[CML 015531] 二子玉川ライズが空室になる理由

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2012年 3月 6日 (火) 23:31:12 JST


二子玉川ライズのオフィスビルでは空室が発生すると予想される。「二子玉川ライズ オフィス」ではデジタルコンテンツ問題によって入居していたNPO法人ディジタル・コンテンツ・インスティテュートが撤退した。新築マンション「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」も竣工から二年になろうとするが、完売していない。二子玉川ライズが空室になると予想される理由を以下に説明する。 

第一に景気の低迷である。日本社会や経済を取り巻く環境は大きく変化している。人口減少による急激なマーケット縮小など、日本の将来を左右する大課題が山積みである。東日本大震災は日本に甚大な影響を及ぼした。開発優先の以前の状況に戻ることは不可能である。バブルの遺物ともいうべき従来型の二子玉川ライズ2期事業は大きな不安要因である。 

第二に供給過剰である。都心部では新規ビル建設が目白押しである。都心部のオフィスビル大量供給は賃料低下や空室率の上昇をもたらす。現実に新築にもかかわらずテナントが埋まらないビルも出ている。 

供給過剰に苦しむ賃貸オフィス市場の救世主は中国などの新興国の企業である。しかし、世界に目を転じても状況は不透明である。新興国の台頭や政情不安、欧州金融不安など、企業経営の先行きが見えない。中国では不動産バブル崩壊のリスクが指摘され、インド経済も急減速を見せ始めるなど不安要因が山積みである。二子玉川ライズの時代遅れが際立つ。 

第三に都心回帰である。丸の内や大手町など東京駅周辺で大規模オフィスビルの開業が予定され、需要も集中する。都心の軸が新宿や渋谷などの西側から東側に戻る勢いである。都心部ならば賃料さえ下げれば埋められる可能性は十分にあるが、二子玉川ライズのような郊外地域のオフィスビルには大打撃となる。 

第四にオフィス集約による効率化である。企業には広いフロアの都心のオフィスビルに移転し、分散していた拠点やグループ会社を集約する動きがある。二子玉川東第二地区第一種市街地再開発は二子玉川ライズについて都心のサブ型のオフィスとしての需要があると説明し、失笑を買った。災害対策のための分散ならば関西くらいの距離がなければ意味がないためである(林田力「二子玉川再開発説明会で住民の懸念続出=東京・世田谷」PJニュース2011年5月16日)。地震の少ない韓国が災害対策拠点として注目されているほどである。 

反対に首都圏のオフィスは都心部に集約させることが東日本大震災の教訓である。東日本大震災では交通網の脆弱性が再確認された。また、その後の計画停電では都心部が優遇された。首都圏の複数の拠点を持つよりも都心部に集約することが災害対策になる。 

二子玉川ライズを推進する東急不動産や東急電鉄は市場のニーズを汲み切れていない。既に大手不動産会社には都心部一等地の再開発や既存物件の稼働率向上に専念する動きが出ている。周辺部の再開発は業績の足枷になるためである。東京建物は2011年12月12日に東京都中野区での再開発中の物件などで大幅な評価損が発生し、約650億円の特別損失を計上すると発表した(「東京建物、過去最大720億円の赤字転落へ 畑中社長は引責辞任」2011年12月13日)。 

ビジネス誌では「需要の低迷が続き、オフィスの供給過剰に拍車がかかれば、淘汰される不動産会社も出てくる」と指摘されている(猪澤顕明「ビル新築ラッシュで広がる2次空室の波紋」週刊東洋経済2012年2月18日号)。この文章からは二子玉川ライズに固執する東急電鉄や東急不動産が真っ先に連想される。 

バブル経済期のような東急グループの開発優先姿勢は住民と消費者の信頼を損ねている。ビル風の風害防止策をめぐる二子玉川東地区市街地再開発組合の最近の動きを見ても、東急不動産だまし売り裁判を教訓としているのか疑問が生じる。東急グループは不利益事実を隠して新築マンションをだまし売りし、売買代金返還を余儀なくされた東急不動産だまし売り裁判から学習しなければならない。 

二子玉川ライズのような硬直化した事業にメスを入れるためには、政治による方針転換も必要である。民主主義社会である以上、民意が変われば事業の必要性が変わることは当然である。「大型開発の見直し」を掲げた保坂展人氏が世田谷区長に当選した以上、二子玉川ライズも住民無視の開発優先姿勢を改めなければならない。
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林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』
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