[CML 016861] Re: 芝田進午氏の復活−核時代第二期の芝田進午

櫻井 智志 sa104927 at yahoo.co.jp
2012年 5月 6日 (日) 00:39:02 JST


前田様
 
丁寧な返信をありがとうございます。櫻井智志です。
泊原発、11時3分に止まりました。よかったですね。
これで全て解決でないとしても、重要な一歩です。
このために、多くの市民運動、住民運動の人々が
努力した成果ですよね。
 
私は前田さんのような大学人でないので、学問的に
詳細なことはわからないのですが、私にもわかるよう
に書いてくださり、お礼申しあげます。
 
芝田先生のセミナーのなかで土曜セミナーとよばれる
土曜夜に大きなビルを使ったセミナーがありました。
そこに沼田稲次{z氏がゲスト講師として来られました。
印象的だったのは、国連人権規約A条約とB条約に
ついて話されたことです。
 
芝田さんは、労働と実践を重視して学問を研究されま
した。労働過程は、組織的過程と技術的過程の統一
としてとらえ、そこから生産様式の概念を再構成して
いかれました。労働は同時に生きることを前提として
おり、さきほどの図式でも根底に「生きる権利」を据え
て、労働権、生存権から体系化していると思います。
間違っていたら御教示ください、びしびしと。(^^;)
芝田さんは大月文庫からアメリカ合「州」国の独立
革命を重視して、『生きる権利』を出しています。
そこには、学生時代以来の交流の厚かったアリス
・ハーズ夫人の抗議の焼身自死の衝撃も大きかっ
たのですが、学問的に労働、生存を深く対象化して
いたことと、アメリカの独立宣言やキング牧師、ジョ
ン・サマヴィル、アリス・ハーズなどの思想をフランス
革命、アメリカ独立革命としてとらえる欧米人権思想
の根底を流れる思想の脈絡でとらえていたようです。
 
その延長上で、沼田稲次郎氏と同様に、国連人権規
約など世界人権宣言などのマニフェストを重視されて
いました。
前田さんの学問の方向性と芝田さんの方向性は、
私見では、違う方向ではないと考えます。
 
なお、前田さんのご著作はここのMLで存じ上げて
おりました。なかなか現代的な斬新な構成感じまし
た。ご指摘のように、青木書店には、私も親近感が
あります。
1971年から1980年にかけて青木書店は、季刊雑
誌「現代と思想」を出版されました。読者投稿欄に
三度ほど掲載させていただいたので、当時学生でし
たが、神田の編集部を訪ねて当時の江口十四一
編集長にあいさつに行きました。江口さんは、古在
由重氏が御逝去された時に、九段会館で「偲ぶ集い」
が挙行された時に、岩波書店の当時の社長緑川亨
氏や同時代社の川上徹氏らとともに実行委員のお
一人でもあったかと思います。
 
長丁舌となりましたので、ここらで休みます。
どうもありがとうございました。
--- On Sun, 2012/5/6, maeda at zokei.ac.jp <maeda at zokei.ac.jp> wrote:



前田 朗です。
5月5日

櫻井さん

お返事ありがとうございます。

泊原発、本当に止まったかな。11時ころには止まる予定でしたが。


>  
> 基本的人権の体系です。
> 従来土台と上部構造のようなとらえかたをされていた社会科学理論に、芝田氏
は
> 図式化して提示しました。ここでは図式化できないので、項目であげますね。
> 機仝充造寮験茲寮源困蛤得源此∪源魂當
> 供\源砂関係=所有諸関係              
> 掘.ぅ妊ロギー
>   政治的・法律的上部構造
> 検\治革命
> 機銑犬紡弍して、
> 生命、自由、幸福の追求、人間の尊厳を基盤として、
> 機´]働権 教育権 生命の生産の権利 だ験荼
> 供´ \衢権・所有権  悩饉茵収奪・疎外に反対する権利
>   ◆|跳觚◆団体行動権、スト権、生産管理権等
>    社会保障・社会福祉の権利
> 掘\治的・市民的権利
> 検…餽蓋◆革命権、抵抗義務、革命義務
> 以上の機銑犬
> 后〔餌欧寮弧拭⊆由、幸福の追求、民族の尊厳
> 以上の基本的人権の体系とマルクス主義社会理論のカテゴリーは、芝田氏のい
くつの
> 著作にも掲載されている。根底に個人の「生きる権利」をおき、
> 個人→市民→民族へと段階的に規定されています。
>  


