[CML 020460] 海のピラミッド不法占拠と下北沢跡地利用

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2012年 10月 15日 (月) 22:05:30 JST


熊本県宇城市の海のピラミッド不法占拠問題は東京都世田谷区の二子玉川ライズと公共性の私物化という点で共通する。海のピラミッド不法占拠問題は民意の無視という点でも同じ世田谷区の抱える開発問題・下北沢跡地利用と共通する。 

二子玉川ライズはオフィスや商業施設、分譲マンションという東急電鉄や東急不動産の営利事業に莫大な税金が使われている。海のピラミッドはフェリー待合所であったが、有川理氏の運営するクラブ「CLUB PYRAMID」に目的外使用されている(林田力『二子玉川ライズ反対運動3』「二子玉川ライズとCLUB PYRAMIDは公共性の私物化」)。有川氏は「スターライト・カフェ」を運営するレストラン凱旋門の経営者である。 

この海のピラミッド不法占拠問題は、二子玉川ライズと同じく世田谷区の抱える開発問題である下北沢の跡地利用とも共通する。それは既得権益維持と選挙で表明された民意の無視である。 
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世田谷区では小田急小田原線(代々木上原駅〜梅ヶ丘駅間)地下化に伴う地上部利用が課題になっている。2011年3月に東京都と世田谷区、小田急電鉄で「上部利用計画(案)」がまとめられた。4月に「大型開発優先区政の転換」を公約に掲げる保坂展人氏が世田谷区長に当選した。保阪区政では区民とのシンポジウムなどを開催して跡地利用を検討し、検討内容を踏まえた素案を公表した。 

これに対して東京都は抗議する。村尾公一・建設局長名義で通知文「環状七号線横断橋の整備などについて」を2012年8月27日付で保坂展人・世田谷区長宛に送付した。そこでは世田谷区の素案公表を「貴区独断での上部利用計画策定は区民の皆様への影響を更に拡大させることとなります」と主張する。 

これは筋違いである。東京都と世田谷区と小田急電鉄の密室の合意で上部利用が決められたことが住民不在の街づくりと批判されていた。それ故に公約「大型開発優先区政からの転換」を掲げる保坂氏が支持されて当選した。従って区民参加で見直すことが民意に適う。三者合意の既得権が侵害されることは当然の帰結である。 

海のピラミッド不法占拠問題も同じである。海のピラミッドは前市長時代にCLUB PYRAMIDに目的外使用が認められたが、前市長のハコモノ行政を批判する篠崎鐵男氏が新市長に当選した。新市長の下で海のピラミッドの利用実態が精査され、地域活性化に貢献しておらず、CLUB PYRAMIDによる私物化の実態が明らかになった。機材の不法占有や違法改造などの違反も明らかになった。 

宇城市がCLUB PYRAMIDに海のピラミッド明け渡しを求めたことは当然である。これに対してCLUB PYRAMIDは明け渡しを拒否し、「愛国無罪」を主張する。中国では「愛国無罪」の言葉によって邦人が暴行され、日本企業が甚大な被害を受けている中で無神経極まりない。 

下北沢の跡地利用再検討も海のピラミッド明け渡しも新首長の政治姿勢の反映である。前首長時代の合意内容を根拠に抵抗することは、新首長当選の民意の否定になる。それは民主主義や住民自治の否定である。 

世田谷区も宇城市も既得権を固守する抵抗勢力を打破することが求められる。下北沢の問題は東京都が抵抗勢力になっている点が厄介である。脱原発や大型開発優先からの転換を掲げて当選した保坂展人・世田谷区長。その公約は世田谷区長選挙直前に再選した石原慎太郎東京都知事の政策と真っ向から対立する。 

保坂区長と石原知事との対決は既定路線である。保坂氏は出馬表明後の「新しいせたがやをめざす会」主催の集会「私たちがめざす世田谷区政―大震災・いのちとくらしをささえる道すじ―」(2011年4月11日)で「原発推進を公言する石原慎太郎のような人物が東京都知事選挙に当選したことは極めて危機的で残念」と述べていた(林田力「区長選挙候補予定者が市民集会で意見表明=東京・世田谷」PJニュース2011 年4月13日)。 

石原氏も保坂氏の当選後に敏感に反応した。脱原発に対しては「日本経済を支える電力の供給はできっこない」と批判した。また、東京外郭環状道路(外環道)の計画凍結に対しては「昔から共産党や社会党の左翼は同じことを言ってきた」と反発した(林田力「世田谷区長選挙結果と反共意識の是非」PJニュース2011年5月2日)。 

このように当選直後は舌戦が繰り広げられたものの、当選後の保坂区長はドラスチックな転換を進めたとは評価できない。反対に東京都の進める東京オリンピック誘致ポスターを掲示するなど東京都への妥協的な姿勢も見られる。一般論として政治にバーターがあることは否定しない。優先度の高い政策を実現するために別の面で妥協する場合もあるだろう。問題はバーターとして成り立つかどうかである。 

実際は世田谷区の遠慮に対して東京都の一方的な攻勢が目立つ。世田谷区ではNPO法人の破綻で「デジタル映像コンテンツ産業誘致集積支援事業」の補助金が無駄になったという問題が勃発した(林田力「税金たかりの二子玉川デジタル・コンテンツ問題」区画整理都市再開発対策全国研究集会配布資料2011年10月20日)。 

東京都は世田谷区に東京都が支出した分の補助金の返還を請求し、保坂区政にネガティブな印象を与えた。デジコン問題は保坂区政の前に起きたことで、保坂区長に直接の責任はない。しかし、問題発覚後の情報隠しと受け止められる姿勢から保坂批判にもつながった。熊本前区政の悪癖を断つという断固たる姿勢を採るべきであった。 

さらに下北沢跡地利用の抗議である。「大型開発優先区政からの転換」に対する煮えきらない姿勢がつけ込まれた形である。 




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