[CML 019640] 関西救援連絡センターニュース2012年8月号-1-

松葉 祥一 mauricemerleau at yahoo.co.jp
2012年 9月 4日 (火) 16:09:32 JST


第304号
2012年8月
関西救援連絡センター
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■充分な審議もなされないまま
暴対法の改「正」が成立
 二月二八日に国会上程され、参議院先議とされた「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(暴対法)の改「正」は、七月二十日に成立し、八月一日に交付された。「暴追センターによる事務所使用差止請求制度」を除いては、十月から施行される。
 《主な改正点》
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 「暴対法」の「指定暴力団」中、特に危険と認めた指定暴力団について、都道府県公安委員会が「特定暴力団」に指定。
 特定暴力団は二種類。
 対立抗争で住民に危険を及ぼす恐れのある組織は、三月以内の期間と警戒区域を定めて、「特定抗争指定暴力団」に指定。警戒 区域での事務所の新設や事務所の立入り等の禁止。
 不当要求を断った事業者に銃撃事件などを起こし、今後も繰り返す恐れのある組織は、一年以内の期間と警戒区域を定めて、「特定危険指定暴力団」に指定。警戒区域での、あるいは警戒区域における人の生活または業務の遂行に関して、相手方への面会要求の禁止。 三月以内の事務所の使用禁止。
都道府県暴力追放運動推進センターによる事務所使用差止請求制度の導入(六ヶ月以内に施行)。
 暴力的要求行為及び準暴力的要求行為の規制の強化等
 暴対法で禁止されている行為を犯罪化。中止命令などの行政命令なしに逮捕。
 「宅地建物取引業者に対する不動産取引要求」「施設に対する施設利用要求等」「国等が行う入札に参加し ないこと等を要求する行為」を規制する行為に追加。
 指定暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者等を準暴力的要求行為が禁止される者に追加。
 用心棒契約等の禁止。
ぁ々馘の責務及び民間活動の促進に関する規定の整備
 国や地方公共団体による入札への指定暴力団員等の参加禁止。事業者の暴力団員への利益供与禁止。
* * * * *
 この法改正には、反対の声があったにもかかわらず、参議院内閣委員会では二日、衆議院では一日という審議で成立した。
 以下がその経緯である。
二月二八日 上程、参議院付託
六月十四日 内閣委員会(参院)付託。松原国家公安委員長から趣旨説明。参考人招致を決定。
六月十九日 参考人(北九州市長北橋健治氏、疋田 淳弁護士、小林節慶應義塾大学法学部教授)からの意見聴取および質議。
六月二十日 松原国家公安委員長、谷法務副大臣及び政府参考人に対し質疑を行った後、可決。附帯決議。
同日 本会議可決(社民党+無所属一名のみ反対)、衆院送付。
七月十九日 内閣委員会(衆院)付託。
七月二十日 松原国家公安委員長から趣旨説明。政府参考人(栗生俊一警察庁刑事局組織犯罪対策部長)の説明聴取。採択。
同日 本会議可決。
八月一日 公布。
 なお、以下の附帯決議が可決されたが、この附帯決議は、この法改正の施行に伴う人権侵害への配慮ではなく、施行をスムーズに行うための配慮規定でしかない。
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
 政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。
一、指定暴力団等による対立抗争及び暴力的要求行為等によって住民の平穏な生活が危険にさらされることのないよう、本法を効果的に運用すること。
  なお、本法の規定に基づく職権を運用するに当たっては、恣意的にならないよう十分留意すること。
二、各都道府県に置かれた暴力追放運動推進センターが、暴力団事務所の周辺住民の委託を受けて行う当該事務所の使用差止請求関係業務を含めた事業を適切に行えるよう、財政状況の改善など環境整備のための方策を検討すること。
三、暴力団との関係の遮断を図る企業及び市民等に対する危害行為が相次いでいることに鑑み、保護対象者の指定及び身辺 警護等の保護対策を講ずるに当たっては、遺漏なきを期すること。
四、暴力団から離脱する意志を表明する者に対しては、その意志を確認した上で十分な援護措置を講ずること。
  また、暴力団から離脱した者についても社会から孤立することのないよう、都道府県暴力追放運動推進センター等と連携して十分な援護措置を講ずること。
五、暴力団事務所の使用差止請求等にかかる裁判においては、証言を行う者が暴力団等から精神的な圧迫や危害を受けることがないよう、十分な配慮が望まれる。
■外国人管理の一元化と強化を図る改正入管法が施行された!