当時、憲法学者以外で、人権の体系的理解を提起していたのは芝田さんだけとい
ってよい状況でしたね。憲法学でも、自由権と社会権という俗流理解が一般的で
した。憲法学の場合は、日本国憲法に規定された人権の体系を説明するという観
点が強いのに対して、芝田さんは哲学的観点からの体系論なので、独自の立場を
押し出していたと思います。70〜80年代に福島大学を中心とする研究者たち
の中で人格的諸関係に理論的に切り込む流れがありましたが、人権の体系論にま
で至ったのかどうか。下記にお名前の出ている中野徹三さんの生活過程論ではど
うだったのか。正確に記憶していませんが、人権の体系論としては芝田さんを超
えたものはないように思います。

もっとも、その後ということになりますが、90年代以後、日本でも国際人権法
の領域に光が当たるようになり、世界人権宣言や二つの国際人権規約における人
権の体系が浮上してきました。この体系も、基本的には自由権と社会権という俗
流理解を支えるものでしたから、今日の世界的傾向としてはこの理解がますます
強くなっています。私自身も90年代からずっと国連人権委員会、人権小委員会、
人権理事会、人種差別撤廃委員会などでロビー活動をしてきましたから、実践的
に俗流理解に立ち、かつそれを支えてきたことになります。

現在は、人権理事会で国連・平和への権利宣言を作るための議論が進んでおり、
私もその流れに加わって、内外で平和への権利を宣伝しています。日本国憲法の
平和的生存権と関連しますが、内容はかなり違います。ここでの議論は、もっと
も基礎に平和への権利を位置づけ、市民的政治的権利や経済的社会的文化的権利
をその上に設定するものです。また、個人の権利としての人権と、集団の権利と
しての人権をめぐる議論も再活性化しています。

なお、私の最新刊『9条を生きる』(青木書店)−−芝田さんの本を出した青木
です−−では、平和的生存権を、個人−社会−国家−国際社会の4つのレベルで
整理しました。もっとも、理論的に提起したわけではないので、改めて芝田さん
の本を読みなおして、次からは理論的に展開するようにしたいと思います。

