[CML 019844] 井戸弁護士(ふくしま集団疎開裁判弁護団)の「福島の子どもたちの甲状腺嚢胞の発生比率」情報の誤謬性について~「重要情報:福島の子どもたちの甲状腺嚢胞の発生比率」という情報の誤謬性について(その2)

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2012年 9月 15日 (土) 12:28:03 JST


私はCML 019721(2012年9月8日付)で「『重要情報:福島の子どもたちの甲状腺嚢胞の発生比率』 という情報の誤謬性について」
という転載プラス私見情報を発信しました。
http://list.jca.apc.org/public/cml/2012-September/019524.html

その私の「転載プラス私見情報」への異論ということでもあるのでしょう。標題の件に関して、今度は「唯一の原発差し止め判決を
出した元裁判長・井戸謙一弁護士」の「福島の子どもたちの甲状腺嚢胞の発生比率」情報に対する見解をあるMLに転載される
方がいらっしゃいました。

この件に関する井戸謙一弁護士の見解とは次のようなものです。

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皆さん 井戸です。

私たちは,福島の環境は,子供たちを育てる環境ではない,国や行政が責任を持って集団避難させるべきだと主張してきました。

昨年公表された福島県の子供たち3千数百人の甲状腺の検査結果では,その35%に結節や嚢胞が発見されました。今までの
データでは,子供の甲状腺の結節や嚢胞は,せいぜい1%程度みられるだけだったのです。それでも,福島県は,問題ないとの
態度を崩しませんでした。

本日,今年に入ってからの子供の甲状腺検査の結果が発表されました。結節及び嚢胞がある子供が43%でした。昨年の検査
は,浜通りの福島第一原発に近いところの子供たちでしたが,今年の検査の対象は大部分が福島市内です。

また,とうとう,福島で甲状腺ガンの子供が一人発生しました。子供の甲状腺ガンは,通常は数十万人に一人という珍しい病気
です。 結節や嚢胞は,直ちにガンに結びつくものではないとは いえ,福島の多くの子供たちの甲状腺に異常が生じているのは
明らかです。

暗澹たる気持ちになります。

この大ニュースが今のところ大手マスコミではほとんど報道されていません。
マスコミの偏向ぶりは,3.11を経ても,全く変わりませんね。

私が弁護団に入っているふくしま集団疎開裁判(郡山の子供たちが,郡山市に対して集団疎開させるよう求めた裁判)は,10月
1日に仙台高裁で審尋期日が開かれます。

注目していただければ幸いです。

http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/240911kentouiinkaisiryou.pdf#page=19

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120911/dst12091122230026-n1.htm
井戸謙一法律事務所
弁護士 井戸謙一
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下記はその井戸弁護士の「福島の子どもたちの甲状腺嚢胞の発生比率」情報を転載された方への私の反論的返信です。ご参
考に供させていただきたいと思います。

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Kさん

Kさんには言うまでもないことでしょうが、肩書や経歴は他者(ひと)を評価する際のひとつの便益な尺度にはなりえますが、それ
はあくまでも「ひとつの尺度」ということでしかありません。逆に肩書や経歴はしばしば他者の評価を過たせる誤認の因ともなり
やすい。ということは、私たちは経験則上よく知っています。

たとえ「唯一の原発差し止め判決を出した元裁判長・井戸謙一弁護士」であったとしても、「昨年公表された福島県の子供たち
3千数百人の甲状腺の検査結果では,その35%に結節や嚢胞が発見されました。今までのデータでは,子供の甲状腺の結節
や嚢胞は,せいぜい1%程度みられるだけだったのです」という認識は誤っています。 


第1に「今までのデータでは,子供の甲状腺の結節や嚢胞は,せいぜい1%程度みられるだけだったのです」という井戸弁護士
の認識はすでにご紹介しているものですが(CML 019721)全国42の国立大学病院のネットワーク組織である下記の大学病院
医療情報ネットワーク(University Hospital Medical Information Network = 
 UMIN)の甲状腺結節・腫瘍の頻度の説明と根底的に
異なっています。UMIN(★)はこの点について次のように説明しています。

    「甲状腺結節・腫瘍の頻度は多く、健康な人でも詳しく調べれば10人中約3人の割合で甲状腺内の「シコリ」が見つかり
    ます」云々。
    http://plaza.umin.ac.jp/~kid-endo/rinsho/endodisease/thyroid/thyroidadenoma.html

    ★UMINとは、「全国42の国立大学病院のネットワーク組織です。東大病院内にセンターが設置されて、全国にサービ
    スを行っています」という説明が下記にあります。
    http://www.umin.ac.jp/umin/summary.htm

上記でUMINのいう「10人中約3人の割合」とはいうまでもなく約33.3%のことです。井戸弁護士の「今までのデータでは,子
供の甲状腺の結節や嚢胞は,せいぜい1%程度みられるだけだったのです」という認識とは根底的に異なります。どちらが信
用できるかといえば、当然、任意団体とはいえ医療の専門家集団としての「全国42の国立大学病院のネットワーク組織であ
る」UMINの説明、ということになるでしょう。

第2に通常のこととして「10人中約3人の割合」、すなわち約33.3%の割合で甲状腺結節・腫瘍の罹患者がいるという上記
のUMINの解説から見ると、井戸弁護士のいう「昨年公表された福島県の子供たち3千数百人の甲状腺の検査結果で」「その
35%に結節や嚢胞が発見され」たという点についても驚くことではありません。「約33.3%」と「35%」の違いですからその
違いは統計用語でいうところの「ゆらぎ(誤差)」の範囲内ということができるでしょう。「35%」が特に有意に大きな数字という
ことはできないように思います。

第3に福島市内の今年の子供の甲状腺検査の結果で出た「結節及び嚢胞がある子供が43%」という数値についても、井戸
弁護士が示す「第8回福島県「県民健康管理調査」検討委員会次第」の「甲状腺検査の結果概要 廖19頁)の表の「判定結
果の説明」という表の注意書きを見ても、「43.1%」(H24年度)という数値は「35.3%」(H23年度)と比べて比較的有意な
違いを示す数値のように見えなくはありませんが、その「43.1%」の数値は「次回(平成26年度以降)の検査まで経過観察」
のための簡易検査用の数値であって、「5.1mm以上の結節や20.1mm以上の嚢胞を認めたもの」を検査したB判定の二
次検査(詳細検査)では「0.5% 」(H23年度)に対して「0.6%」(H24年度)の違いを示すに留まり、これも「ゆらぎ(誤差)」の範囲
内の数値と見るべきでしょう。
http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/240911kentouiinkaisiryou.pdf#page=19

第4に井戸弁護士によれば、「とうとう,福島で甲状腺ガンの子供が一人発生しました」ということですが、その子どもの甲状
腺ガンの発生と原発事故との因果関係は証明されていません。
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/09/20120912t61018.htm

井戸謙一弁護士の上記の認識は総じてやはり誤っている、と見るべきでしょう。
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東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/ 



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