[CML 019722] 「核被害者世界大会」広島開催の提案―放射能による生命と地球の汚染に直面して私たちは何をなすべきか―

Yasuaki Matsumoto y_matsu29 at ybb.ne.jp
2012年 9月 8日 (土) 23:30:15 JST


みなさまへ    (BCCにて)松元

広島平和研究所教授の田中利幸さんが執筆した、2015年、広島長崎原爆の
70周年の年に広島で「核被害者世界大会」開催をする提案が、 Peace
Philosophy のブログに掲載されました。紹介いたします。

●Peace Philosophy ブログ(提案の英語版も掲載されています。)
Peace Philosophy Centre <http://peacephilosophy.blogspot.com.es/>

======以下全文転載======

■「核被害者世界大会」広島開催の提案
− 放射能による生命と地球の汚染に直面して私たちは何をなすべきか ―

2011年3月11日に起きた福島第1原発事故によって放出され、今も放出され続けて
いる大量の高レベル放射能は、福島な らびにその周辺地域住民と環境にはもち
ろん、今や日本全国、いやアジアを含む世界の様々な地域に及ぶ住民と自然環境
にまで危険をもた らしていることは、誰の目にも明らかです。
私たち日本の市民、とくに原爆 攻撃による放射能被害で、言語に絶する深い肉
体的・精神的苦痛を70年近く強 いられてきた被爆者をもつ広島・長崎市民に
とっては、放射能が持つ恐るべき破壊力と殺傷力について、あらためて考え直す
ことを迫られ ている毎日です。
周知のように、1945年8月6日早朝、広島市はウラン 爆弾による爆風・火炎・放
射能によって焦熱地獄と化しました。3日後には、プ ルトニウム爆弾で長崎市が
潰滅。両市で12万人もの市民が即時に殺戮され、そ の年末までには21万人以上
が、主として放射能によるいわゆる「原爆病」が原 因で死亡しました。被爆者
は、いつ癌やその他の致命的な病に冒されるか分からないという恐怖に怯える生
活を、70年近く経た今も余儀なくされています。
こ のように、長年にわたり無数の市民を無差別に殺傷する核兵器の使用は、明
らかに重大な「人道に対する罪」です。ひじょうに残念なが ら、今回の福島原
発事故 でも、外部・内部の両被曝の結果、これから長期にわたり、予想もつか
ないほど多くの市民が様々な病気に苦しむことになるでしょう。1986年4月に起
きたチェル ノブイリ事故では、ウクライナ国内の被曝者数だけでも343万人に上
ると言わ れており、周辺住民の癌や心臓病などの発生率はとりわけ高くなって
います。このことから、原発事故も「無差別大量殺傷」という犯罪行 為です。
「無差別殺傷」ではありながらも、とくに胎児・乳幼児・小児に犠牲者が多いの
が、放射能汚染の特徴の一つです。
一 旦、チェルノブイリや福島でのような大規模事故が起きれば、放射能放出汚
染による甚大な人的・物的損害ならびに環境破壊は、もはや金 銭的な計算では
とても はじき出せないような天文学的数字の額に上ってしまいます。原発事故
による「被害と破壊」は、まさに核兵器使用による「被害と破壊」 に匹敵する
ものです。 なぜなら、原子力の「平和利用」は、本来は「軍事利用」であるか
らに他なりません。原子力「軍事利用」の目的は軍事目標の破壊であ り、敵国
将兵と市民の無 差別殺傷ですから、原発事故も、核兵器攻撃と同じく、放射能
による「無差別大量殺傷行為」となりうることは、したがって全く不思議で は
ありません。
放 射能汚染の被害者は、核兵器攻撃と原発事故の被害者に留まるものではあり
ません。ウラン鉱石の採掘・精錬、ウラン濃縮、核兵器製造と 核爆発実験、核
燃料製 造と原子力発電運転、使用済み核燃料の再処理、核廃棄物の処理・処分
など、核兵器製造と原子力発電の全ての工程で放射能が放出され、 無数の人間
を殺傷し、 環境を激しく汚染してきました。さらに最近では、いわゆる「劣化
ウラン兵器」、すなわち放射線兵器の製造と使用によっても、世界各地 で多く
の被害者が作り 出され、環境破壊が行われています。
