[CML 025855] ヘイトスピーチをたたく 「レイシストをしばき隊」野間易通

BARA harumi-s at mars.dti.ne.jp
2013年 8月 10日 (土) 09:26:14 JST


*参考にどうぞ

新聞記事
朝日新聞・WEB
2013.8.10

ヘイトスピーチをたたく 「レイシストをしばき隊」野間易通
どんどん罵倒してへこませたい
http://digital.asahi.com/articles/TKY201308090479.html?ref=pcviewer

在日韓国・朝鮮人らに対して激しい差別の言葉を浴びせるデモ
だけでなく、それを阻止しようとする行動も活発化してきた。
中でも活動家・野間易通さん主宰の「レイシストをしばき隊」
(しばき隊)は、相手を直接ののしったり、時にはつかみかかったりと、
その過激さで知られる。
なぜ、そこまでやるのか。


 韓流ファンでにぎわう日曜日の東京・新大久保路上。日の丸や
旭日旗を手にした百数十人が機動隊にガードされつつデモ行進し、
「朝鮮人は日本のゴキブリ」「たたき出せ!」などと口々に叫ぶ。
特定の人種や民族への憎悪をあおり立てる「ヘイトスピーチ」と
呼ばれる差別的表現だ。
「在日特権を許さない市民の会」(在特会)や同種の主張をする
団体が、デモ隊の中核となっている。

 一方、沿道を埋める人々からは、「帰れ!」という怒号がわき
起こる。「差別主義者は恥を知れ」というプラカードを掲げたり、
拡声機で「お前らこそゴキブリ」「死ね」と罵声を浴びせたり。
しばき隊などデモを阻止しようと集まったカウンター(対抗)行動の
人々だ。
その数、ざっと300人以上。

 騒ぎをぼうぜんと見つめる観光客たち。
おびえた表情の幼児もいる。
6月16日には至る所で乱闘が起き、デモ隊と阻止する側に
4人ずつの逮捕者が出た。

    ■     ■

 ――デモ側と阻止側が、公道でののしり合う現状をどう見ますか?

 「すばらしいです。
沿道で罵声を浴びせる人は、しばき隊のメンバーと思われがち
ですが、大多数はデモに怒りを感じ、自発的に集まった人たちです。
人種差別主義者、レイシストの集団は一般市民に包囲されるべきだ
とずっと考えてきましたが、それに近いことが起きている。
カウンター行動として理想的状態です」

 ――騒音はひどいし、通行もままならない。
汚い言葉の応酬は不愉快です。これが理想的ですか?

 「怒りをベースにした行動であれば、言葉も怒りをはらみます。
欧米の反ファシスト運動はもっと怒りの要素が多いし、実力行使も
されている。
それに比べれば、まったく平和的な光景と言ってもいいぐらいです。
僕らは彼らを罵倒し続けることで、精神的にへこませ、デモに行く
気を失わせようとしている」

 「2010年から、在特会などへのカウンター行動に参加してきま
したが、東京では多くても数十人しか集まらず、事実上何もできな
かった。
一方、彼らは昨年の李明博大統領の竹島上陸で勢いづき、
新大久保デモに加え、『お散歩』と称する嫌がらせを始めた。
通りの店に因縁をつけ、通行人に暴力的に絡む。
何とかしたいと今年1月末、ネットでしばき隊への参加を呼び
かけました」

 「最初はデモへの直接抗議ではなく、お散歩をやめさせることに
重点を置いていました。
だが、2月17日のデモでは、しばき隊以外にもプラカードを掲げて
抗議する人が30人ほど出て、1カ月後には数百人に膨らんだ。
それでごく自然に、全体がデモへの直接抗議に移行した。
色々な人がさまざまなやり方で抗議していますが、しばき隊はどん
どん罵倒するのが基本方針。
僕がよく使う言葉は、『人間のクズ』『日本の恥』などですが、もっと
罵倒の技術を磨かねば、と考えています」

 ――デモに抗議するにしても、他にやりようはないのですか?

 「カウンター行動は、これまで上品な左派リベラルの人も試みて
きました。
ところが悲しいことに、『私たちはこのような排外主義を決して許す
ことはできません』といった理路整然とした口調では、たとえ正論
でも人の心に響かない」

 「公道で『朝鮮人は殺せ』『たたき出せ』と叫び続ける人々を目の
前にして、冷静でいる方がおかしい。
むしろ『何言っているんだ、バカヤロー』と叫ぶのが正常な反応で
はないか。
レイシストに直接怒りをぶつけたい、という思いの人々が新大久保
に集まっています」

 「官邸前の反原発抗議行動も、一般には平和的な雰囲気と思わ
れているが、12年春に始まった当初は、汚い言葉で首相や閣僚を
ののしっていた。
官邸の中の当事者たちに直接怒りの言葉を届かせる、というスタイル
が共感を集め、多くの人が集まった。
近年の市民運動はソフト志向でしたが、人々が本当に怒っている
場合には、怒りを共有し、正しい対象に向けて表出できる場が必要
なのだと思いました。その経験がしばき隊の行動につながっています」

