[CML 015697] グランサコネ通信―120315

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2012年 3月 15日 (木) 17:17:45 JST


前田 朗です。
3月15日

グランサコネ通信―120315


1)	朝鮮学校高校無償化問題

14日、国連欧州本部で開催中の国連人権理事会HRCの議題5(マイノリティ
問題を含む)で、NGOの国際人権活動日本委員会JWCHR(私)が、朝鮮学
校高校無償化除外問題について発言しました。昨年に続いて2度目です。
今回は、2月に国連人権高等弁務官事務所UNHCHRで開催された人種差別撤
廃委員会CERDに、日本の3つのNGOが提出したアピールを、転用・借用し
た発言です。たぶん、以前一緒に国連人権機関活動をした在日コリアンが書いた
文章だと思いますが、それを無断借用しました(著作権侵害!)。この問題につ
いては2010年2月に開催されたCERDにおける日本政府報告書審査の際に
NGOが委員会に持ち込み、同年3月にCERDが、高校無償化除外の政治家発
言が朝鮮人生徒に対する差別的効果を有することに懸念を表明していました。に
もかかわらず、その後も日本政府は改善をすることなく、今日に至っています。
日本政府が2年間、朝鮮学校を差別してきました。それだけではなく、これは差
別の扇動です。日本政府と政治家たちが公共の場で何度も差別発言を繰り返して
いますから、日本社会に対して「朝鮮人は差別してもいいんだ」とあおっている
も同然です。それに便乗して極右暴力・差別集団が暴力事件を引き起こしていま
す。そうした事態をほとんど放置しているのが日本政府ですので、人権理事会に
報告する必要があります。
私の発言の時は、日本政府大使や上席の人物はいなくて、若い参事官(?)が座
っていました。
ちなみに、いつもの作務衣ではなく、韓服でした。


2)	平和への権利

議題5で、コスタリカ政府が平和への権利国連宣言づくりについて発言しました。
諮問委員会の審議経過に触れたうえで、6月の人権理事会で審議されるが、コス
タリカは全面的に支持するというものです。これまでキューバがずっと担当して
きましたが、今後はコスタリカも前面に出るという予告です。
続いて、NGOの国際平和メッセンジャー都市(カルロス・ビヤン・デュラン)
が、これまで国連宣言づくりを推進してきたスペイン法律家の立場から、支持を
呼びかけました。

14日午後、国連欧州本部内の会議室で、NGO主催のハイレベル・パネル「平
和への権利へのイスラム世界の貢献」が開催されました。英語、フランス語、ス
ペイン語、カタロニア語ペラペラのダヴィッド・フェルナンデスが懸命に交渉し
て準備したパネルです。司会はホセ・ルイス・ゴメス(傭兵に関する国連作業部
会・元議長)、スリマネ・シーファ(イスラム協力機構ジュネーヴ常駐大使)、
フォデ・セック(セネガル大使)、マンセフ・バーティ(チュニジア大使)、ウ
ース・デミラルプ(トルコ大使)、ファウジア・アシュマウィ(国際イスラム信
仰機構代表、欧州女性フォーラム代表)、カルロス・ビヤン(スペイン国際人権
法協会会長)です。

人権理事会は、14日の午後から普遍的定期審査UPRです。審査対象の中に、
シリアとリビアがあります。15日には、ヴェネズエラもあるので、先進国側が
どんな攻撃をするか見ものですが、残念ながら私は15日の便で帰国です。


3)	人権理事会でのトラブル

先にお知らせしたトラブルは日本や韓国でも報道されたそうで、朝鮮と韓国の衝
突でした。ただ、日本や韓国の報道はかなり歪んでいます。
私は会場にいましたが、離れていたので目撃者とは言えませんし、彼らが途中で
会場から出て行った後のことは一切見ていません。
しかし、報道を見れば、疑問点を指摘するのは簡単です。たとえば、下記は読売
新聞です。

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北代表と韓国議員、国連「場外乱闘」つかみ合い
 【ジュネーブ=石黒穣】ジュネーブで開かれた国連人権理事会で12日、議場
の外で北朝鮮代表と韓国の国会議員がつかみ合いを演じた。
  外交舞台での「場外乱闘」は異例で、他の国の外交団もあきれている。
  きっかけは、北朝鮮の徐世平ソセピョン大使が「北朝鮮の人権状況は悪化し
ている」との国連特別報告者の指摘に抗議して退席したこと。徐大使に、韓国の
金炯オキムヒョンオ元国会議長ら議員団が脱北者の保護などを訴える文書を手渡
そうとして近寄り、拒否する北朝鮮側と騒ぎになった。(*オは日へんに午)
  韓国の女性議員は北朝鮮の随行員に腕をねじ上げられ、男性議員の一人は国
連警備員に約30分間拘束されたという。議員団は「国連には北朝鮮の乱暴な行
為に断固とした対応をしてほしい」と怒りが収まらない様子だった。
(2012年3月14日15時32分  読売新聞)

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この記事を見ればすぐにわかります。事実を伝えているのですが、その「事実」
がいかなる「事実」か、です。

第1に、韓国側の主張だけをもとにして書いています。
第2に、基本を押さえていません。

基本は簡単です。

第1に、国連の会議を妨害したのは誰か。
第2に、国際法で保護された外交官に手を出したのは誰か。

1.	トラブルが起きたのは国連人権理事会の公式会議のさなかです。ここは国
連憲章やウィーン条約を基礎にして成り立っている世界です。外交常識を踏まえ
て行動しなければなりません。

