[CML 023591] 三度、共産党に「護憲共同」と「共同候補」問題について再考をうながす ――阿部治平さん(もと高校教師)の「護憲・反原発勢力は選挙協力を――共産党に残された道」という論のご紹介

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2013年 4月 9日 (火) 18:29:08 JST


私は先に「『護憲=革新共同候補』擁立問題と『護憲第3極=反ファッシズム統一戦線』形成の課題~長野の共同候補擁立運動
の挫折の経験から改めて考える」 (弊ブログ 2013.03.31付)という記事を書いて、共産党が「共同候補擁立」に関して現在採用し
ている「参議院選挙での選挙共闘は国政の基本問題での一致が不可欠であり、現状では国政選挙で日本共産党と共同する条件
と意思がある政党はなく、沖縄以外の(地で)共同候補の現実的な可能性は存在しない」という認識について私の異見を述べ、同
党に真摯な再考を求めてみたのですが、むろん無名の一介の市民、一個の有象無象のブロガーにすぎない私ごときの意見(むろ
ん左記は謙遜の表現です。人の意見には内容的に見るものがあるかどうかの差はあっても、すべて人は個として尊重されるので
あって、そういう意味で人に上下の差などあるはずもありませんし、あってもいけません)が同党本部に届いているはずもありませ
ん。
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-546.html

が、私とほぼ同様の共産党に対する異見を『チベット高原の片隅で』(連合出版 
2012年)、『もうひとつのチベット現代史』(明石書
店 2006年)などの著者で中国の政治と農業に詳しい阿部治平さん(中国・元日本語教師)が「リベラル21」ブログに発表されてい
ます。阿部さんの「リベラル21」での論攷を以下再録させていただくことで改めて同党に「共同候補擁立」と広原盛明さん(元京都
府立大学学長)の提起する公開討論集会への参加について再考をうながす契機になれば、というのが私の意とするところです。

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■護憲・反原発勢力は選挙協力を――共産党に残された道――八ヶ岳山麓から(64)――(リベラル21 阿部治平 2013.04.07)
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-2330.html#more

3月27日「しんぶん赤旗」によると、共産党長野県委員会は「参院選で共同候補を擁立する長野県民の会」準備会の共同候補を
立ててほしいという要請に、「長野選挙区は党独自候補で」と回答したという。がっかりした。

本ブログには、先の衆議院議員選挙とその後の政治情勢について、広原盛明氏の優れた論考(「2013.03.02 ……革新政党の不
振と衰退は目を覆うばかりだ」)があり、それに共鳴するコメントも多く寄せられている。これ以上私ごときが、付加えることはない
かもしれないが、この際どうしてもひとこといいたい。

共産党は老人党

いま護憲派政党のなかで組織的行動力を持っているのは共産党だけだ。ところが、その機関誌「前衛」4月号巻頭談話で山下
芳生参議院議員は、「(衆院選で)議席を後退させた最大の原因が党の自力の問題にあること、とりわけ『国民に溶け込み結び
つく力』が今の情勢が求めているものに比べて小さいし、弱まっている面もある……」と党の行動力が弱体化していることを語っ
ている。共産党が珍しくも自ら認めた「弱まっている面」とは何か。

「前衛」2・3・4月号3冊の「読者の声」欄にあった。投稿者は3冊あわせて28人。年齢別にみると、20代30代がそれぞれ1人、40
代3人、50代2人、60代9人、70代9人、80代3人である。「前衛」に投稿するくらいの人は活動家か熱心なシンパだから、「弱ま
っている面」とは、活動家が60,70歳の高齢者になってしまったことだとわかる。

これを村の古参党員の友人にいうと、「オレのところも年寄りが多いが……」と暗い顔をした。

山口議員は「政治の表層では逆流が激しいが、深部で古い政治の矛盾が蓄積(している)」と中央委員会決議をくりかえし、
「異常なゆきづまりを見せる財界中心の政治、アメリカのいいなりになる政治」を批判し、「賃上げと安定した雇用」「内部留保
を賃上げへ」など従来通りの政策を語る。

そしてに「国民に溶け込み結びつく力」を強調して、党員の「がんばり」を求め、ひたすら得票を拡大しようと呼びかける。だが
党内の「弱まっている面」をどうするのか。その対策なしには得票拡大は現実無視の空論である。こうした精神主義はたいて
い間違うものである。

