[CML 026140] Re: 「鶴彬-暁を抱いて」プロレタリア 川柳の星...彼も獄殺

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2013年 8月 28日 (水) 23:35:31 JST


前田 朗です。
8月28日

大津留さん

ありがとうございます。

私の啄木への関心は、もちろん「非国民」としての啄木です。「時代閉塞」や
「所謂今度のこと」や「ココア」の流れ、つまり管野スガ・幸徳秋水との関連で
す。

私の非国民論は<幸徳から啄木を経て多喜二へ>という流れです。本書では幸徳
と啄木を取り上げていますが、次の本(近刊)では啄木と多喜二を取り上げてい
ます。多喜二が読んだ啄木についても。

啄木はヤバイものを発表できなかったため、鶴彬は、啄木の「時代閉塞」などを
読むことが出来ませんでした。でも、鶴彬は、啄木がロマン主義や自然主義を乗
り越えたことを理解し、肯定的に見ながら、批判しています。

当時は女性は無権利ですべて「非国民」ですので、金子文子、長谷川テル、ある
いは伊藤千代子なども取り上げましたが、金子文子は大逆事件で有罪となった獄
中で啄木を読み、好きな啄木、と詠っています。彼女もヤバイ啄木を読むことが
出来なかったはずです。

近刊では高知の詩人、「間島パルチザンの詩」の槇村浩も取り上げています。槇
村浩の「日本詩歌史」は、万葉集から昭和までの日本詩歌史を槇村流の唯物史観
に立って分析した論説です。そこでも、啄木はとびぬけた詩人として扱われてい
ます。槇村も啄木のヤバイ作品を読むことが出来なかったはずです。

何を言いたいかというと、いま、私たちは啄木全集を手にし、啄木の思想の到達
点を知っています。にもかかわらず、私たちはわずか26歳の啄木の思想に迫り
えているのか。これが私の課題です。啄木にも多くの限界があり、矛盾がありま
すから(特に女性観)、むやみに持ち上げるべきではありませんが。

それから近刊では、内田弘(専修大学名誉教授)の『啄木と秋瑾』を少し紹介し
ました。若いころ、内田さんの経済学批判要綱研究に学んだものですが、それが
今度は啄木とは、と二重の意味で驚愕の本でしたが、啄木研究の世界ではどのよ
うに受け止められているのでしょう。
http://www.shahyo.com/mokuroku/culture/bungei/ISBN978-4-7845-0908-9.php
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E7%94%B0%E5%BC%98
http://www.mdsweb.jp/doc/1182/1182_06m.html

ネットで調べてみると、近藤典彦さんの書評と、内田さんのリプライがありまし
た。近藤さんの啄木論にも感謝していますが。
http://chikyuza.net/n/archives/8914

素人の私は、残念ながら、立ち入った議論をするだけの知見がありませんが。

----- Original Message -----
> 前田さん
>  
> 啄木を継承すると標榜する新日本歌人協会の一員としては鶴彬の啄木論を読み
たいので前田さんの『非国民がやってきた!』を発注しました。
> 新日本歌人協会 常任幹事
> 大津留公彦
>  
> 
> 


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