[CML 020273] ふくしま集団疎開裁判:仙台高裁控訴審10・1第一回審理の報告

Yasuaki Matsumoto y_matsu29 at ybb.ne.jp
2012年 10月 5日 (金) 03:27:57 JST


みなさまへ   (BCCにて)松元

ふくしま集団疎開裁判の仙台高裁控訴審の報告です。弁護団の井戸謙一弁護士が
冷静な感想と課題を述べています。あわせて、同じ10月1日に送付さ れた「全
国会議員に宛てた国政の最大課題についての質問状」も紹介させていただきま
す。内容は、「全国民にあてた訴え」と読むこともできます。
また、フリー記者・鈴木博喜氏による当日の報告もリンク先からどうぞ。

●ふくしま集団疎開裁判ブログ
http://fukusima-sokai.blogspot.jp/

●フリー記者・鈴木博喜氏による当日の記事
「仙台高裁は現在進行形の被曝から目をそらすな〜ふくしま集団疎開裁判控訴審
始まる」
http://ameblo.jp/rain37/entry-11369168530.html

======以下、10月1日裁判(審尋)期日の報告======

2012年10月4日木曜日
■10月1日裁判(審尋)期日の報告
弁護団 井戸謙一

10月1日,仙台高裁で開かれた審尋期日につきましては,地元仙台はもとよ
り、遠く東京,郡山,福島をはじめ,全国各地(大阪、伊豆、新潟など) から
多数 の方が支援のために集まって頂きました。事前の集会,デモ行進も,裁判
中の交流会、事後の裁判報告会及び矢ヶ崎先生と松崎先生の講演会も,大勢の
参加者の 皆さんの熱い思いに満ちあふれ,弁護団としても大いに力づけられた
1日でした。

審尋期日は午後2時半から約1時間,仙台高裁の審尋室で行われました。裁判所
側は佐藤陽一裁判長を含め裁判官3名と書記官1名,抗告人側は,お母 さん2
名と弁護士4名,相手方(郡山市)側は弁護士2名が出席しました。矢ヶyu先生
と松崎先生は,別室に待機してもらいました。

当日の期日で裁判長が抗告人側に求めたことは,子どもたち一人一人について,
自主避難できない理由を個別に主張,立証することでした。

疎開裁判は通常の訴訟ではなく、仮処分という緊急の救済を求める裁判です。仮
処分の申立てが認められるためには,“鑛歔憾⇒(子供たちが郡山市 に対し,
疎開させることを求める権利があること)と∧歔瓦良要性(緊急に疎開を実現
する必要性があること)の2つが必要です。1審の福島地裁郡山支部 は,主
に、 現在の線量下では,,糧鑛歔憾⇒が認められないことを理由にして,私た
ちの申立てを却下しました。これに対し,仙台高裁は,△諒歔瓦良要性に 関心
があ るように見受けられました。

今回、抗告人側は,準備書面(2)(その内容は,前回の相手方(郡山市)の主張
に対する反論と,最近明らかになった事実に基づく主張の追加)と新 たな証拠
(甲147〜164号証)を提出した上で,最近明らかになった衝撃的な事実,
すなわち,福島県で甲状腺ガンの子ども1名が発見されたこと,福島市 の子ど
も 4万2000人の調査によって,そのうち43%に甲状腺に結節又は嚢胞が
あることが発見されたことをどうみるかについて,矢ケyu先生と松崎先生に 専
門家の 立場から意見を述べさせてほしいと裁判所に申し出ましたが,裁判所
は,これを受け入れませんでした。

また,先日裁判所に提出した「審理手続に対する申入」書で申入れた通り、公開
の法廷で、両先生のほか,今年2月、抗告人らが通う小学校で線量を測 定さ
れ、 その結果を意見書として作成し、提出した山内知也先生と、3.11以
来、相手方(郡山市)側の主張を最も明快に裏付ける見解を表明してきました山
下俊一県 立医大副学長の意見を聴く手続き(証人尋問)を申請しましたが,裁
判所は,この裁判は仮処分の抗告審であり、証人調べはしないのが原則という考
え 方を示し て、現段階ではという留保付きながら,証人調べをすることは考え
ていないと言いました。

そのあと,お母さん二人が,何故この裁判の申立人になろうと思ったのか,自主
避難することがいかに多大の犠牲を伴うものであるか,自主避難ではな く,行
政 の責任で疎開させてほしいと思うのはどうしてか,等について,裁判官に
切々と訴えました。裁判官は,口をはさむこともなく,聞いていました。