村人の声

我村で長年農協勤めだった人は「この村で、なにがなんでも憲法第九条を変えようという人はわずかだ。だが自民党に投票
する人を護憲派に切替させるのは難しい。共産党が共産党を名乗り社会主義を目指すといっている限り、これ以上得票を
増やそうとするのはもっと難しい」といった。これには共産党氏は反発して「共産党という党名を捨て、社会主義という目標を
いわなくなったら共産党じゃなくなる」といった。

彼は40数年間、村議会を翼賛議会から討論の場に変え、老人医療無料化に取組み、世話役活動をしてきた人物である。
その努力のためか、私の故郷では村議11人中2人が共産党である。

だが元農協氏はいう。「TPP問題では共産党はいいことをいったのに、選挙のときは自民党もTPP反対だったから、自民党に
票を浚われた。共産党も社会主義も手あかがついている。いっそのこと、社会主義を日本型福祉社会に変えて、党の名前
も日本福祉党とかにしたらどうか」

村ではたしかに社会主義とか共産党ということばからうける印象は暗い。そのイメージはどうやっても過去のソ連・東欧・中
国の社会主義と絶縁できない。にもかかわらず共産党は「中国やベトナム、キューバは社会主義へ向かう国だ」といってい
る。だが、そういう社会主義は村人にとってまったく魅力がない。

ふたたび護憲・反原発選挙協力を

共産党は、参院選に臨む政治路線や活動方針は衆院選のままで、活動家の老齢化対策もない。このままでは火縄銃で
マシンガンに向かうようなもので、我村だけではなく、日本全国でも敗北は必至だ。政治情勢によっては、共産党の敗北
がすぐには護憲勢力の決定的衰退とはならないかもしれないが、そうなる危険はある。 


最近の共同通信の世論調査によれば、憲法改正の発議要件の緩和について、自民・日本維新・公明党の支持者は半数
以上が賛成である。沖縄普天間飛行場の移設先を(県外ではなく)名護市辺野古へ持って行くことに55.5%の人が「評価
する」「ある程度評価する」と答えている(2013・3・23と24、回答者1015人)。知りあいの新聞記者によれば、護憲派衆議院
議員は(数え方にもよるだろうが)40数名にすぎないという。

冒頭紹介したような「政治の表層では逆流が激しいが、深部で古い政治の矛盾が蓄積(している)」などとノーテンキなこと
をいっている場合ではない。ニューヨーク・タイムズだって安倍内閣を「日本の歴史を否定する右翼ナショナリスト」の登場
といっている。共産党も護憲諸派も崖っぷちに立っている。

先の都知事選挙は、宇都宮健児氏すなわち護憲・反原発連合の惨敗だったが、生かすべき教訓はある。市民団体を含
めた護憲・反原発諸派の連合すなわち選挙協力である。

冒頭挙げた本ブログ「広原盛明氏の論説」にコメントを寄せた田島隆氏は、「一番肝心な点は、政党が『党の成長・発展
目標』よりも『護憲勢力の再構築』を上位に位置づけることができるかどうかという点でしょう。そのためには強力な市民
の力がないと不可能だと思います」といい、さらに、本来ならば統一戦線の呼びかけは共産党が行うべきだが今の状態
ではとても見通しがない、という。同党長野県委員会の態度を見ればたしかにそうだ。 


もう間に合わないかもしれないが、私はあえて共産党中央にいいたい。共産党は、互いに嫌い反発している他の護憲・
反原発諸派に、「いきがかりを捨てて連合しよう」と呼びかけるべきだ。長野県の過去の参院選をみれば、護憲・反原発
の統一候補を立てれば、当選ライン30万の得票は可能である。このままではいかにも惜しい。

中国の国共合作・抗日民族統一戦線は国民党と中国共産党の殺しあいのなかで生まれた。それは追い詰められた中
共を救い、中国の抗日戦勝利を導いた。共産党は歴史の教訓を学び、都知事選の経験を生かすべきである。選挙協
力は護憲・反原発勢力を立ち直らせる。またそれは共産党を敗北から救う残された道である。
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東本高志@大分
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