[CML 015945] 関西電力関連団体、福井県原子力委員に1490万円(朝日新聞)

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2012年 3月 25日 (日) 11:16:26 JST


福井県原子力委員に1490万円 電力側、5人に寄付
2012年3月25日03時00分

全国最多の原発14基を抱える福井県から依頼され、原発の安全性を審議する福井県原子力安全専門委員会の委員12人のうち、4人が2006~10年度に関西電力の関連団体から計790万円、1人が電力会社と原発メーカーから計700万円の寄付を受けていた。朝日新聞の調べでわかった。

 政府は近く、停止中の原発の中で手続きがもっとも進む関電大飯原発(福井県おおい町)3、4号機の再稼働について福井県に同意を求め、県は県原子力委に助言を求める見通しだが、5人の委員が関電など審議対象と利害関係にあることになる。5人はいずれも寄付の影響を否定している。

 委員らの所属大学に情報公開請求し、大学を通じて研究助成名目で寄せられた5年分の寄付が開示され、委員にも取材した。

 関電関連の業界団体「関西原子力懇談会」(会長=西原英晃・京都大名誉教授、関原懇、大阪市)から寄付を受けたのは4人の大学教授と元教授。4人とも、関電に近い団体と認識していたという。大飯原発を建てた三菱重工業と、福井県内に敦賀原発を持つ日本原子力発電から受けた教授も1人いた。3人は全額が委員の就任後だった。

 三島嘉一郎・元京大教授は教授だった06、07年度に関原懇から寄付を受け、09年からは関電100%出資の関連会社の研究所長に就任。しかし、10年から県原子力委の委員を務めている。

 関原懇は関電が中心になって出資して設立した任意団体で、関電副社長が今年1月まで会長を務め、いまは常務が副会長。原子力研究や放射線利用の理解促進を活動目的とし、関連の研究者に寄付をしている。

 県原子力委は原子力工学や耐震工学などの専門家で構成される。県によると、委員を頼む際、業界からの金銭支援について報告を求めていないという。関原懇などは今回の寄付について「研究推進の観点でやっている」などと説明する。

 大飯3、4号機をめぐっては、関電が11年秋、地震や津波にどれだけ耐えられるかを計算したストレステスト(耐性評価)の報告書を経済産業省原子力安全・保安院に提出。保安院は「妥当」と評価し、内閣府原子力安全委員会が23日、保安院の審査を認める確認文書を公表している。(大谷聡、荻原千明)

     ◇

 寄付を受けた5人の研究者はいずれも県原子力委への影響を否定している。

 このうち、委員就任後に三菱重工業から500万円、日本原電から200万円の寄付を受けていた飯井俊行・福井大教授は「是非は委員会の判断に委ねたい」と大学を通じて回答した。

 また、就任前に関西原子力懇談会から360万円の寄付を受けた西本和俊・大阪大教授は「中立的な調査研究に使っている」と取材に回答。同様に300万円の寄付を受けた三島嘉一郎・元京都大教授は「研究者として、それで発言を曲げることはない」と答えた。

■寄付、教授ら37人に 関電関連団体

 再稼働の判断が注目されている関西電力大飯原発。その安全性を近く審議するとみられる福井県原子力安全専門委員会の委員らに、関電と強い関係をもつ関西原子力懇談会(関原懇)が寄付をしていた。活動の詳細は非公開だが、各地の原子力の研究者と金銭面でつながる姿が浮かび上がる。

 大阪市西区の大阪科学技術センタービル。1階に入ると、自転車型のゲーム機が目に入ってくる。福井県内の道路を走って原発に立ち寄りながら電気をためるというゲーム。時間内にゴールすれば、大阪や京都に電気が供給される。

 コーナーの出展者の欄には「関西電力・関西原子力懇談会」と記されていた。

 このビルに関原懇の事務局はある。事務担当者によると、1956年、同じ年に発足した原子力の業界団体「日本原子力産業協会」(原産協会、東京)の地方支部として、関電が中心となって設立された。現在の会員は電力会社、原発メーカー、商社など63法人と研究者ら74個人。関係者によると、事業費の多くは関電が負担しているという。

 近畿や福井県内で原子力のイベントを開き、研究者を講師に招く。小中学校の教職員や大学生向けの講習会も開催する。だが、会員名や事業規模、寄付金額などはすべて「非公開」。担当者は「任意団体であり、開示義務はない」と話す。

 研究者には発足当初から寄付をしてきたという。「将来性のある先生」を選んで続けてきたが、選考基準が不透明と外部から指摘され、09年度から公募制に。今は寄付先を会報で公開するが、金額は伏せる。