そして,裁判長は,次回期日を11月26日午後2時30分と決めました。それ
までに,抗告人側が裁判長の上記求めに応じた主張・立証をするほか, 子ども
たちに予想される健康被害の深刻さや避難の緊急性について主張,立証を追加す
ることになります。
審尋が行われた約1時間の間,仙台に集まった沢山の支援者の方が裁判所の廊下
と交流会会場で待機し,裁判所に熱い視線を注いでいただきました。

審尋期日が終了した後は,報告集会と矢ケyu先生及び松崎先生の講演会が行われ
ました。両先生の講演内容は,最新の知見に裏付けられた大変貴重なも のでした。

以下は,私個人の感想です。
裁判官は,普通はポーカーフェイスを旨としていますから,なかなか内心を読み
取らせません。ただ,今回の審尋期日で特徴的だったのは,裁判長が, 子ども
た ちが自主避難できない理由に関心を示し話題にしましたが,放射能による健
康被害の実相についてはとくべつ話題にしなかったことです。これが何を意 味
する か。可能性としては,2つ考えらえます。1つは,保全の必要性がないと
いう理由で申立てを却下しようと考えているというもの,もう1つは,抗告人
側から保 全の必要性があると認定できるだけの証拠を出させた上で,申立てを
認容しようと考えているというもの,です。
いずれかは判らないし,それを詮索してみてもあまり意味がありません。大切な
ことは,裁判官が後者の考えでいるのなら,その決意をより強めさせる よう,
前者の考えでいるのなら,それを考え直させるよう,もっともっと市民の声を大
きくしていくことだと思います。

以上

=====以下、全国会議員に宛てた質問状=====

2012年10月5日金曜日
■【速報】10.1全国会議員に宛てた国政の最大課題についての質問状

 先ごろ放送されたNHK・ETV特集のチェルノブイリ事故の報告からも明ら
かですが、福島原発事故は今なお、事故のさなかにあります。私たちは 一種の
核戦争(※)の中にいるのです。
 この核戦争の最大の被害者は子どもです。とりわけ福島県の子ども達です。他
方、国はその攻撃を支援しました、昨年4月、突如、それまでの一般大 人の線
量 限度の1mSvをいきなり子どもに20倍する20mSv政策を採用したか
らです。今日でも依然本質的にはその政策を変更していません。
国は即刻、この核戦争加担政策をやめ、子どもを危険な被ばくから救うべきで
す。それが、今、日本の最も緊急に解決すべき最大の政治課題です。これ は政
策論争ではありません。福島県の子どもの命という人権の根本問題が問われてい
るのです。

ところが不可思議なことに、3.11以来今日まで、国会議員の中で、福島県の
子どもたちを被ばくから救うため集団避難させるべきだと表明した声は ひとつ
も 聞いたことがありません。本来、主権者である我々市民の利益、保護および
安全を実現するために国政を運営する権限を我々市民から付託されている国 会
議員の 皆さんは、いったい、この国政の最大課題についてどう考えているの
か、政治家の最大の義務である説明責任をきちんと果していただきたいと思い、
折 りしも疎 開裁判の最大の転換点である10月1日に、国会議員の皆さんに、直
接、問うてみることしました。
それが以下の質問状です。一般的、抽象的になら「子どもを守れ」「未来を守
れ」はいくらでも口にできます。しかし、問題は具体的に「いま、被ばく の危
険に さらされている福島県の子どもたちを直ちに集団避難させる」かどうかで
す。これについて、国会議員の皆さんから真摯な考えを聞かせていただきたい
と期待し ています。
また、これは国会議員だけに突きつけられた問題ではありません。この問題は、
チョムスキーが指摘した通り、「日本にとって、世界中の私たち全員に とっ
て、失敗が許されない試練なのです」。

***************************

議員各位
2012年10月1日

「子どもは国の未来・国の宝」です。福島県の子どもはその例外だという人はい
ません。「子どもはひとしく国の宝」です。
郡山市の子どもたちは、東電福島第一原発事故(以下、福島原発事故)があった
昨年の3月11日から8月までの僅か5ケ月間だけでも 7.8~17.2mSv(年間では12~24
mSv)の放射線を被曝したと推定され、今も、高い放射線量のなかでの生活を余
儀なくされています。

