[CML 015547] 【YYNews】■ 長尾剛著[話し言葉で読める西郷南洲翁遺訓]より[五:子孫に残すもの]

山崎康彦 yampr7 at mx3.alpha-web.ne.jp
2012年 3月 7日 (水) 20:51:11 JST


 杉並の山崎です

いつもお世話様です。

*■ 長尾剛著[話し言葉で読める西郷南洲翁遺訓]より[五:子孫に残すもの]*

西郷隆盛は[自分で自分を世に残す]ことをしたがらなかったために、著書を一
冊も残していません。[西郷南洲翁遺訓]は幕末の戊辰戦争で薩摩軍と戦った
庄内藩(言山形県)の元藩士たちが明治になって西郷隆盛との交流の中で彼が
語った言葉をまとめたものです。

西郷隆盛は決して多弁ではなくむしろ他人の話をよく聞く聞き手上手だと言わ
れていますので、[西郷南洲翁遺訓](岩波文庫)の原文本編四十一、追加分2
項目合計四十三項目は簡潔で短い文書になっています。

[話し言葉で読める西郷南洲翁遺訓]はノンフィクション作家長尾剛氏が西郷隆
盛の言葉に込められた心情を押し量らって、西郷の別の談話や様々なエピソー
ドをベースにして現代風の読み物としてリニューアルしたものです。

今日お届けする[西郷南洲翁遺訓][五:子孫に残すもの]の最後に出てくる言
葉[先生にとって、愛すべきは自分の身内に限らず、すべての人達なの です。
先生にとっては、私どもを含めたこの国の万民が”子孫”なのです。だから、血の
つながった者だけをエコヒイキするような真似はしないと、宣 言してくださっ
ている]は、宮沢賢治の言葉「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福
はあり得ない」(「農民芸術概論綱要」序論)と同じ事 を言っています。

*■ 長尾剛著[話し言葉で読める西郷南洲翁遺訓]より[五:子孫に残すもの]*

ある時、西郷先生は次のような七言絶句(七文字・四行の漢詩)を示されました。

[幾度か辛酸をを歴て、志 始めて堅し。
 丈夫 玉粋。甎全をはず。
  一家の遺事、人知るや否や。
  児孫の為に美田をか買わず」

この漢詩を直せば次のようになります。

[何度も何度も辛い目に遭って挫折を味わって、ひ地の志・心情とは、始めて硬
くなるのだ。挫折を味わっていない信条など、当てにならないのだ。

信念を持った本当の男とは、輝きを放つ玉となれるなら、そのまま砕けても本望
である。何の輝きもない瓦となって、ただ朽ちるまで生き永らえるよう な人生
は、むしろ恥とする。

私は、我が家に残しておくつもりの遺訓がある。それを、皆さんに知ってくれて
いるだろうか。
それは、子孫のために美田を買わず。つまり、自分の血のつながった子孫だけに
財産を残すような真似はしない、ということである]

私どもは、いたく感激いたしました。
かつて薩摩藩時代、藩主の換気に触れて島流しの憂き目にまで遭った先生が、こ
んにちまでどれほどのご苦労をなさってきたか、私どもさえ知っていま す。先
生は、それだけの苦労があったればこそ、この国を守ろうという信念が強く育ま
れたのだと、おっしゃっているのです。

だが弱い人間ならば、初めこそ勇ましく信念を口にしていながら、ちょっとした
挫折や苦労に遭えばたちまちに信念を捨て、世間の流れに流されてしま う。
先生は、そんな弱い者を[瓦]にたとえられた。そして[瓦]は長生きできる
が、そんな人生に何の意味があろうと、諭されているのです。

そして、先生は、自分の子孫のために財産を残すましと、誓っておられます。
先生にとって、愛すべきは自分の身内に限らず、すべての人達なのです。先生に
とっては、私どもを含めたこの国の万民が”子孫”なのです。だから、 血のつな
がった者だけをエコヒイキするような真似はしないと、宣言してくださっている。

先生は身内だけのためではない”万民のための美田”を残そうと、決意してくだ
さっているのです。

西郷先生とは、何と大きな力でありましょうか。

(転載終わり)





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