ウ ラン鉱石採掘・精錬と核実験は、とくに、アルジェリア、ナミビア、ザンビ
ア、西カザフ、セミパラチンスク、ロプノール、オーストラリ ア中央部、南太
平洋諸 島、アメリカ北西部、カナダ各地などに居住している少数民族の多くの
人命と自然環境を犠牲にして続けられてきました。核実験の犠牲者 には、焼津
の漁民の人 たちも含まれていることは周知のところです。さらには、核兵器製
造工場からの放射能放出汚染では、ロシア共和国のウラル、アメリカの ワシン
トン州ハン フォード、コロラド州ロッキーフラッツ、イギリス北西部セラ
フィールドなどの施設からの、高濃度レベル放射性廃棄物の垂れ流しが問題 と
なっています。こう した核兵器製造工場からの放射能汚染で被曝した周辺住民
の数はあまりにも多く、確定数が出せませんが、おそらくは百万という単位の数
になるはずです。
こ のように、核物質を取り扱う「核・原子力サイクル」の各局面を概観してみ
ても、核被害者は世界の様々な地域に無数に存在することが分 かります。チェ
ルノブ イリや福島原発事故による放射能の拡散状況、さらには、これまで世界
で2千回以上行われてきた核実験による放射能の拡散状況を考えて みるなら
ば、地球全体 が核の被害を被っており、人類全てが被曝者であるといっても決
して過言ではないのです。
こ のような状況にあってもまだなお、「核兵器抑止力」とか「原発の経済性」
などと主張することは、まさに犯罪的行為であると言わざるを えません。無差
別に無 数の被曝者を世界各地で出し、今も出し続けている「核・原子力サイク
ル」の維持・運用そのものが「人道に対する罪」という明らかな犯 罪行為であ
ることを、 私たちははっきりと認識すべきなのです。
しかし、放射能は、人間のみならず、動植物を含む海陸の生きものを無差別 に
且つ大量に殺傷します。20世 紀半ばから始まった「核の時代」は、かくして、
人類を含むあらゆる「生きもの」、すなわち様々な生命体を犠牲にして築き上げ
られてき た、いわば「殺戮の政 治・経済・社会・文化体制」であると言えま
す。このような体制の確立と維持に努力または協力してきた人間の行為は、あら
ゆる「生きも の」の「生存権の否 定」という行為であり、人類とすべての生物
と地球を絶滅の危険に曝すことを厭わなかった明確な「犯罪行為」であったし、
現在も多くの 人間が、そうした犯罪 行為に深く関わっているのが実情なのです。
「核・ 原子力サイクル」による「あらゆる生物の無差別殺戮行為」という犯罪
に対して、今、私たちは一致団結して立ち上がり、「核・原子力サ イクル」全
体を廃棄し なければ、遅かれ早かれ、地球と人類が破滅するのは目に見えて明
らかです。「核と人類は共存できない」という森瀧市郎の言葉は、 「核・原子
力と“生き物” は共存できない」という命題にまで深められるべきでしょう。
そ こで、私たちは、世界各地の核被害者が一カ所に集い、核被害者の救済と
「核・原子力サイクル」の全面廃棄を世界各国政府に要求し、核 なき世界、す
なわち自 然と人間が調和し、穏やかな人間関係に基づいた平和な世界を如何に
したら構築できるのか、その展望を探るため、「世界核被害者大会」 を、広
島・長崎原爆投 下70周年に当たる2015年 に、広島で開催することを提唱します。
「人 類は生きねばならぬ」という森瀧市郎のもう一つの言明は、思想や信条を
超えた普遍的なメッセージです。「人類が生きる」ためには、人 類が共存する
あらゆる 生きものと自然環境が生きねばなりません。このメッセージの下に、
日本だけではなく世界中の多くの市民が広島に集い、「核サイクル」 絶対否定
という強い声 を一つにし、核廃絶に向けて現実的な大きな一歩を踏み出そうで
はありませんか。
この提案を、故・鶴見和子氏が詠った言葉に託します。

       生類の破滅に向う世にありて、生き抜くことぞ終(つい)の抵抗
2012年8月6日

核被害者世界大会実行委員会・ 準備会

(文責:田中利幸)

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