[CML 015640] 古寺多見氏(「きまぐれな日々」主宰者)の論攷「東日本大震災・東電原発事故1周年。原発再稼働の足音迫る」のご紹介(2-2)

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2012年 3月 12日 (月) 20:31:37 JST


おふたり目、古寺多見氏。

古寺多見氏の下記記事の「何かが似ている。そう、『政権交代』を求めた当時の世論と同じだ。『手段』であるはずの政権
交代が『目的』と化し、当時の野党第一党の指導者・小沢一郎を信奉する『小沢信者』と呼ばれる人たちが出現した」とい
ういまの脱原発運動の状況に対する「嘆き」(あるいは「叫び」)は、私の同様の「嘆き」(あるいは「叫び」)とその危機感の
深度においてかなりの程度同調します。個々の状況、個々の事象に対する認識はもちろん異なることがあったとしても、
です。私もこのところ「何かが似ている。そう、『政権交代』を求めた当時の世論と同じだ」、と既視感のような風景の中で
嘆息している夢を見ることが多いのです。「政権交代」のなれの果てがなんだったかについて多くの人が気づいているは
ずなのにいま同じことを繰り返している、と。

そういう意味で古寺多見氏の論を2番目に掲げます。


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■東日本大震災・東電原発事故1周年。原発再稼働の足音迫る(古寺多見 きまぐれな日々 
 2012年3月12日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1245.html

昨日(3月11日)で東日本大震災と東電原発事故からまる1年が経過した。

昨日は日曜日だったが、大震災は金曜日の午後2時46分に起きた。だから先週の後半はあの日のことが思い出されて
ならなかった。

1周年が日曜日と重なったことでテレビは朝から特番を組んだし、脱原発デモも行なわれたが、私はテレビの特番は少し
しか見なかったし、過去2度参加した脱原発デモにも出なかった。前者は昨年の大津波の様子はもう見たくなかったし、
復興や東電原発事故に関する「エラい人」のコメントを聞きたくもなかった。後者は、特に3月11日という日に「脱原発デ
モ」に参加する必然性を感じなかった。もとより私は東電原発事故が起きる以前から「反原発派」だし、事故発生直後か
ら東電を大々的に非難し、その時点においては「今はそんなことを言う時じゃない」と非難されたが、事故が起きたタイミ
ングで批判せずしていったいいつ批判するんだと思ったものだ。その意見は今も変わらないし、事故についても一般に
言われる「福島原発事故」という呼称ではなく、ましてや「フクイチ」なる符丁めいた略称でもなく、「東電原発事故」と表記
することにしている。東京電力が引き起こした犯罪だという意味を込めているのである。 


だが、その一方で火山学者・早川由紀夫の福島県民に対する暴言を批判できない一部の「脱原発」派に対して「何のた
めの『脱原発』か」と感じるようになってきている。

何かが似ている。そう、「政権交代」を求めた当時の世論と同じだ。「手段」であるはずの政権交代が「目的」と化し、当
時の野党第一党の指導者・小沢一郎を信奉する「小沢信者」と呼ばれる人たちが出現した。

現在、早川由紀夫を支持する人間と「小沢信者」はかなりの部分がオーバーラップする。誤解を恐れずにいえば、「脱
原発」運動は、彼らを十分に批判できていないという一点においてだけでも、かなりの程度危機的な状況にある。

それを尻目に、野田(「野ダメ」)政権やマスコミは「原発再稼働」に向けて必死だ。昨日(3月12日)の東京新聞記事(下
記URL)から引用する。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012031202000027.html

「原発再稼働 先頭に立つ」 首相、自ら地元説得意向

野田佳彦首相は十一日、東日本大震災から一年を受けて首相官邸で記者会見し、定期検査中の原発再稼働に
関する地元への対応について「政府を挙げて説明し、理解を得る。私も先頭に立たなければならない」と述べ、再
稼働を妥当と判断した場合、自ら地元の説得に乗り出す意向を表明した。

首相は、再稼働を判断する手順について、まずは自身と藤村修官房長官、枝野幸男経済産業相、細野豪志原発
事故担当相の四人が国の原子力安全委員会による安全評価(ストレステスト)の一次評価の妥当性を確認すると
説明。「(原発再稼働の)安全性と地元の理解をどう進めるかを確認する」と述べた。 


政府は首相らが一次評価の妥当性を確認した後、地元の同意を得る方針を藤村氏が明らかにしている。関西電
力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)については、原子力安全委による一次評価の審査が大詰めを迎えてい
る。

(東京新聞 2012年3月12日 朝刊)

最近の野田首相は、原発再稼働と消費税増税しか頭にないように見える。この2件さえ実現できればいつ辞任しても悔
いはないとばかり思いつめているようにも見える。当然次の総選挙では民主党は壊滅的打撃を受けると思われるが、
どうせ政界再編があるからそんなことはどうでも良いと思っているに違いない。「どうせ政界再編を仕掛けるから」と考え
ているのは小沢一郎も同様だろう。野田の場合は自民党との合流、小沢一郎の場合は野田首相や谷垣自民党総裁ら
に不満を抱く勢力との糾合をもくろんでいるものと思われるが、いずれも新自由主義勢力であり、私のとうてい支持でき
るところではない。

