[CML 020298] 改めて尖閣領有権問題について ――「日本共産党と尖閣問題」に関するある人への応答から

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2012年 10月 6日 (土) 13:47:57 JST


下記記事を弊ブログにアップしました。ご参照いただければ幸いです。


■改めて尖閣領有権問題について ――「日本共産党と尖閣問題」に関するある人への応答から(弊ブログ 2012.10.06)
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-468.html

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Dさん wrote:
> 地元の共産党の役員と尖閣問題について語り合った。/尖閣は日本のものだと彼はいう。
> そこには自分も異存がない。

Dさん。少し遅いレスになりますが、尖閣諸島の領有権の問題に関する日本共産党の見解については、同党支持者としても
著名な(ときに政策、理念的な面で強い同党批判も展開しますが)元外交官で政治学者(東大教養学部、日大法学部教授、
広島市立大学広島平和研究所所長などを歴任)の浅井基文さんが下記のような同党の認識の事実誤認を指摘しています。
そして、私も、この浅井さんの指摘は正しいだろう、と思っています。
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2012/479.html

  「75年間、一度も日本の領有に対して異議も抗議もおこなっていない」という共産党の指摘は、幾つかの事実から間違
  いであると考えます。

   1.上記の通り、日本政府が尖閣諸島を日本領に編入したことについては当時の中国は知るよしもなかったのですから、
  台湾その他を割譲させられた際には、釣魚島も含まれると理解したとしても当然でしょう。下関条約で割譲される台湾
  及び付属島嶼には、その前に日本領にした尖閣諸島は含まれないとする日本側の立場については、中国側は知るよし
  もないわけです。

  2.1951年にサンフランシスコ対日平和条約がアメリカ主導で作られますが、アメリカは中国を会議に招きませんでした。
  これに対して中国政府は、中国を招かないで作られる条約は不法・無効であると異議申し立てをしています。この際、
   釣魚島そのものを名指しで言及したわけではありませんが、条約における日本の領土に関する決定をも受け入れない
  趣旨であることは明らかですから、中国はこの時点で根本的異議申し立てを行っているのです。

  3.中国はまた、1971年の沖縄返還協定に際しても同様な異議申し立てを行っています。

  4.本年になってからの中国側論調で強調されるようになっているのは、戦後の国際秩序の土台となり、敗戦・日本の
  処遇(領土の範囲を含む)を定める国際法は米中がともに当事国であるカイロ宣言及びポツダム宣言であり、アメリカ
  が中国を排除して作った対日平和条約ではないという主張です。特に日本の領土に関しては、ポツダム宣言で本州、
  北海道、九州及び四国のほかは「吾等が決定する諸小島」に限るとしていることを、中国は声を大にして指摘していま
  す。」(「尖閣に関する日本の「無主先占」の主張への疑問」浅井基文 2012年9月22日)

その浅井さんの指摘もさることながら、私は、この問題については、同党の事実誤認以前の問題として、そして、同党が領土
問題に関する国際法を云々する以前の問題として、そもそも国家=領土とはなにか。国家=領土はそもそも誰に帰属しうる
ものかという民主主義と人民主権の観点からの根底的な問いと視点が同党には決定的に欠落しているように思われるという
点を指摘したいと思います。このことを植民地主義が跋扈した帝国主義時代の歴史的文脈から見ると、その帝国主義列強の
領土略奪の歴史を正当化する「無主地先占の原則」(所有者のいない島については最初に占有した者の支配権が認められ
る)なる国際法は民主主義と人民主権の観点から見て「正義」たりえるか、という問いということになります。この問いに答える
ことなく現行の領土問題に関する国際法を云々しても私にはナンセンス以上のものには見えません。

この点について、私は、下記の旧みどりの未来運営委員会の「脱『領土主義』の新構想を」という「尖閣」問題に対する認識と
ほぼ同様の認識を持っていますので、下記にその論をご紹介させていただこうと思います。

■「脱『領土主義』の新構想を」 ―みどりの未来 運営委員会の「尖閣」問題に対する見解のご紹介(弊ブログ 2010.10.20)
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-78.html
*補足:「脱『領土主義』の新構想を] ―みどりの未来 運営委員会の「尖閣」問題に対する見解のご紹介(弊ブログ 2010.10.25)
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-74.html