本来、国は、憲法で「子どもたちを安全な環境で教育する」義務を負っているの
みならず、福島原発事故は自然災害ではなく人災であり、国はこの人災 の加害
者 の立場にあります。しかし、国も自治体も福島県の子どもたちを安全な場所
に避難させようとしませんでした。そこで、福島県郡山市の小中学生14名 が、
昨年 (2011年)6月24日、福島地方裁判所郡山支部に、苦しみの中で救済を求め
ている福島県の子どもたちの声に耳を傾けようとしない文科省と自治 体の人権
侵害行為をただし、年間1ミリシーベルト(mSv)以下――毎時では0.2マイクロ
シーベルト(μSv)以下――の安全な場所で教育を受けるた め、裁判所 に避難の
救済を訴え出ました(通称「ふくしま集団疎開裁判」)。しかし、申立てから1
年3ヶ月が経過した現在、彼らは今も引き続き、高い放射線量 の中で学 校教育
を余儀なくされています。

私たちは、裁判の中で当初から、このままではチェルノブイリ原発事故で発生し
た深刻な健康被害が福島県でも発生すると科学的に予測し、警鐘を鳴ら しました。
不幸にして、その予測は「福島県民健康管理調査」報告で実証されてきています。
今年の4月26日に発表された「福島県民健康管理調査」報告で、13市町村の3万
8000人の子どもたちの35%に甲状腺の「のう胞」(ただれ= 炎症ある いは細胞の
性質の変化)が発見されました。これは、福島県放射線健康リスク管理アドバイ
ザー山下俊一氏らが、長崎の子ども達を検査した結果 (0.8%) や、事故から
5〜10年後のチェルノブイリの子ども達を検査した結果(0.5%)と比較しても、
途方もなく高い数字です。これを知った海外の専門 家は次の ような警鐘を鳴ら
しました。
「この子どもたちは追跡調査をしてる場合じゃありません。のう胞や結節などの
全ての異常は直ちに生体組織検査をして悪性であるかを調べるべきで す。〜中
略〜子どもたちに甲状腺結節やのう胞があるのは、異常極まりありません!」
(昨年4月、NYタイムズに「安全な被曝量というものはない」を寄稿し た被曝
問 題に詳しいオーストラリアのヘレン・カルディコット博士)
「カルディコット博士の上記見解に同意します。福島原発事故後にこれほどすぐ
に、多くの子どもたちに甲状腺の嚢腫や結節が見られることに驚いてい ま
す。」 (Business Insiderの取材に答えたアメリカ甲状腺学会次期会長、コロ
ラド医学大学の内分泌科チーフのブライアン・ホーゲン博士)

この事態はさらに深刻となりました。その5か月後の9月11日発表の第8回「福島
県民健康調査」報告で、「のう胞」が発見された子どもの割合は 43%に跳 ね上
がりました。特に女子の被害は深刻で、6~10歳の女子の54.1%、11~15歳の女子の
55.3%に「のう胞」が発見されました。しか も、二次検 査を終えた38人の中か
ら初めて、1人が小児甲状腺がんと診断されました。子ども達の健康被害が急速
に進行しているという何よりの顕れではないで しょう か。

「福島県民健康調査」調査結果にも賢著に顕れているように、いま、福島原発事
故による甚大な汚染が、刻一刻と子ども達の健康を脅かしています。道 徳の究
極 の原理は「命こそ宝」であり、政治の原点はこの命を守ることにあります。
とりわけ社会の最も弱い立場の、傷つきやすく大切な存在である子どもの命 を
守るこ とこそ政治に課せられた最重要の使命です。
チェルノブイリ原発事故の被害者の人たちが異口同音に訴える言葉――二度と決し
て、私たちの失敗をくり返して欲しくありません――今こそ、チェル ノブイリ の
痛恨の訓えから学び、政治に課せられた最重要の使命である「子どもの命を救
う」という緊急課題を実行すべき時であります。

本日、「ふくしま集団疎開裁判」は仮処分事件の二審として異例の裁判(審尋)
が仙台高等裁判所で行なわれます。これは形式的な理屈で低線量被ばく の危険
性を否定した一審判決を見直すためという可能性を秘めた極めて重要な期日です。
私たちは、この重要な日にあたって、国民の厳粛な信託により国政を担当する国
会における代表者である国会議員の皆様一人ひとりに、いま、政治の原 点であ
る 「子どもの命を守る」ための緊急課題についてどのように考えておられるの
か、その考えを知りたく、別紙の質問をさせていただいた次第です。どう か、
私ども 国民の注視に答えていただくことを深く願ってやみません。

なお、この裁判の詳細は、「ふくしま集団疎開裁判の会」ブログをご覧ください。

(以下の回答書は省略しました。転載終わり)


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