 ――デモ隊もしばき隊も「どっちもどっちだな」という印象を受けます。

 「彼らも僕らも普通の市民。日本社会の多数派、マジョリティーです。
それが罵倒し合う光景だけ見れば、確かに『どっちもどっち』です。
だが、そこで見落とされているのは、彼らが社会の少数派、マイノリ
ティーを攻撃しており、僕らがそれに反対しているということ。
民族差別を楽しむ人と、それに怒っている人のどちらに正義があるか。
それは明らかでしょう」

 
 ――しばき隊は「正義の味方」ですか。

 「しばき隊の素行もデモ隊に劣らず悪く、決して『善』ではない。
レイシストとの対決は『悪対悪』とさえ言えますが、それでも『正義』は
疑いの余地なく僕らの側にある」

 ――なぜですか?

 「善悪は相対的なものですが、正義・不正義の問題は善悪の観点
では相対化ができない。
米国の政治哲学者ジョン・ロールズの言うように、正義を『公正さ』と
いう観点から捉えれば、マジョリティーがマイノリティーを抑圧する
民族差別は、決して公正ではない。
これは論理的に導かれる結論です。
例えばヘイトスピーチは一見言論のように見えて、実は言論では
対抗できない非対称性、暴力性を持っています。
『日本から出て行け!』と言われた在日外国人が、『そっちこそ出て
行け』と日本人に言い返しても、何のダメージも与えられない。
それこそが不公正であり、不正義なのです」

 「しばき隊も在特会も『両方とも消えればいい』とか言う人がよく
いるが、実はその通り。
僕らの目的は組織の維持ではなく、彼らのヘイトスピーチをやめ
させること。
騒ぎがエスカレートして、どっちも警察につぶされたとしても、街頭
でのヘイトがなくなるならそれでいい」

 《6月30日の新大久保デモでは、カウンター側が衰えを見せない
一方、デモ側の人数も増えた。
また、7月7日に新大久保で予定されていたデモは延期され、8月
11日予定のデモも、別の地域に変更された。》

 ――デモ隊を刺激するよりも、放置した方が実害は少ないのでは?

 「1990年代末から、ネット上で差別発言が目立ってきたが、
マスメディアも含めみんな放置していた。
その結果、彼らはネットから外に出て、街で堂々と差別をするよう
になった。
このままでは欧米のように、差別が原因の凶悪犯罪が起こり
かねない。
その経緯を踏まえてなお『放っておけ』と言う人は、何を根拠に
そう思うのか」

 「例えば大手新聞はなぜ、そうした言論を批判するカウンター
言論を構築してこなかったのか。
今に至っても『法規制には慎重であるべきだ』とか『言論には
言論で対抗を』という方法論の主張ばかり。
何を言っているんだ、と思います」

 ――ヘイトスピーチが広がった責任はメディアにもある、と?

 「在特会など差別的な団体は、朝日新聞など左派リベラル
言論への反動として出てきた、という面もあります。
左派リベラルの『政治的正しさ』に手垢がつき、うさんくさく
思われ始めたところに、拉致問題などが重なった。
多くの人々が『左派メディアにだまされていた』と感じ、ネット
を中心に右翼的な言論が爆発的に増え、在特会などが登場
した」

 「表現の自由は本来、絶対的ですが、公共の福祉の観点
から少数者へのハラスメントを定義し、法で規制するのは
可能です。
だが、現状では行政が取り締まれない以上、市民が
カウンター言論を行うしかない」

 ――デモは許せないが、これだけの騒ぎになっている以上、
しばき隊に共感する人もほとんどいないのでは。
それでも続ける理由は?

 「子どもの頃、中沢啓治のマンガ『はだしのゲン』を繰り
返し読みました。
原爆被爆者への差別や民族差別が赤裸々に描かれますが、
登場人物は『政治的正しさ』とは無縁です。
『ゲンは言葉遣いも悪く、暴力的だから共感しない』という人は、
作品から何を読み取っていると言えるのか。
法や社会が人を守らない時、どういう原理原則で行動する
べきか。
あのマンガから学びました」

 (聞き手・石橋英昭、太田啓之)

     *

 のまやすみち 「レイシストをしばき隊」主宰 66年生まれ。
音楽雑誌副編集長を経て00年フリーに。
11年からネットで反原発デモを呼びかけ、首都圏反原発連合
の立ち上げにも参画。


 ◆キーワード

 <在特会> 特別永住資格を持つ在日韓国・朝鮮人が、
通名使用や生活保護受給などの特権を得ており、その
背景には「日本=悪」とみなす自虐史観がある、と主張
する市民団体。
2006年末に結成され、09年ごろから街頭での行動を
活発化させた。
京都の朝鮮学校の授業を妨害した事件などで逮捕者を
出している。会員数は公称約1万4千人。 



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