[CML 025991] 私たちの批判が実を結んでいるようです ――「松江市教委 撤回を視野に『はだしのゲン』閲覧制限を再検討」

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2013年 8月 20日 (火) 23:35:32 JST


「『はだしのゲン』閲覧制限」問題について、松江市教育委員会は多くの人の批判を受けて「撤回」を余儀なくされているようです。

      ■「はだしのゲン」閲覧制限を再検討=撤回を視野―松江市教委(時事通信 2013年8月20日)
      http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130820-00000036-jij-soci

      2012年12月に死去した漫画家中沢啓治さんが自身の被爆体験を基にした漫画「はだしのゲン」について、松江市教育
      委員会が同月、市内の小中学校に閲覧制限を要請していたが、要請の撤回を視野に再検討する方針を決めたことが、
      20日までに分かった。
      市教委などによると12年8月、「はだしのゲンは間違った歴史認識を植え付ける」として学校図書館からの撤去を求める
      市民からの陳情が市議会にあったが、市議会は同年12月に全会一致で陳情を不採択としていた。
      しかし市教委は、作中にある女性への暴行場面や人の首を切る描写を問題視。同月中に市内の全小中学校に対し、
      作品を図書館の倉庫などにしまい、子どもから要望がない限りは自由に閲覧できない「閉架」措置とするよう要請した。
      要請は市の教育委員会会議で議論されずに、市教委の独断で2度にわたり行われていた。
      清水伸夫松江市教育長は20日までの取材に、「手続き的にどうだったか調査する必要がある」と要請に至った過程の
      問題点を指摘。また、議会が陳情を不採択としたことや、市内外から反発の声が多数寄せられていることを受け、「今
      後は撤回も視野に、委員会会議の意見を聴いて再度検討したい」と話した。 

      22日には同会議が開かれ、閲覧制限が議題として取り上げられる予定。清水教育長は、「遅くとも月内に一定の結論を
      示したい」としている。

この松江市教委の「撤回検討」発言に至るまでには同市教委の愚行を批判する以下のような報道がありました。

まず今日のメディアの社説。

      ■(社説)はだしのゲン 閲覧制限はすぐ撤回を(朝日新聞 2013年8月20日)
      http://digital.asahi.com/articles/TKY201308190482.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201308190482

      広島での被爆を主題にした漫画「はだしのゲン」を、松江市教委が小・中学校の図書館で自由に読めなくするよう指示
      していたことがわかり、全国から批判が相次いでいる。

      作品の終盤には、旧日本軍がアジアの人々の首を切断するなどの描写がある。市教委は昨年12月、「過激な表現だ」
      として、学校の許可なしで見られなくするよう校長会に求めた。貸し出しも認めないという。

      「ゲン」は昨年12月に死去した漫画家の中沢啓治(なかざわけいじ)さんの作品だ。実体験した原爆の惨状と戦後の苦
      難に加え、資料などで知った戦場の様子を強烈なタッチで描いて反響を呼んだ。

      学校図書館で読める数少ない漫画として「ゲン」を手に取り、初めて原爆に関心を持った子どもも少なくない。

      市教委の指示は、子どもたちのそうした出会いを奪いかねないものだ。しかも重要な決定の場合、公開の教育委員会
      議にかけるべきだが、今回は事務局の判断で決まっており、不透明というしかない。市教委はただちに指示を撤回す
      べきだ。

      きっかけは、ある男性から昨年8月に市議会に出された陳情書だった。「ありもしない日本軍の蛮行が掲載され、子ど
      もたちに悪影響を及ぼす」とし、学校からの撤去を求めていた。

      陳情は不採択となったが、一部市議から「不良図書」ととらえ、市教委が適切な処置をすべきだとの意見があり、閲覧
      制限の指示につながった。

      「ゲン」には連載当時から「残酷」という声が寄せられ、中沢さんも描き方に悩んだと述懐している。旧軍の行為や昭和
      天皇の戦争責任を厳しく糾弾している点から、「偏向している」「反日漫画だ」といった批判も保守層の間で根強い。