少し脱線するが、それならお前はどういう政権を望むのかと聞かれた場合は、「政治改革」によって保守二大政党制を
でっち上げられてしまった現状、望ましい政権など思い浮かばないけれど、あえて挙げれば加藤紘一あたりを首班とす
る内閣を「つなぎ」で作ることだろうか。民主党や自民党の政治家の大半が新自由主義派になってしまった現状、他に
思い浮かばない。加藤紘一には支持できない点が多々あるのだが、それでも「他の保守政治家たちよりはまだマシ」と
言わざるを得ないのだ。同じ「保守本流」のはずの谷垣禎一さえ、「新保守」から強い悪影響を受けている。ましてや新
自由主義色の強い「野ダメ」だの小沢一郎だのは論外だ。後者が橋下徹にすり寄る姿は「醜悪」の一語に尽きる。

話を民主党政権の「原発再稼働」路線に戻すと、実は原発再稼働とは民主党と国民新党の連立与党の政治家たちが
菅直人政権時代からやりたくてやりたくてたまらなかったことだ。10日付毎日新聞記事(下記URL)を以下引用する。
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20120310ddm002040056000c.html

東日本大震災:議事概要公表 閣僚次々「原発再稼働を」 菅前首相方針よそに--昨年7月

政府は9日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の対応に関し、原子力災害対策本部や緊急災害対策
本部など7会議の議事概要などを順次公表した。政府は緊迫した状況で多忙だったことなどを理由に、震災関
連15会議のうち10会議で議事録を作成していなかったが、未作成への批判を受け、会議出席者のメモや聞き
取りをもとに概要を作成した。電力需給に関する検討会合の議事概要からは、菅直人首相(当時)の「脱原発依
存」方針をよそに、複数の閣僚が原発再稼働を次々に訴えるさまが明らかになった。

関西電力管内の10%節電要請を決めた昨年7月20日の会合では、大畠章宏国土交通相(当時)が「原発が
(定期検査入りで)次々と停止していく状況だ。政治の責任としてこれでよいのか」と指摘。「このままでは電力
会社も弱っていく。つらいとは思うが、政府としての方針を示すべきだ」と、原発再稼働を暗に求めた。

自見庄三郎金融担当相(同)は「どうすれば原発が再稼働できるのか。ビシビシと道筋をつけていただきたい。
泥をかぶってでもやる話だ」と力説。九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働を菅首相に止められた海江
田万里経済産業相(同)は、自見氏の発言を受け「ありがたいお言葉」と述べた。菅氏はこの会合には出席して
いなかった。
(以下略)

(毎日新聞 2012年3月10日 東京朝刊)

日立製作所出身のエンジニアで原子炉の設計にも携わっていたという大畠章宏。2006年に当時の民主党代表・小沢
一郎に民主党の原発政策の転換を働きかけた人間だ。小沢はこの時には大畠の意見を入れなかったが、翌年民主
党の政策をそれまでの「慎重な原発推進」から「積極的な原発推進」へと転換させた。自見庄三郎は金融担当相とし
て証券優遇税制の延長に関して財務相の野田佳彦と渡り合い、優遇税制の延長を勝ち取った男。要するに新自由
主義者だ。そして、海江田万里は言わずと知れた大の原発推進派。昨年菅直人に泣かされ、民主党代表選では小
沢一郎に担がれた。大畠章宏、自見庄三郎、海江田万里、ついでに小沢一郎といった「原発推進派」の名前をよく覚
えておきたいものだ。

野田佳彦が原発再稼働に執念を燃やすのにはこういう流れもある。そもそも野田政権の成り立ち自体、「前原誠司
の民主党代表・総理大臣は断じて容認できないけれども、野田佳彦ならどうに容認してやる」との小沢一郎の意向が
ある程度反映されていた。ある「小沢信者」は昨秋の野田政権成立を「菅、岡田、仙谷が閣外に去った『秋風爽やか
内閣』だ、きっと『国民の生活が第一』の政治をやってくれるに違いない」と絶賛していた。しかし現実には野田佳彦も
小沢一郎も「同じ穴の狢」だった。私は菅直人については、東電原発時の対応で東電の撤退を阻止したこと、「脱原
発」を打ち出そうとしたこと(すぐに「脱原発依存」へと後退した)、海江田万里と経産省がたくらんだ玄海原発再稼働
を阻止したこと、以上3件の原発関連のアクションを除いては全く評価できない総理大臣だったと思っているが、それ
らの件が気に入らなくてたまらない大新聞の「政治部脳」の記者たちによって民間事故調の報告書がずいぶんねじ
曲げて報じられたようだ。特に読売と朝日がひどかったと聞くが、読売はともかく「脱原発」が社論のはずの朝日の政
治部記者たちは一体何をやっているのだろうか。

原発問題に関しては政治は「再稼働」へと一直線だが、震災からの復興に関しても政治の無作為が目立った一年だ
った。その最悪の例は、またしても東日本大震災発生と同時に「雲隠れ」していた小沢一郎だが、論外な小沢はさて
おくにしても、こういう大災害の時こそ税金を投入して当然なのに、それを渋った「財政再建厨」の責任はきわめて
重いと言わざるを得ない。そしてこの流れの果てに「自己責任」「なんでも(トンデモ)民営化」「しばき主義」の橋下徹
が大人気を博するというお寒い現状が生じている。

東日本大震災と東電原発事故から1年が経ち、日本は復活するどころかますますひどい泥沼にはまっているように
見える今日この頃、気分は暗く沈む一方である。
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東本高志@大分
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