[CML 016887] NHK番組、議員定数削減に賛成の意見のみ紹介

OHTA, Mitsumasa otasa at nifty.com
2012年 5月 8日 (火) 00:35:18 JST


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NHKは選挙制度・定数削減、原発事故・再稼働の問題で公平・中立・多様な情報の提供を
http://kaze.fm/wordpress/?p=354

NHK御中

いつも優れた番組の制作ありがとうございます。本日は選挙制度・原発事故に関連した貴局の番組・報道について意見を述べます。

貴局は2012年4月30日に「双方向解説 そこが知りたい!『どうなる消費税・一体改革の行方は』」を放映されました。

NHK双方向解説が「議員定数削減」に反対する意見を報道せず
http://alcyone-sapporo.blogspot.jp/2012/04/nhk_30.html

上記ブログでも明らかにされているように、私も知るある方が国会議員の定数削減に反対する意見を出したものの、賛成意見のみが番組で紹介されました。このような番組運営は公平・中立・多様性を要請する放送法に反しています。

安達宜正解説委員による解説も、少数政党に不利に働く不公平な説明と言えます。

ここに注目! 「通常国会あす召集・焦点は」 | おはよう日本 「ここに注目!」 | 解説委員室ブログ:NHK(2012年01月23日)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/300/107162.html

「具体化するかどうかはこれからですが、いまの小選挙区比例代表並立制から、連用制に改めることです。簡単に言いますと、比例の選出方法を改めて、小選挙区で得た議席の少ない政党に優先的に議席を配分するという制度です。」

この説明は小選挙区比例代表連用制の本質を誤解させかねません。小選挙区比例代表連用制は、比例区の得票数を基に、議席配分を全体として比例代表制による結果に近づけるようにしたものです。考え方が小選挙区比例代表並立制とは完全に違うもので、少数政党だけを優遇することが狙いではありません。

大政党は小選挙区における議席占有率が得票率を上回る場合が多く、小選挙区では大政党に「優先的」に議席が配分されるので、小選挙区比例代表連用制の比例区では小選挙区で得た議席を比例区で得たものと見なし、大政党に対する過剰な議席配分を修正します。

そのため、小選挙区比例代表連用制における比例区の議席配分では、例えば小選挙区で100議席を獲得した大政党Aは101、102、103…で得票数を割っていき、小選挙区で議席数0の少数政党Bは1、2、3…で得票数を割っていくという修正ドント式を採用するのです(A党が101議席を獲得するとして1議席当たりに要する得票数と、B党が1議席を獲得するとして1議席当たりに要する得票数を比較し、1議席当たりに要する得票数の大きい方の政党に議席を配分する。比例区定数の議席が配分されるまでこうした計算を続ける)。

しかし、小選挙区比例代表連用制でも大政党に有利であることに変わりはありません。

小選挙区比例代表連用制
http://kaze.fm/wordpress/?p=346

次に、太田真嗣解説委員による解説を取り上げます。

時論公論「どうする一票の格差・選挙制度」 | 時論公論 | 解説委員室ブログ:NHK(2011年10月25日)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/99270.html

「言うまでもなく、憲法が要請する『投票価値の平等』は、民主主義の基本にかかわるもので、最高裁の判決を踏まえ、一日も早く、格差を解消することは政治の務めです。しかし、政治への信頼が問われている今、定数削減の問題や、選挙制度そのものをめぐる議論も避けて通れないのは明らかです。」

前半部分は正しいと思いますが、小選挙区制による選挙区間1票の格差を問題とするなら、小選挙区制において生票と死票を投じる主権者の間で生じる格差をどう評価するのか、格差解消の優先度はどちらが高いのかについても、解説していただきたいものです。小選挙区Aの主権者1万人が議員1人を当選させることができる一方で、小選挙区Bの主権者1万人すべての票が死票になるような事態をもたらすのが小選挙区制であり、こちらの格差の方がはるかに問題です。

また、政治に対する信頼と定数削減の関連を当然視する見解は納得できません。公共放送による解説であれば、放送法で規定されているように、多様な論点の提示が求められます。政治的多数派の主張や国民多数の見解だけを紹介すればよいというわけにはいきません。

現在の定数削減論は大政党が主導し、少数政党を国会から排除する方向のものであり、国会活動のほとんどに責任を持つ大政党が身を切ることなく生き残り、少数政党が排除されることで政治に対する信頼性が回復されるとする論は成り立ちません。また、定数が削減されても新人議員の立候補者数を削減すればよいだけなので、国民に信頼されていないとされる現役議員の身を切ること、それによって政治に対する信頼を回復するなどということも、ほとんどあり得ません。

福島原発事故に関する番組でもまったく同様の問題があります。

2011年10月22日に「“食の安全”をどう取り戻すか」と題する市民討論会がNHKスペシャルとして実施されました。広瀬隆『第二のフクシマ、日本滅亡』(朝日選書、211ページ)によれば、「その後、私の知人たちが、ベクレル表示に要する費用は東京電力が負担するべきだ、という意見を視聴者として送っていたことも分かった。それをNHKは一切紹介しなかったのである。」

ちなみに、西日本新聞の社説なども、同様に不公平なものになっています。

衆院選挙制度 定数削減は国民の要請だ  西日本新聞2012年1月19日: 社説
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/282775
「公明党や社民党が少数政党に議席配分が有利な比例代表の連用制や併用制を主張し、みんなの党や共産党が全議席比例代表選挙の導入を求めているのも、議席を失いたくないからだ。」

西日本新聞よ、貴紙は民主のメディア支部かね 1 バランスを欠く選挙制度(議席削減)の社説 | 児玉昌己 研究室
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3053
「民主は比例制に換えれば、即座に100名以上の議席を失う。同様に、それが怖いからだ、とどうして社説氏は書かないのかね。」

もちろん、「定数削減は国民の要請だ」などと単純に断じることはできません。米軍基地の沖縄への押し付け、原発の地方への押し付けを多くの国民が要請したとしても認められないのと同様に、主権者の主権を不平等に切り崩すような選挙制度改定・定数削減は、単純な多数決で決定することができないからです。

現在、日本の原発は全基が停止しています。原発再稼働を考えるにあたっての最大の論点は(低線量)被ばくによる健康被害であると思いますが、原発の再稼働をめぐる攻防では電力の需給関係が重要な論点の1つになっています。

原発が停止した場合の電力需給がどうなるのかについて、メディアはもっぱら電力会社や政府が発表した見解をそのまま報道するだけです。この問題について貴局には、原発再稼働に反対する立場の方々の見解も交えて、独自の検証番組を制作・放映していただくようにお願いしたいと思います。

選挙制度・定数削減の問題であれ、原発事故・再稼働の問題であれ、貴局を含むメディアは民主的な決定に資するよう、公平・中立・多様な情報の提供に努めていただきたいと思います。

太田光征


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