      それでも、「ゲン」が高い評価を得たのは、自身が目の当たりにした戦争の残酷さを力いっぱい描くことで、「二度と戦
      争を起こしてはならない」と伝えようとした中沢さんの思いに子どもたちが共感したからだ。

      漫画を否定しがちだった先生たちが、限られた図書館予算の中から「ゲン」を積極的に受け入れたのも、作品のメッセ
      ージ力が強かったからこそだ。

      旧日本軍の行為や天皇の戦争責任をめぐっては今もさまざまな見方があり、「ゲン」に投影された中沢さんの歴史観に
      も議論はありえるだろう。

      それこそ、「ゲン」を題材に、子どもと大人が意見を交わし、一緒に考えていけばいい。最初から目をそらす必要はどこ
      にもない。

      ■社説:はだしのゲン 戦争知る貴重な作品だ(毎日新聞 2013年08月20日) 

      http://mainichi.jp/opinion/news/20130820k0000m070105000c.html

      原爆や戦争を教育現場で学び、その悲惨さを知る機会を子供たちから奪うことになるのではないか。

      自らの被爆体験を基に描いた故中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」が松江市内の小中学校の図書室で自由に閲覧
      できなくなったことだ。

      市教委は昨年12月、過激な描写があるとして、書庫に収める閉架措置を取るよう校長会で求めた。旧日本軍のアジ
      アでの行動などで暴力的な場面があり、子供が自由に読むのは不適切と判断したという。全10巻を保有する39校全
      てが応じた。

      この措置が先週明らかになると、市教委に全国から抗議や苦情が多数寄せられた。現場の教員からも、子供の知る
      権利の侵害だという批判が相次いでいる。

      戦争の恐ろしさを知り、平和の尊さを学ぶことは教育の中でも非常に重要な要素だ。平和教育を推進すべき教育委員
      会がそれを閉ざす対応をとったことには問題があり、撤回すべきだ。また、今回の措置は教育委員が出席する会議に
      は報告していないというが、学校現場の校長らも含めてしっかり議論すべきだろう。

      市教委がこのような判断をしたきっかけは、松江市議会に昨年8月、1人の市民から「誤った歴史認識を子供に植え付
      ける」と学校の図書室から撤去を求める陳情があったことだ。市議会は、過激な部分がある一方で、平和教育の参考
      書になっているとの意見があり、陳情を不採択にした。だが、独自に検討した市教委は「旧日本軍がアジアの人々の首
      を切るなど過激なシーンがある」として小中学生が自由に持ち出して読むのは適切ではないと判断した。

      1973年から少年漫画誌で連載された「はだしのゲン」は、戦争が人間性を奪う恐ろしさを描いた貴重な作品として高い
      評価を得てきた。約20カ国語に翻訳され、原爆被害の実相を広く世界に伝えている。松江市教委も、作品が平和教育
      の重要な教材であること自体は認め、教員の指導で授業に使うことに問題はないと説明している。

      作品に残酷な描写があるのは、戦争や原爆そのものが残酷であり、それを表現しているからだ。行き過ぎた規制は表
      現の自由を侵す恐れがあるだけでなく、子供たちが考える機会を奪うことにもなる。今回のような規制が前例となっては
      ならない。

      中沢さんは生前、「戦争や原爆というテーマは奥が深い。ゲンを入り口にいろいろと読んで成長してくれれば作者冥利に
      尽きる」と話している。被爆者が高齢化する一方、戦争を知らない世代が増え、戦争や原爆被害の体験を語り継ぐこと
      がますます重要な時代を迎えている。こうした継承を封じてはならない。 


今日の主な報道。

      ■他市町村は「ゲン」閲覧可能(中国新聞 2013年8月20日)
      http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201308200051.html

      松江市教委が漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を小中学校に要請していた問題で、広島、山口、島根の3県では、松江
      市と担当者が不在だった出雲市、島根県奥出雲町以外の計58市町村教委が閲覧制限の要請や指示をしておらず、
      今後も予定していないことが19日、分かった。中国地方の5県教委も同様に制限をしていない。

