[CML 023730] 核先制攻撃宣言

泥憲和 n.doro at himesou.jp
2013年 4月 16日 (火) 13:20:11 JST


 「核ミサイルによる先制攻撃もあり得る」と北朝鮮が宣言したので、
メディアは非難一色だ。
 むろん、非難は当然だが、しかし、忘れていることがあるのではないか。
 忘れているなら、思い出してもらおう。

 いまから11年前の話だ。
 当時のブッシュ大統領が、2002年9月に、
「米国の国家安全保障戦略」
を発表した。

 その内容は、
「核をもたない国に対して、必要とあればアメリカは核で先制攻撃する」
というものだったので、世界が驚愕した。
 いま「北朝鮮」が言っているのと同じではないか。

 ブッシュは、核兵器は「日常的に使用可能な兵器」だとまで言いきった。
 そのために、今後20年間に少なくとも7種の核弾頭を開発せよと命じていた。

 こればかりではない。それに先立つ2001年12月、ブッシュはABM制限条約から一方的に脱退している。
 これにより、2002年6月13日にABM制限条約が失効してしまった。
 それまで核兵器を互いに削減してきた米国とロシアの積み重ねを、ブッシュが一挙に台無しにしてしまったのだ。

 しかも、一切の核実験を禁止するCTBT条約についても、
「冷戦の遺物だ」
と吐き捨てて死文化させてしまった。
 当時アメリカはCTBT条約に調印し、あとは議会が批准するばかりだったのにだ。 


 ヨーロッパをはじめとする国際社会が懸念したのは、
核兵器保有国が核軍縮義務を果たさないならば、
非核兵器国を説得する理由がなくなり、
核拡散に歯止めをかけられなくなることだった。
 懸念は的中し、インド・パキスタン・「北朝鮮」・イランと、核の拡散はとどまるところを知らない勢いだ。

 今日の事態を招いたのはブッシュの戦争政策だといっても過言ではない。
 むろん、ブッシュがそうしたからといっても、「北朝鮮」が直対応的にキバをむきだすのは許されないが、そうする口実を与えたのがブッシュであるのは間違いない。

 アメリカが核先制攻撃を宣言したらこれを支持し、
 「北朝鮮」が同じことを宣言したら大騒ぎ。
 わが日本は、なにか間違ってやしないか? 



CML メーリングリストの案内