2.	朝鮮の大使は、議題に抗議して退席しようとしていたのです。これはいつ
ものことで、みんなに見えるように退席していくのです。外交パフォーマンスで
すから。それを妨害したのが韓国の議員です。ちょうど日本政府発言のさなかに
トラブルが明確になり大声で怒鳴りあっていましたから、どう見ても少なくとも
5〜6分は妨害したということです。外交官のパフォーマンスを5〜6分も妨害
するなどということは、およそありえないことです。

3.	韓国側は「国会議員だ」と強調していますが、何の意味もありません。国
連の場では外交官が責任を持つのです。国会議員が国連で勝手な行動をしたら、
国連も、その国の外交も成り立ちません。どこの国の議員だろうと、国連ではた
だの人です。そんなこともわからない間抜けな国会議員がいるということを世界
に宣伝してしまいました。

4.	どちらが先に手を出したのか知りませんが、それはどうでもいいことです。
暴力をふるったのは韓国の議員です。なぜなら、外交官に手を出したからです。
だから、国連警備員は取り押さえたのです。国連警備員にとって、北と南の対立
は関係ありません。国連の会議を妨害し、外交官に手を出した前代未聞の暴漢を
取り押さえたのです。その人物が「自分は韓国の国会議員だ」と無意味なことを
怒鳴っていただけです。30分拘束されたそうですが、当たり前です。当然、排
除されました。

5.	ここで問われているのは韓国外交部の姿勢です。国連の場では外相や大使
やその他の外交官が責任をもって職務を行っているのです。たとえ国会議員とい
えども、外交ルールを無視して勝手な行動をしてはいけない、と明言しなくては
ならないのです。こういう暴力議員が二度と国連に来ないように監視しなければ
ならないのです。それをしなければ、将来的には韓国政府の責任が問われること
になります。

6.	私だったら、「韓国政府がテロリストを送り込んで、我が国の大使に暴力
をふるった」と宣伝します。国連の歴史に残るスキャンダルになります。朝鮮政
府はそこまでは言わないようです。

7.	いずれにしてもコリアンの評判がガタ落ちになるのです。残念なことです。



4)CERDイタリア報告書(CERD/C/ITA/16-18. 21 June 2011)

 報告書によると、憲法第3条が性別、人種、言語、宗教、政治的意見による差
別なしに法の下に平等であるという規定です。
 条約第2条に関連して、独立の人権委員会の存在や、移民法などの説明があり、
さまざまな差別反対のプロジェクトが説明されています。ただ、人種差別禁止法
については言及がありません。たぶん、ないのでしょう。
 条約第4条に関連して、1975年ンお法律第654号を改正した1993年
6月25日の法律第205号(マンチーノMancino法として知られる)及び20
06年2月24日の法律第85号が挙げられています。人種差別を煽動する目的
を有する団体の結成は処罰されると言います。
 政治的討論において犯罪的な人種主義的論拠を用いた場合、文書、演説等に犯
罪的性質があるか否かを司法機関が判断します。2009年に有名な政治家に関
する2つの判決が出ました。
 2009年10月26日、ヴェニス司法裁判所は、略式手続で、トレヴィソ副
市長のジャンカルロ・ジェンティリニGiancarlo Gentiliniを人種的憎悪で有罪
とし、4000ユーロの罰金、及び3年間の公共集会参加禁止を言い渡しました。
ジェンテチィリニは、2008年、ヴェニスで開かれた北部同盟党の集会で移住
者に対する侮辱的言葉を侮辱的調子で用いました。弁護人は控訴すると表明しま
した。
 2009年7月、破棄院は、ヴェローナ市長のフラヴィオ・トシFlavio Tosi
に対する2月の刑事施設収容(プロベーション付き)とする有罪判決を確認しま
した。トシは、2001年、議員だった時期に、ヴェローナでジプシー・キャン
プを移転させる署名運動をおこしました。北部同盟党は、7人のシンティ市民お
よびノマドのための全国行動という団体から裁判をおこされました。2004年
12月、ヴェローナ司法裁判所は、人種主義的思考の促進と、差別行為の扇動に
より6月の刑事施設収容としました。しかし、2007年1月、ヴェニス控訴裁
判所は、人種憎悪の扇動の訴因は認められないとして、2月の刑事施設収容とし
ました。次いで、2008年10月、ヴェニス控訴裁判所は、人種主義的思考の
プロパガンダがあったとして有罪とし、2009年7月、破棄院がこれを認めま
した。
 報告書によると、2005年以来、スポーツイベントにおける人種主義対策に
力を入れているそうです。サッカー、ラグビー、マラソン、クリケット、テーブ
ル・テニスなどで、人種差別発言をしないように、また差別的表示のTシャツを
着用しないようにとのキャンペーンをやっています。
 イタリアには包括的な人種差別禁止法はないようです。ヘイト・クライム法は
あるようですが、条文の記載がありません。前回の報告書に出ているのかもしれ
ません。2009年の2つの判決が出ているので、ちゃんと適用されていること
がわかります。

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グランサコネ通信12年2〜3月版は、これでおしまいです。

春の私のミッションはこれで終わり。

ジュネーヴ空港にて





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