原因」と約1億3千万円の賠償を求めて提訴した。
横浜地裁は11年1月、いじめを認め、国と先輩隊員に計440万円の支払いを
命じた。遺族が控訴し、訴訟は継続中。

 ■たちかぜ乗組員「いじめ自殺」問題の経緯

2004年10月 乗組員(当時21)が遺書を残し、東京都内で電車に飛び込み自殺 


     11月 海自が全乗組員に暴行・恐喝の有無などを尋ねるアンケートを実施 


2005年 1月 海自が「先輩乗組員による暴行はあったが、自殺との関連は不明」 

との調査報告をまとめる

      4月 遺族が情報公開請求。海自は「アンケートは破棄」と回答

2006年 4月 遺族が国などを提訴

2008年 6月 3佐が防衛省の公益通報窓口にアンケートの存在を告発。
海自は「そのような事実はない」と回答

2011年 1月 3佐が海自幹部の首席法務官にアンケートの存在を認めるよう進言。 

聞き入れられず

       同 3佐が情報公開請求。海自は「アンケートは破棄」と回答

       同 横浜地裁が国などに約440万円の賠償を命じる判決。
遺族側が控訴

2012年 4月 3佐が、「海自はアンケートを隠している」と告発する内容の陳述書を
東京高裁に提出

      6月 海自が「アンケートが見つかった」と発表、謝罪

2013年 6月 海自から3佐に、懲戒処分手続きの開始を通知する文書が届く

     10月 内閣府の情報公開・個人情報保護審査会が海自の情報公開の
姿勢を「不都合な事実を隠蔽する傾向があった」と批判 



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