[CML 026102] 堺市長選は開発問題を争点に

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2013年 8月 26日 (月) 23:15:06 JST


大阪都構想の是非が注目される堺市長選挙であるが、開発問題への姿勢も重要争点である。竹山修身・堺市長の目玉となる政策実績は「大規模公共事業(LRT425億円/堺東再開発350億円)を中止」である(『竹山おさみ市政報告』第12号、2013年6月)。

LRT(次世代型路面電車Light Rail Transit)は竹山修身氏が現職市長の木原敬介氏を破って当選した2009年9月の市長選の争点であった。堺市は2008年12月に市内を東西に結ぶ「東西鉄軌道」の基本計画案を発表した。堺市の公共交通網は大阪市中心部と連絡する南北交通中心で、多くの市民は大阪市街に出かける傾向があった。そこで当時の堺市は東西の東西鉄軌道によって中心市街地に人を呼び戻そうとした。

この市の計画に対しては、巨額の税金投入を批判する反対意見が続出した。その中で政令指定都市昇格後初の堺市長選挙が実施された。「費用対効果が明らかではない」とLRTを批判した竹山氏が民主・自民・公明・社民4党が相乗りした現職の木原敬介市長を破り、初当選を果たした。竹山氏は市長就任後、前市長の下で計画されていたLRT計画を撤回した。竹山氏は有権者の期待に応えたことになる。現職首長の政策の問題点を批判した候補者が当選して批判した政策を撤回する。これこそが民主主義の最も分かりやすい形である(林田力『二子玉川ライズ反対運動4』「海のピラミッド不法占拠と下北沢跡地利用」)。

LRTを大型開発・税金の無駄遣いとして批判したことは重要である。東西交通の充実自体は多くの人が必要性を認めるものである。そこで思考を停止してLRTに賛成とはならない。事業の本質を評価して判断する。

 実際ところ、堺市はLRT計画の目的を「中心部の賑わいに貢献」と説明していた。鉄道が敷設されれば沿線が反映するという時代遅れの私鉄経営者的な発想である。これが堺市のLRT計画の本質である。事業の本質を見抜くことは、「木造密集地域を解消して防災性向上」「再開発によって街が綺麗になる」などの開発ドグマと戦う上で重要である。

 皮肉なことにLRT自体は街づくりに意識の高い人ほどLRTを都市公共交通の新たな担い手として積極的に評価する傾向がある。そのためにLRT計画を白紙にした竹山氏は開発問題の運動の中でも必ずしも高評価を得られていない。しかし、その種のLRT評価はヨーロッパの街づくりを理想とする舶来信仰が濃厚である。LRTという分かりにくい略語が、そのまま使用されていることが舶来信仰を象徴する。

この種の舶来信仰は、地に足付かない街づくり論である。それは日本のゴチャゴチャした昔ながらの街に住み続けており、住み続けたいと願う住民意識とは遊離している。それは「木造密集地域を解消して防災性向上」「再開発によって街が綺麗になる」などの開発ドグマに太刀打ちできない。

LRT計画中止後も竹山市政は大型開発見直しの姿勢を継続した。堺東中瓦町2丁地区市街地再開発事業の廃止である。堺東再開発は低層部に商業施設、高層部に公益施設が入居する高層ビルを建設する計画である。ありきたりな再開発ビルで市街地活性化に資するのか、反対に空洞化するのではないかと批判された。また、別の場所にある市民会館を現地建て替えではなく、再開発ビルに入居させる計画であるが、これが税金の無駄遣いと批判された。

2010年3月17日に堺東中瓦町2丁地区市街地再開発組合設立発起人から市街地再開発組合設立認可申請がなされたが、事業の収支が成り立たず、事業を遂行する経済的基礎が十分でないとの理由で不認可とした。2011年12月26日には「事業が実施される見込みがない」として堺東中瓦町2丁地区第一種市街地再開発事業の都市計画を廃止した。

 全国各地で多くの再開発計画が楽観的な事業計画が精査されることもなく認可され、破綻が続出している。その中で堺東再開発が「経済的基礎が十分でない」との理由で不認可とされたことの意義は大きい。
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