      はだしのゲンを学校の図書室や教室に置いたり、貸し出したりすることを制限しているかどうかを同日、中国新聞社が
      聞いた。

      広島県の全23市町教委と山口県の全19市町教委、島根県の16市町村教委は各校に要請も指示もしていない。大竹
      市教委の大石泰教育長は「長い間、読み継がれてきた名作。問題になったことはない」と話した。

      5県教委も制限をしていない。広島県教委は「日本図書館協会の『図書館の自由宣言』は図書館に資料の収集、提供
      の自由を保障している。国民の知る権利をむやみに制限をしてはならない」と説明する。(以下、略)

      ■はだしのゲン:閲覧制限 前教育長、教育委員に諮らず決定(毎日新聞 
2013年08月20日)
      http://mainichi.jp/select/news/20130820k0000m040125000c.html

      松江市教委が故中沢啓治さんが自らの被爆体験を基に描いた漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を全小中学校に求めて
      いる問題で、当時の福島律子教育長が自身を含めた教育委員(5人)の会議に諮ることなく判断したことが19日、分か
      った。同市教委は22日の定例会議で委員に説明するが、委員から「少なくとも(委員に)報告するべきだった」との声が
      あがっている。同市教委には19日夕までに1253件の意見がメールや電話などで寄せられ、9割が批判する内容だっ
      たという。(以下、略)

      ■「はだしのゲン、自由に読ませて」電子署名2日で6千人(朝日新聞 2013年8月19日)
      http://www.asahi.com/culture/update/0818/OSK201308180082.html

      ■「はだしのゲン」署名(Change.org  2013年08月20日)
      http://chn.ge/1ahoBHy

      16,104人の賛同者が集まりました(2013/08月/20日22:56現在)

      ■「『はだしのゲン』隠し」松江市教委の小心翼々を撃て!(きまぐれな日々 2013.08.20 )
      http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1315.html

      「今回も、松江市の騒動によって『はだしのゲン』が改めて注目されることになった。現第2次安倍内閣の副総理で財務
      相を務める麻生太郎が、第1次安倍内閣で外務大臣を務めていた2007年に、『はだしのゲン』を国連でアピールしてい
      た事実も発掘され、麻生財務相の先見の明が改めて評価されている(笑)。 

      http://www.47news.jp/CN/200704/CN2007042901000192.html

      ■「はだしのゲン」鳥取市でも閲覧制限NHK8月20日 16時43分
      http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130820/k10013896451000.html

      「広島県知事・閲覧制限は適当でない

      一方、この問題について広島県の湯崎知事は20日の記者会見で「『はだしのゲン』は広島の被爆の実相を伝える資料
      として、長年、たくさんの人が読み継いできたものだ。
      児童や生徒にはこうした資料を通して被爆の実相を理解してもらい、世界の平和と人類の幸福に貢献できる人に育って
      もらうことが大事だと思っている。自由に読んでもらっていいと思う」と述べ、閲覧制限は適当ではないという考えを示しま
      した。
      ↑
      *東本コメント:これで決まりですね。松江市教委は親分筋の広島県教委のその総元締めに当たる広島県知事に逆らう
      勇気など当然持たないでしょう。上記に引用した「きまぐれな日々」の主宰者のkojitakenさんも松山市教委の小官吏の面
      々を次のように憐れんでいます。「昨夜(8/19)の『報道ステーション』で、「『はだしのゲン』隠し」に加担した松江市教育委
      員会の委員がインタビューに答えていたが、恥ずべき小心さを露呈した教委に哀れを催した。同教委の「長いものに巻か
      れろ」根性は、あまりにも卑しい。だが、言論弾圧や表現の自由への侵害は、居丈高な権力者が行うというより、上記の
      松江市教委のような小心な人間が、事なかれ主義でじわじわと進めていくものなのだろう。それらに対してはいちいち抗
      っていくほかないが、それは思いのほか大変なことだ。億劫になって「ま、いいか」と思ってしまう人が増えるとともに、悪
      しき流れが加速していく」。


東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/ 



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