 朝日新聞が、各地の大学に所属する原子力関連の研究者に寄せられた寄付について情報公開請求や取材をすると、福井県原子力委に委員を出している京都、大阪、名古屋、福井の各大学で、少なくとも37人の教授らが06~10年度の5年間で計5895万円の寄付を関原懇から受けていた。

 内閣府原子力安全委員会で審査委員を務めた大学教授は「関原懇の職員が来て、『あげる』と言うからもらったのが始まり。公募になった後も含め、それから毎年受けている」と話す。関原懇は11年3月まで日本原子力学会関西支部の事務局も務めていた。

 関原懇の会長は今年1月まで長年、関電から選ばれ、原子力担当の副社長らが就いてきたが、朝日新聞が関原懇の寄付の一部を報じた1月初旬、西原英晃・京大名誉教授に代わった。現在も副会長は関電常務で、もう1人の副会長は三菱重工業原子力事業本部長だ。

 原産協会の幹部は「関原懇はアバウトイコール関電と言えるのではないか」と指摘する。関電は「関原懇への出資額は公表を差し控えたい」と説明している。(大谷聡、荻原千明)

■「支援あるなら審議外すべき」

 国内の原発の安全性を審査する内閣府原子力安全委員会では、原子力業界からの金銭支援について審査委員に自己申告させている。内容は非公表だが、審査対象の企業・団体から報酬などを受けている場合はその案件から外すルールを設けている。

 NPO法人「原子力資料情報室」は、福井県原子力安全専門委員会の人選が原発推進派に偏っているとして、見直しを県に申し入れてきた。内閣府の原子力委員会新大綱策定会議にも加わる伴英幸・共同代表は「寄付はやはりという思いだ。そんな委員会で審議しても住民の不安解消には全くならない」と話す。

 原子力業界の事情を知る事故調査の専門家は「原発の安全性を審議する組織は業界からの金銭支援を全て公開することが重要で、支援がある場合はできれば審議から外すべきだ。少なくとも業界からポストをもらっている人は委員として適任ではない」と指摘する。

     ◇

 〈大学の研究者への寄付〉 研究助成が名目で奨学寄付とも呼ばれる。企業・団体は研究者を指定して大学の口座に振り込む。数%程度は大学の会計に入ることが一般的。研究者は使途を大学側に申告するが、企業・団体側への報告義務はなく、受託・共同研究費に比べて研究者が扱いやすい資金とされる。内閣府原子力安全委員会の安全委員と審査委員のうち、班目春樹委員長を含む約3割が原子力業界から計約8500万円▽内閣府原子力委員会で新大綱策定会議に所属する原子力専門の大学教授3人が業界から計約1800万円を受けていたことが、朝日新聞の報道ですでに明らかになっている。

■寄付を受けた委員のコメント(●は全額が委員就任後)

●泉佳伸・福井大教授 関原懇30万円(2010年度)

 「寄付を受けて行った研究活動と、委員会の委員としての活動とはまったく別物。寄付で影響を受けることはあり得ない」

○西本和俊・大阪大教授 関原懇360万円(06~08年度)

 「寄付は純粋に中立的な調査研究に使い、それで影響は受けない。使途にも問題はなく、何らやましいことはない」

○三島嘉一郎・元京都大教授(現・原子力安全システム研究所) 関原懇300万円(06~07年度)

 「原発の現場にいるからこそ研究の成果が生かせる。研究者として、それで発言を曲げることは決してない」

●飯井俊行・福井大教授 三菱重工業500万円、日本原電200万円(06~10年度)

 「寄付を受けたことで発言が影響を受けることはない。是非については、県原子力委の判断に委ねたい」(大学を通じて回答)

●山本章夫・名古屋大教授 関原懇100万円(09~10年度)

 「委員としては事実と科学的根拠に基づき議論しており、そこには寄付など他の要素が入り込むことはない」

■委員に寄付をしていた団体・企業の話

【関西原子力懇談会】原子力、放射線の研究推進という観点で関西圏や福井県の研究者に研究助成を行っている。安全を巡る判断への影響力の行使などは全く意図していない。

【三菱重工業】専門性を持った研究成果が当社の技術開発につなげられ、また我が国の原子力産業の技術力の向上につながると考え、寄付金の拠出を行っている。

【日本原子力発電】大学の奨学寄付金制度にのっとって寄付している。個別の内容について詳細は明かせないが、飯井俊行教授は大学の就職担当をされており、支援を始めた。 



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