[CML 023597] 東京東部労組の「市進学院」と プレカリアートユニオンの田口運送 初めての春闘

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2013年 4月 9日 (火) 21:47:58 JST


新聞記事
朝日新聞2013.4.9朝刊
http://digital.asahi.com/articles/TKY201304080741.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201304080741

労働者が会社に賃上げや職場環境の改善を求める「春闘」。
中小零細企業や非正規で働く人には無関係と思われがちだ。
だが、みずから労組をつくって初めての春闘にのぞんだ人たちがいた。
ストライキを打ったり、街頭で仲間を集めたり。
立ち上がった人たちを見た。

 ■非正規の塾講師、51歳で失職 「賃下げやめろ! 雇い止めを撤回しろ!」

 3月31日、首都圏で学習塾「市進学院」を運営する株式会社市進の講師たちが、ストライキを決行した。
千葉県市川市にある市進の親会社の前には、支援者を含めて約100人が集まり、シュプレヒコールをあげた。

 労組のメンバーは40~50代の男性講師8人。
1年間の有期雇用契約で会社に雇われ、入社以来すでに20回ほど契約更新を重ねてきた。

 ただ、会社が「51歳になったら契約を更新しない」と就業規則に定めているため、数年後には職を失いかねない。
実際に、51歳以上の組合員が今春、雇い止めにされた。

 組合の委員長で、小中学生に理科や数学を教えている並木創一さん(50)が、街頭でメガホンを握り、叫んだ。
「雇い止めにおびえながら、毎日教壇に立っている。仲間のクビが切られるのを、我々は黙って見過ごせない」

 並木さんが労組をつくろうと決めたのは、昨年10月。人事制度の変更で翌年から給料が下がる可能性があることが分かったためだ。
「雇い止めにされる日も迫ってきていて不安なのに、いまの生活もままならなくなる。立ち上がるしかない、と思った」と話す。
信頼できる講師仲間に声をかけ、酒を飲みながら組合に誘った。みんな同じ不安をかかえていた。

 昨年12月、1人でも入れる労組「全国一般東京東部労組」の支部として、労組を結成。
冬季講習が終わった1月半ば、会社に団体交渉を申し入れた。ストは、交渉で満足のいく回答が得られなかったためだ。

 仕事後によく食事に誘ってくれた正社員の上司は、声をかけてくれなくなった。
塾に通う子どもたちに迷惑がかかるのも心配だ。だが、「もう後戻りできない。納得いくまで会社とたたかう」と並木さんは語る。

 市進ホールディングスの金野光宏副会長は、「講師たちの合意を得たうえで現在の制度をつくった。
いまのところ人事制度を変えるつもりはない」と説明している。


 ■中小の同業者で連携 「トラック運転手組合作りました よろしく!」

 2月20日の夕方、東京都中央区の物流センター前。東京都内の運送会社に勤めるトラック運転手梅木隆弘さん(44)=東京都=が、
荷物を積みに集まる運転手に、労組への勧誘ビラを配っていた。

 トラック運転手たちは会社で顔を合わせることはほとんどない。
そこで、非番の日の夕方や早朝、運転手が集まりやすい物流センターや高速道路のサービスエリアを回る。

 他社の運転手にも声をかける。「同業の人すべてに関わる問題。みんなが置かれている労働環境を自覚すれば、業界ごと変えられる」。
梅木さんは昨年11月、同業他社で働く運転手とともに、1人でも入れる労組「プレカリアートユニオン」の支部を職場につくった。

 車内の待機時間も含めると拘束は1日12~14時間。月に計250~300時間働くが月収は25万円。
「20年前は50万円だった。働きに見合った給料をもらっていない」という。
「残業代の支払い徹底」「商品を壊した時の弁償制度の廃止」を約束させるため、会社と交渉中だ。

 ビラ配りを始めて数カ月。他社の運転手から声をかけてもらう回数も増え、自分たちの活動が広まってきたと感じている。
「組合員も着実に増えている。この春闘で、なにか一つでも勝ち取りたい」(牧内昇平) 



 ■労組がなかったら

 「1人でも入れる労組」は、主に個人加盟ユニオンや合同労組と呼ばれる。
地域別や産業別で組織されていることが多い。
専従スタッフがいて、職場に労組をつくる際には、規約づくりや役員の選出、会計処理の方法などをアドバイスする。団体交渉も一緒に取り組む。
メンバーの組合費や入会金を主な収入源として活動している。

 労組は2人以上の労働者が集まればつくれる。
組合員の勤務先は別でもよく、雇用形態の制約もない。
このため職場に労組がない人や労組があっても加入資格がない非正規労働者らが、こういった労組に集まってそれぞれの会社と交渉している。


 ■低い加入率が壁に

 中小企業や非正規の働き手の多くは、労組が職場にない。
厚生労働省によると、2012年6月の労組加入率は、常用労働者1千人以上の大企業で46%だが、100人以上1千人未満の中小では13%、
100人未満ではわずか1%。雇用形態がパート労働だと、加入率は6%と低い。

 大企業の加入率が中小に比べて高いのは、正社員が加入する企業別労組があるからだ。 

だが、正社員限定の場合が多く、非正規の人は春闘の蚊帳の外だ。
非正規の割合が労働者全体の3割超を占めるいま、「春闘が働き手の底上げになっていない」との批判もある。 



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