[CML 021196] 保坂展人『闘う区長』

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2012年 11月 25日 (日) 14:01:03 JST


保坂展人『闘う区長』(集英社新書)は先の統一地方選挙で世田谷区長に当選した人物の書籍である。保坂氏は脱原発や大型開発優先区政からの転換などの公約を掲げて当選した。 

二子玉川ライズ反対運動の立場から保坂区長に注目する立場として『闘う区長』とのタイトルには少し違和感がない訳ではない。闘う首長として連想する人物は田中康夫長野県知事や阿久根市の竹原信一市長、名古屋市の河村たかし市長、大阪府の橋下徹知事らである。彼らの共通点は地方議会との対決である。正面から議会の多数派と衝突し、社会に問題を提起し続けた(林田力「お騒がせ首長は改革者か暴君か」PJニュース2010年9月7日)。 

保坂区長も前提条件は同じである。前区政を根本的に転換する公約が支持されて当選したものの、世田谷区議会は前区長与党の自民党と公明党が多数を占めている。公約を実現するために議会と闘うことは不可避であった。 

ところが、保坂区政は自民党や公明党との対立を避けてきた。『闘う区長』にも「最大公約数で一致できるところからガンガンやっていくしかない」との表現がある(180頁)。自民党や公明党も賛成できるものから手につけるしかないとの考え方である。これは区政の転換を期待した人々からは期待外れに映る。これが闘う区長に違和感を抱く理由である。それでも自著の表題を『闘う区長』としたことからは自己を「闘う区長」と規定している、少なくとも「闘う区長」でありたいと思っているためであり、この点に希望がある。 
http://www.hayariki.net/4/47.htm
守旧派の議会多数派と闘う区長にはなっていないが、情報開示などを求める東京電力との交渉には闘う区長らしさがある。福島第一原発事故への加害者意識に欠け、殿様商売を続ける地域独占会社に立ち向かう姿勢は闘う区長らしい。しかも、保坂区長には電力自由化という未来像を描いている。観念的な脱原発に陥らず、「放射脳怖い」だけの放射脳カルトとも一線を画している(林田力「放射脳カルトと一線を画す保坂区政の脱原発」真相JAPAN第115号、2012年9月7日)。 

既存の闘う首長達は社会の注目を集める一方で、議員や公務員という悪者を作ってバッシングし、人気取りするポピュリスト政治家との批判があることも事実である。電力自由化を志向する保坂区長の闘いには、スケープゴートをバッシングするだけの壊し屋にはない価値を見出だすことができる。世田谷区民の期待に応えられるか、注目していきたい。 


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