 七月九日に改「正」入管法が施行された。この改「正」入管法は、「在留カード」保持者には住民票が発行されるようになり、 在留期間が特別技能労働者は三年から五年に、学生は二年三カ月から四年三カ月に、再入国許可の有効期間も三年から五年に延びるなど、一見したところ改善点があるように見えるにもかかわらず、様々な問題を含んでいる。
 第一に、新制度では法務省入国管理局が「在留カード」を交付し、在留外国人に関する情報を一元管理することになったことである。退去強制歴などの出入国情報、入国・再入国時の指紋・顔画像の個人識別情報、ブラックリスト情報などを既にもっている法務局に、外国人の個人情報を継続的に把握するため、広範囲な事実調査権が与えられた。
 これまでは自治体が、三カ月を超えて滞在する外国人に外国人登録証明書を交付してきた。その場合、在留資格がない難民申請者や超 過滞在者も、自治体での外国人登録ができ、義務教育や医療などの住民サービスを受けることができた。しかし、今回の改「正」で、これらの人々には「在留カード」は交付されず、日本での生活が事実上不可能になる。
 第二に、罰則の強化である。住所の登録や変更届をめぐる罰則は、十四日以内に住所を届けない場合二十万円以下の罰金だったが、新制度では入院などの「正当な事由」がなく無届けが九十日を超せば、在留資格取消しで出国処分を受けるという規定が加わった。
 第三に、改「正」入管法の周知についてである。昨年末時点で国内の外国人登録者数は約二百八万人。しかし、新制度移行を知らないまま違法状態に陥るケースが続出する可能性は高い。各自治体は五月初旬、現在登録して いる在留外国人宛てに仮住民票を発送したが、宛先不明での返送が相次いでおり、届け出義務を認識せず、出国処分されるケースが危惧される。
 改定入管法の詳細は次のHPへ
http://www.repacp.org/aacp/
■滝法務大臣の死刑執行に抗議する!!
 八月三日金曜、滝実法務大臣は死刑を執行した。これは、就任から二ヶ月も経たない国会開会中であった。
 今年三月二九日に、就任後二ヶ月で死刑を執行した小川敏夫前法務大臣に引き続いてのことである。
 執行されたのは以下の方である。
☆大阪拘置所
松村恭造氏 (三一歳)
 「京都・神奈川親族連続強殺事件」 
 二〇〇八年三月十七日、京都地裁で死刑判決。控訴を本人が取下げ、二〇〇八年四月八日に死刑判決が確定。
 二〇一〇年一月に 控訴審再開を請求するが、同年五月に最高裁で棄却。
 二〇一〇年六月二日に恩赦を出願するが、翌年九月十三日に不相当決定。
☆東京拘置所
服部純也氏(四十歳)
 「三島女子短大生焼殺事件」 
 二〇〇四年一月十五日、静岡地裁沼津支部において無期懲役の判決。 
 二〇〇五年三月二九日、東京高裁で死刑判決。上告するが、二〇〇八年二月二九日、最高裁は上告棄却決定。
 滝法務大臣は会見で、「冤罪の危険性がなく裁判所が決定した経緯を考えて執行はやむを得ないと判断した」と述べたが、上記のように、松村氏は本人が控訴を取下げており、服部氏は一審判決は無期懲役であり、量刑判断が分かれていた。
 「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」の抗議声明によれば、昨年行ったアンケートに、服部氏は「再審請求を行いたいが、外部交通が認められていた再審の支援者が亡くなった後、別の支援者との外部交通が許可されないので困っている」との回答を寄せ、松村氏は「精神的に落ち込んでいてあきらめていたが、再審請求をしてみたい」と書いていたという。
 今までにも、再審準備を始めると執行されたケースがあった。矯正局は再審の動きをすべて把握しており、再審請求が出る前に執行したのである。
 今回も、執行されたのが何故この二人だったのか、その理由は明らかにされなかった。
 服部氏も松村氏も確定後、四年余りで執行されている。小川前法務大臣により執行された三名も確定後五年に充たなかった。また、執行されたのは、いずれも三十歳〜四十歳台であった。
 千葉景子法務大臣による死刑執行対象者も、死刑確定後三年余りで執行されている。
 民主党野田内閣のもとでの死刑執行は五人、 民主党政権下での死刑執行は、合計七人となった。
 現在、死刑確定者は百三十人である。
■共謀罪上程 阻止に向けた行動を!
