[CML 025988] 「風流夢譚」、電子化で解禁 半世紀前、テロ誘発した問題作

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2013年 8月 20日 (火) 19:37:56 JST


新聞記事・朝日新聞・8月20日朝刊

「風流夢譚」、電子化で解禁 半世紀前、テロ誘発した問題作
http://digital.asahi.com/articles/TKY201308190551.html?ref=pcviewpage
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深沢七郎(1914~87)の小説「風流夢譚(むたん)」――半世紀前に
月刊誌で発表されたがテロ事件の引き金となり、作者が書籍化を
封印した問題作だ。
それが今、電子書籍の“単行本”として入手可能になっている。

 ■発行者「現代の状況に重ねられる」

 電子書籍『風流夢譚』を発行したのは志木電子書籍の京谷六二
(きょうやむに)代表(51)。
一昨年11月の刊行後、口コミを中心に、月に30部ほどのペースで
売れ続けているという。

 月刊誌「中央公論」1960年12月号に、風流夢譚は掲載された。
主人公は時間の揺らぐ奇怪な「夢」の中で「革命」に遭遇し、「天皇」や
「皇太子」らが「処刑」された情景を見る。
その身体からはなぜか「金属性の音」が響き、やがて「辞世の御製(歌)」
をめぐる滑稽な解釈談義が始まる――。

 グロテスクさをはらんだ「処刑」場面が注目され、皇室への侮辱だ
という批判が噴出した。
翌年2月には右翼少年が中央公論社(当時)社長宅で家人らを殺傷
するテロ(嶋中事件)を起こした。

 ■作者自ら封印

 深沢は死傷者が出た事実に深い衝撃を受け、風流夢譚の書籍化を
自ら封印したと伝えられる。『深沢七郎集』や『深沢七郎選集』にも収録
されていない。

 雑誌への掲載時、編集部に2人いた次長のうちの1人が六二さんの
父、京谷秀夫さんだった。
文芸系の担当者で、右翼への対応に奔走。掲載後には辞表も出した。
テロ事件の直後に編集部から異動。63年に退社した。

 83年には著書『一九六一年冬』を発表し、自分には「天皇制論議を
再びタブー化」し「自己規制」の風潮を生んだ責任がある、と記した。
「私は『風流夢譚』をいつの日か復権させたいと願った」とも書いた。

 ■試験的に許可

 長男である六二さんが編集者の道に進んだのは、その2年後だった。
光文社でカッパブックスなどを手がけたあと退社。
2011年、電子専門のミニ出版社・志木電子書籍を設立した。

 手始めに「親孝行として」父の『一九六一年冬』を電子化したとき、
「風流夢譚自体を電子書籍にできないか」と思いついた。
著作権継承者に許諾を求めたら、意外にも了承された。

 なぜ今回、書籍化を解禁したのか。
継承者側は「紙の本としては許可していない」と説明する。
「電子書籍は本当に必要な人だけに届けられるものだから試験的に
許可した」という。

 「電子書籍だからこそ出版できた」と六二さんも語る。「資金のない
私には、印刷代や紙代、倉庫代が必要な紙の本では出せなかった」

 表現の残虐性や「皇族の人権」をめぐって批判も予想される問題作を
なぜ公刊したのか。
「3・11後の今、改めて読まれる意味があると思った」と六二さんは話す。

 「風流夢譚が発表されたのは、60年安保運動が急速に退潮した
直後だった。
革命や天皇制を風刺した背景に『この国は結局、何も変わらないじゃ
ないか』という深沢の思いが見える。
今、福島であれだけの原発事故が起き市民がデモをしても日本は
変わらない。
この時代状況に重ねることのできる作品だと思う」

 秀夫さんは昨年5月に死去した。
生前、六二さんは電子版『風流夢譚』の表紙デザインを父に見せている。
感想は「やっぱりドキッとするなあ」だったという。

 (塩倉裕)

 ■「皇族処刑の夢」表現に賛否

 「風流夢譚」は発表時、激しい賛否の議論を呼んだ。
皇族が夢の中で「処刑」される表現については、本紙「天声人語」も
「人道に反する」「夢物語だから許されるというものではなかろう」と非難。
右翼は「不敬だ」として作者の深沢七郎を脅迫した。

 他方、吉本隆明(評論家)は、作中の「皇太子」らは「実在の人物とは
似つかぬ」「人形」のように描かれていると擁護。
「月例の作品のなかでは最上等の部」と評し、孤立する文学者を守らない
ジャーナリズムを批判した。
武田泰淳(作家)も「痛快な作品」と評価。象徴天皇制の「非人間」性を
指摘し、「天皇を無生物視している悪逆の徒は深沢氏ではなく」、深沢を
「ひどい」と攻撃する人々の方だとした。

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詳細は以下で

志木電子書籍
http://www.shiki-digitalbooks.co.jp/

風流夢譚
深沢七郎 330円

一九六一年冬「風流夢譚」事件
京谷秀夫 350円

『風流夢譚』事件以後
中村智子 350円 



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