[CML 020934] 宇都宮健児氏の東京都知事選挙出馬と反貧困運動

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2012年 11月 11日 (日) 12:08:32 JST


宇都宮健児(宇都宮けんじ)・前日弁連会長の東京都知事選挙出馬は反貧困運動にとっても良い影響を及ぼす。反貧困運動は格差が拡大して固定化する日本社会で重要な運動である。しかし、深刻な格差社会が永続する中で反貧困運動にも混迷が見られる。政治的規制を求めず、貧困ビジネスと折り合いをつけてしまう風潮である。 

反貧困運動にとって、ゼロゼロ物件などの貧困者を搾取する貧困ビジネスは倒すべき敵である。実際、「住まいの貧困に取り組むネットワーク」はグリーンウッド(吉野敏和)などのゼロゼロ物件業者の違法を告発し、東京都は宅地建物取引業法違反で業務停止処分とした(林田力「都知事選出馬の渡辺美樹・ワタミ会長の経営の評価」PJニュース2011年2月21日)。グリーンウッドは株式会社アトラス(東京都知事(1)第93815号、中西真琴)と名前も代表者も変え、宅建免許を取り直すという姑息な手段を採らざるを得ないほど追い詰められた。これは反貧困運動の大きな成果である。 

ところが、公的なセーフティネットが機能不全になる中で貧困ビジネスを社会資源の一つとして認知する議論が出てくる。目の前の現実論として貧困ビジネスがなくなると貧困層は益々困ることになるという類の議論である。「年越し派遣村」に象徴される正規から非正規への置き換えは格差社会の要因であるが、労働者派遣を規制強化すると派遣労働者の働き口が減ると主張される。消費者金融を規制すればヤミ金融が増えるとも主張される。この種の議論が貧困ビジネスの自己正当化してだけではなく、反貧困運動の中にも出てくるところに問題の深刻さがある。貧困ビジネスを必要悪とする見方である。 

この種の現状追認論が反貧困運動の中からも出てくる要因は政治に期待できないためである。セーフティネットは公共セクターが構築することが筋である。住まいの貧困が問題ならば公営住宅の拡充が解決策になる。それが全く期待できないために現存の貧困ビジネスと折り合いをつけようとする。 

しかし、現実問題として住宅に困っている人々にゼロゼロ物件を紹介することは、金に困っている人にサラ金を紹介するようなものである。貧困問題の解決にならない。これでは根本的な社会悪との闘いができず、格差社会を転換できない。 
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これに対して宇都宮氏は政治的解決も志向する。宇都宮氏と言えばサラ金・ヤミ金など多重債務問題である。宇都宮氏は個別の被害救済に尽力する一方で、法律そのものの改正にも取り組んだ。2006年の「グレーゾーン」金利を撤廃させる画期的な貸金業法改正の成立に寄与した。 

宇都宮氏が会長となった日弁連では政策提言を積極化した。「希望社会の実現のため、社会保障のグランドデザイン策定を求める決議」では「住宅保障を社会保障に位置付け、国の責任において、多様な低家賃の公的住宅を確保・提供するとともに、家賃補助(住宅手当)や公的保証制度を創設すること」などを求めている(林田力「日弁連理事会で貧困問題を提言」PJニュース2011年7月20日)。これは住まいの貧困を公共セクターの責任で解決を求めるものである。住宅の供給を市場原理に放任していた日本の住宅政策の転換を求めるものである。
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林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』
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