 前号でもお知らせしたように、共謀罪を巡る動きは続いている。外務省、法務省、財務省の官僚間で、条文作りが継続して行われている可能性は大きい。しかし、こうした動きに対する情報は漏れてこない。
 六月には、FATFが日本政府の報告の検討を開始している。
 国会内には反対する力をもった野党は存在せず、上程されれば、「審議はすでに充分尽くされている」として、抵抗する間もなく成立しそうだ。
 上程させないために、いまこそ反対の大きな声を!
■沖縄靖国合祀ガッティンナラン訴訟
最高裁の上告棄却に抗議する!
 最高裁判所は、今年六月十三日付で、合祀取消しを求める遺族らの上告を棄却し、上告受理申立を不受理とする決 定を行った。
 最高裁は、遺族らの亡き家族に対する思いや、靖国神社に無断で利用されたくないという意思は法的利益にあたらないとした高裁判決を維持した。
 高裁判決は、信教の自由と個人の人格権を、比較衡量すらせずに一方的に前者を優位として、一宗教団体が他人の家族を無断で利用することを認める、極めて不当な判決であった。
 国は、靖国神社が遺族に無断で合祀を行うことを知りながら、「名簿等引渡し」「合祀者通報」「合祀予定者通報」「合祀事務協力」「合祀基準意見陳述」など、単なる情報提供を超えた密接な共同行為を長く継続し、その違法性の程度は著しいものであったにもかかわらず、原判決を維持したのである。
沖縄靖国合祀取り消し訴訟上告棄却の司法判定に抗議する声明
 司法の反動化が国民の間で公然と語られるようになって久しい。国にとって都合が悪いものは、消し去ってしまうなど今日の司法は国家行為の補完者になり下がり、法の番人としての責任放棄、その乱脈振りには度し難いものがある。
 沖縄靖国合祀取り下げ訴訟を考える上で司法が最も重視しなくてはならない事は、沖縄戦の実相にしっかり向き合うことであるにも関わらず、司法は意識的に回避している。沖縄戦の住民被害はその多くが日本軍の偏見と差別、そして強制によって死に追いやられている。しかも援護法適用を通して「積極的戦闘協力者」に仕立て上げ、沖縄戦の実相を歪め捏造し、靖国合祀へと結びつけている。「援護法」適用は国家の戦争責任、沖縄戦実相をもみ消そう
 とする国民だましの政治行為以外になく、死者への最大の冒涜行為であることを政府も司法も知りつつ「合祀」は靖国の宗教行為の一環とうそぶくこの威圧的姿勢は、今日の新基地建設、オスプレイ配備にも通じる。沖縄民衆の意思を平然と踏みにじる姿勢と同じで、今もって沖縄への構造的差別支配が連綿と続いている証左でもある。
 靖国神社は、かつての侵略戦争を正義の戦争と高く評価し、今もって戦争賛美の社である。そこに「英霊」として祀られることは、沖縄戦の被害者にとってこの上ない屈辱である。しかも遺族の合祀取り消しに対し「信教の自由」を盾に、これを容認する司法の判断も憲法が保障する「国民の人権」を無視し民主主義を根本から否定する暴論だ。遺族の同意・承認を必要とする ことは、社会的通念として当然の行為で、被害者と何のつながりのない他者が、被害者を祀る行為こそ不自然で、社会の摂理に反する行為といわざるを得ない。他者から干渉されない、あるいは強制されない権利が優先されることが「信教の自由」の前提にあることが民主主義の基本であることを司法はしるべきだ。
 私たちは、最高裁判断が示されたからと言って決してたじろぐものでもない。今後も国政や司法の不正義・不当な行為に対しては人民主権の旗を高く掲げ、不退転の決意を持って臨むし、靖国の本質をあばき、市民運動を通し、「合祀」取り消しに向けた取り組みを強化することを決意する。そして今回の上告棄却判断が、沖縄戦の実相を司法が法の名のもとでの圧殺の暴挙であることと断じ、万 感の怒りを込めて抗議するものである。
2012年6月16日              沖縄靖国合祀ガッティンナラン訴訟団一同

東京ノー!ハプサ(合祀)違憲訴訟
     控訴審第一回口頭弁論


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