ご教示、ありがとうございました。



> 前田さんwrote
> ヴェトナム戦争に反対するラッセル法廷との関連で、日本でもラッセル法廷東
京
> 版が開催されていますが、そのた めに戦火のヴェトナムに調査に行った知識
人
> たちがいて、そのメンバーだった芝田さんは、現地で米軍の爆撃にあって負傷
し
> ています。
> アフガニスタン国際戦犯民衆法廷の準備のため、私は戦火のアフガニスタンに
戦
> 争被害調査にいき、苦労して冷や 汗たらたらで帰国しましたが、民衆法廷運
動
> にかかわって、民衆法廷の歴史を整理した時に、芝田さんの負傷の件を知りま
した。
> 「1966年12月、日本委員会第1次調査団(滋賀秀俊団長、陸井三郎、石
島
> 泰ら)がハノイに入り、各地で戦争犯罪の証拠を収集 した。当時の「国境」
と
> された17度線近くまで3500キロに及ぶ踏査であり、100名を超える証
人
> に取材している。記録映画『真実は告 発する』が製作された。
>  1967年6月、日本委員会第2次調査団(船崎善三郎、神立まこと、芝田
進
> 午ら)が2ヶ 月にわたってヴェトナム調査を行った。第2回ラッセル法廷で、
> 共犯者である日本政府を告発するために、厳しい情勢の中を文字通りの命がけ
> の調査であったという。芝田団員は米軍機による爆撃で軽症を負っている。
>  
> 櫻井wrote                 
> たしかにおっしゃるとおりですね。
> 芝田氏がベトナムに学者の行動範囲としては極めて実践的な勇気ある行動に
> 出たきっかけは、1965年に東京大学学生の頃から文通のあったアメリカの
平
> 和運動家アリス・ハーズ夫人の焼身自殺があります。『われ炎となりて』はそ
の
> 書簡をまとめた書籍ですが、弘文堂、文理閣、青木書店などから出版されて
> います。
> ベトナムに戦争犯罪調査にいった経緯と様子を芝田先生は、新日本出版社
> から『ベトナム日記』1969年に出版されています。
> 特筆すべきは、有名な『ベトナムと思想の問題』はその前年1968年に青木
書
> 店から出されています。さらに1975年に大月書店から『ベトナムと人類解
放の
> 思想』を刊行しています。
>  
> 前田さんwrote
>  1967年8月28日から30日にかけて、ヴェトナムにおけるアメリカの
戦
> 争犯罪と、日 本政府、財界の協力・加担を裁く「東京法廷」が千代田公会堂
で
> 開催された。
>  法廷にはヴェトナムの調査委員会や、解放民族戦線からのメッセージが届け
ら
> れた。ラッセ ル、サルトルらからもメッセージが届いた。
>  法廷メンバーは、青山道夫(関西大学教授)、秋元寿恵夫(新日本医師協会
会
> 長)、宇野重 吉(演出家)、大西良慶(清水寺管主)、尾崎陞(弁護士)、
岡
> 崎一夫(弁護士)、小椋広勝(立命館大学教授)、加茂儀一(科学歴史研究
> 家)、城戸幡太郎(北海道学芸大学学長)、具島兼三郎(九州大学教授)、古
在
> 由重(哲学者)、佐久間澄(広島大学教授)、佐伯静治(弁護 士)、末川博
> (立命館大学総長)、鈴木安蔵(立正大学教授)、田畑忍(同志社大学教授)、
> 田万清臣(弁護士)、野村平爾(早稲田大学教 授)、林要(日本学術会議第
三
> 部長)、羽仁説子(評論家)、八田元夫(演出家)、平野義太郎(日本平和委
員
> 会会長)、藤井日達(日本山妙 法寺山主)、舟木重信(評論家)、福島要一
> (日本学術会議海員)、深尾須磨子(詩人)、松浦一(北海道大学名誉教授)、
> 務台理作(慶応大 学名誉教授)、森川金寿(弁護士)、宗像誠也(東京大学
教
> 授)である。宗像誠也が法廷運営委員長を勤めた。
>  ヴェトナムにおけるアメリカの戦争犯罪を詳細に明るみに出すとともに、在
日
> 米軍基地の実 態と、日本政府の戦争協力を正面から問う法廷であった。」
> (以上、前田朗『民衆法廷 入門』耕文社、2007年)47〜48頁。
>  
> 櫻井wrote
>  最後に一言。
> 芝田進午さんがご逝去されて、桐書房から『芝田進午の世界 核・バイオ時代
> の哲学を求めて』が2002年6月に出ています。
> 関わりのあった友人、研究者、実践家、教え子などが七種類に分類された項
> 目に属する人々が執筆されています。
> 小生の「類い稀な実践的知識人・芝田進午先生」もp79〜80に収められて
い
> ます。同じ「同時代の研究者として」には、45名のお名前があります。たと
えば、
> 秋間実 池谷壽夫 岩淵慶一 角田保雄 加藤哲郎 後藤道夫 佐藤和夫
> 島崎隆 鈴木正 竹内章郎 田中浩 照井日出喜 富沢賢治 中野徹三
> 平田哲男 吉田傑俊 渡辺憲正らの諸氏です。
> 図書館か古本屋などで目にすることがありましたら、どうぞ。(^^;)
> 
> 




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