[CML 023915] 声明文「増長するヘイトスピーチに抗議し、民族差別と植民地主義の克服を求める」

Kang Hwangbum hwangbum03 at yahoo.co.jp
2013年 4月 26日 (金) 19:52:10 JST


※複数のMLに配信しております。重複する方にはご容赦願います。

在日コリアン青年連合(KEY)の姜晃範と申します。
皆様ご存知の通り、昨今、東京・新大久保や大阪・鶴橋をはじめ日本各地
で在日コリアンをターゲットにした民族排斥を叫ぶヘイトスピーチ・デモが
繰り返されています。

当会では、これらの動きに対して最早看過できるものではないと考え、
本日26日付けで抗議声明文を発表しました。
声明文は、マスコミ各社にプレスリリースしております。

下記ホームページにも掲載しております。ご参照下さい。
http://www.key-j.org/program/doc/130426_stmt_hatespeech.html




(以下、声明文)======================================
【声明】増長するヘイトスピーチに抗議し、民族差別と植民地主義の克服を求める

「コリアンタウン」として知られる東京・新大久保、大阪・鶴橋をはじめ日本の
各地で、コリアンを標的としたヘイトスピーチを叫ぶ排外デモが、今年 に入り
繰り返し行われている。そこでは数十名ないし数百名規模の集団が白昼堂々、
「朝鮮人を叩き出せ」「大虐殺」「良い韓国人も悪い韓国人も殺 せ」「ガス室
に送れ」「首を吊れ」などの差別発言を撒き散らしている。殺人にまで言及する
これらのヘイトスピーチは、「表現の自由」の範疇を逸脱 した、重大な人権侵
害である。
耳をふさぎたくなるような差別発言と民族排斥に、当事者である私たち在日コリ
アンは恐怖や不安を感じ、危機感を募らせている。この常軌を逸した排 外主義
者の行動に対して、私たちはもはや黙っているわけにはいかず、満腔の怒りを込
めて抗議する。

一連のヘイトスピーチは、殺人教唆が街頭で行われるという点において前代未聞
のものであるが、在日コリアンに対する差別や偏見の流布は、もとより 今に始
まったわけではない。このようなレイシズムの蔓延を生み出した原因は、在日コ
リアンの歴史的経緯や植民地支配についての教育を怠り、朝鮮植 民地支配の清
算を戦後65年以上も放置してきた日本政府とそれを支えてきた日本社会にある。
1990年代後半より顕著になってきた歴史修正主義の台頭は、過去の日本の植民地
支配を美化・歪曲し、それらの言説は多くの戦争被害者たちの尊厳 を繰り返し
傷つけてきた。2000年代になると、在日コリアンの歴史的経緯を無視した、事実
誤認にもとづく悪意ある書き込みはインターネット上で の日常茶飯事となっ
た。2000年代後半以降、排外主義者は街頭での直接行動を開始し、日本と朝鮮半
島の間で歴史認識や戦後補償をめぐる摩擦が起 こるたびに、戦争被害者たちへ
の罵詈雑言と在日コリアンへの攻撃は過激さを増している。
2010年、高校無償化法が成立したが、日本政府は朝鮮学校を無償化の対象から除
外した。これは国連の人種差別撤廃委員会など多方面から批判が出 ているとお
り、国家によるあからさまな民族差別である。この政府の方針を受けて各自治体
は朝鮮学校への補助金支給を次々に停止し、さらに昨年12 月に発足した安倍政
権は省令を改訂し、朝鮮学校の高校無償化制度からの完全な排除を行った。日本
国内および国際社会の批判を無視し、マイノリティ の子どもたちの教育を受け
る権利に対して日本政府が率先して差別の矛先を向けたことは、「草の根」の排
外主義に対しても在日コリアンへの差別を行 うことの「お墨付き」を与えている。

私たちKEYは10年前の2003年3月、「在日韓国青年連合」から「在日コリアン青年
連合(KEY)」へ名称変更を行った。「韓流ブーム」と 「北朝鮮バッシング」が
並存する中にあって、私たちは、在日コリアンが「南」や「北」、国籍や所属の
違いから生まれる様々な分断思考を乗り越えて 行動していくことが必要である
と考えた。それから10年を経た現在、在日コリアンをとりまく状況はさらに悪化
しているといわざるを得ない。無償化 問題を始めとした朝鮮学校に対する差別
はもはや公然と行われ、それだけに留まらず、昨今のヘイトスピーチでは韓国も
含めたコリアン全般に対する民 族差別・蔑視感が噴出している。このことは、
そもそも戦後より継続して向き合わなければならない課題であった日本と朝鮮半
島の関係、つまり<植民 地主義の克服>という課題の大きさを改めて示してい
ると言える。私たちはこのような状況下において、在日コリアン社会総体を見据
えて行動すること の重要性を再確認するものである。

私たちが目指すべきは、特定の民族が排除されながら国民のみが守られる社会で
はなく、様々な国籍やルーツを持った人々が多様性を認め合い、平和と 人権が
尊重される社会の実現である。これ以上のヘイトスピーチを許さないためにも、
日本政府に対し、排外デモの法規制、排外主義者の加害行為によ る被害の実態
調査、人種差別禁止に向けた法整備の検討を求めるとともに、日本と朝鮮半島の
相互理解の土台となる歴史認識の共有、植民地主義の克服 に向けた努力を求める。
在日コリアンは日本と朝鮮半島にまたがって、国家の境界に生きる存在である。
私たちは自らのルーツに根ざしながら、平和と人権という普遍的価値を 希求す
る市民として、日本社会の排外主義に対峙し、歴史認識に根ざした多民族多文化
共生社会の実現に向けての取り組みを今後も継続して行ってい く。

2013年4月26日
在日コリアン青年連合(KEY)



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