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【見解】「尖閣」諸島(釣魚島)沖漁船衝突事件―― 脱「領土主義」の新構想を
                                  2010年10月13日   みどりの未来運営委員会

 9月の尖閣諸島(中国名:釣魚島)海域での中国漁船衝突事件をめぐって、中国側の強硬姿勢、日中両国国民の敵対感情
が高まっています。このような事態を招いた日本政府の先の見通しのない対応の責任は重大です。

■ 領土問題は現実に生じている
 
 日中両国は、これまで、1978年の「日中平和友好条約」締結の際の{}小平氏の「尖閣論争の棚上げ」「解決は次の世代の
智恵に託す」という方針に従って、決定的な対立を回避してきました。2004年の中国人活動家「上陸」で逮捕後すぐに「国外」
退去処分にした当時の小泉首相も、この方針を優先させたものと言えます。

 ところが今回、日本政府は何ら展望もない中でこれを一方的に破棄しました。現に中国・台湾・日本間で領土問題が発生し
ているにもかかわらず、「領土問題は存在しない」とすることは、「中国側の主張は無視する」「問題解決のために対話する
必要はない」と宣言するに等しいものです。政府は領土問題が生じていることを認め、対話と交渉によって解決するという態
度を表明するべきです。

■ 日本の領有を根本から問い直す

 中国の強硬姿勢の背景には、この海域の石油・天然ガスの発見をきっかけにした中国の資源ナショナリズムや覇権主義
的な態度があることは明らかです。

 一方、日本の領有権の設定は日清戦争中の1895年であり、朝鮮半島と台湾への侵略、領土拡張の戦争の一環として行
なわれました。

 「歴史的に日本の領土」という主張に対しては、これを否定する歴史資料や論文も公表されています。そもそも、日本政府
が領有権を正当化する「無主地先占の原則」(所有者のいない島については最初に占有した者の支配権が認められる)は、
帝国主義列強による領土獲得と植民地支配の論理であり、アイヌなど世界の先住民の土地を強奪した法理です。共産党を
含む全ての国政政党が当然のように日本の領有権を主張するのは、このような近代日本についての歴史認識の致命的な
欠如を表わしています。

■ 「領土主義」を超えて共同の「保全」を

 そもそも国境線は近代の歴史においては極めて恣意的に引かれたものであり、国家同士の利害も衝突します。しかし、
私たち「みどり」の依拠する「現地主義」「市民主権」の原則から考えれば、当事者である沖縄、中国、そして台湾の漁民が
国籍にかかわらず安心して漁を営むことができる条件を整えることこそが優先されるべきだと考えます。

 天児慧氏(早稲田大学)は、紛争の発生している領土領海地域に限定した「脱国家主権」、「共同主権」による解決を主
張し、そのために、「当該地域をめぐる諸問題を解決するための専門委員会を設置する」ことを提案しています。加々美
光行氏(愛知大学)も、「南極条約」のような領土主権を凍結する国際条約の締結を提案しています。私たちは、こうした考
えを基本的に支持します。

 同時に、日中両国における脱炭素社会の構築も不可欠です。領土問題が発生している要因ともなっている尖閣諸島の
石油・ガス資源については、共同で「開発」するのではなく、将来世代のために東シナ海の美しい生態系を「保全」し、あえ
て開発しないことが重要だということを提案します。このような賢明な姿勢こそ、両国の対立と地球を「クールダウン」させ、
両国の国益にもつながるものと考えます。

 国益をかざしたパワー対決や被害者意識に基づくナショナリズムの発露に希望はありません。今、私たちには、「日中両
国の次世代」としての智恵が求められています。
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また、半月城(朴炳渉)さんがこの問題についてのヨーロッパの国々の見方を紹介されていますので、その記事も参考とし
て下記リンクしておきます。

■日中韓の葛藤を見る世界の目(CML 020222 2012年10月2日)
http://list.jca.apc.org/public/cml/2012-October/020024.html
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東本高志@大分
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