[CML 026063] 堺市長選での大阪都構想の是非

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2013年 8月 24日 (土) 14:10:03 JST


2013年9月15日告示、29日投開票の堺市長選は、大阪都構想の是非を問う一騎打ちになる可能性が高い。

●竹山修身・堺市長:大阪都構想に反対

●西林克敏・堺市議:大阪都構想に賛成

 大阪都構想の評価で難しい点は、どちらが地域住民に身近な地方自治に資するか一見すると判断に迷う点である。二人の立候補予定者は各々、自分の政策こそが住民に身近な地方自治に資すると主張する。

 竹山氏は「政令市が特別区に分割されると権限が減り、財源も府に吸収される。市民のかゆい所に手が届く行政ができなくなる。都構想は、堺市が府の属国、植民地になるということ」と主張する。これに対して、西林氏は「市役所の権限・財源を地域に移し、住民のことは住民に決めていただく」と主張する。

 結局のところ、大阪都構想の本質が大阪都(現在の大阪府)中心の地方自治か、区中心の地方自治かによる。前者ならば竹山氏の主張するように堺は大阪府に従属してしまう。後者ならば西林氏の主張するように堺市よりも狭い範囲の区レベルで自治が行われ、住民自治が進展する。

 制度論的には竹山氏が正しい。大阪都構想は東京都という制度をモデルとしている。東京都は道府県と異なり、区部については東京都が基礎自治体と広域自治体を兼ねている。23区は一人前の地方自治体ではない。大阪都構想は基礎自治体を堺市よりも住民から遠い大阪府に移すことになる。住民を地方自治から遠ざけることになる(林田力「大阪都・中京都・新潟州構想は地方自治に逆行」PJニュース2011年2月24日)。

 一方で選挙の争点としては制度論だけでは片付かない。大阪都構想への反対意見には既得権を維持したい堺市官僚の利益も含まれているためである。この既得権への反感こそが大阪維新の会の支持を集めた要因である。現在の政令指定都市が基礎自治体というには広大になり過ぎている事実もある。これに問題意識を持たずに大阪都構想を批判しても、堺市官僚の既得権擁護の手助けになってしまう。しかし、これは堺市の改革で解決すべき問題であり、だから大阪都にはならない。

その上で大阪都構想に対しては、より巨大な利権が動く危険性から批判できる。大阪都構想を推進する松井一郎・大阪府知事は「司令塔を一つにしてスピーディーに変えていくのは、街の再開発で一番大事」と述べる(「堺市長選 反「都構想」連合VS維新」読売新聞2013年8月12日)。ここに大阪都構想の生々しい本音が表れている。

 松井知事発言は「トップダウンで再開発を強行する」というもので、住民に身近な地方自治の対極に位置する姿勢である。現実に大阪市では似つかわしくない場所にも超高層マンションがボカスカ建てられている(林田力『東急不動産係長脅迫電話逮捕事件』「ブランズタワー南堀江・ブランズタワー大坂備後町が酷評」)。堺市長選を分析した特集記事でも大阪市側の動きとして、「大阪市では近年、大規模施設が相次いでオープンしている」と記している(「特集ワイド:続報真相 どないなんねん「堺の乱」 「大阪都構想」命運かけ来月市長選」毎日新聞東京夕刊2013年8月23日)。

 住民からは住環境破壊と反対意見の出る大型開発の推進は住民から遠い広域自治体こそが進めやすいものである。「都政わいわい勉強会in東部地区」でも大型開発の許認可権が区にあれば地域環境に適した開発ではないと判断してもらえるが、都にあるために地域環境との適合性が判断されずに問題ある開発が進められてしまうとの意見が出た。

 下北沢の跡地利用では住民の意見を取り入れて計画を見直そうとする世田谷区に対し、開発業者との合意案を進めようとする東京都が抗議している(林田力『二子玉川ライズ反対運動4』「海のピラミッド不法占拠と下北沢跡地利用」)。広域自治体の強化は大型開発推進に結びつく。
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林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』
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