[CML 015523] 週刊文春の「郡山4歳児と7歳児に 「甲状腺がん」の疑い!」という記事について~Re: ベラルーシ:チェルノブイリ事故後1年で甲状腺がんが増加

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2012年 3月 6日 (火) 21:25:21 JST


ここでは「ベラルーシ:チェルノブイリ事故後1年で甲状腺がんが増加」という問題と「郡山4歳児と7歳児に 「甲状腺がん」の
疑い!」という週刊文春記事とは切り離してこの問題についての感想を述べます。

「ベラルーシ:チェルノブイリ事故後1年で甲状腺がんが増加」という「ざまあみやがれい!」ブログ主宰者の問題提起につい
てはおそらく私もそのとおりだろう、と思っています。

ただし、次のような注をつけておきたいと思います。

「チェルノブイリからの放射能汚染によりスウェーデンでガンが増えている?」という問題をはじめに問題提起したトンデル博
士の日本国内での講演の通訳をされた今中哲二さん(京大原子炉実験所助教)はそのトンデル博士の論文について次のよ
うな見解を述べています。

   「疫学調査とは、生身の人間集団をいくつかに分け、それぞれの集団の観察結果を比較して、ある要因(ここではセシ
   ウム137 汚染レベル)とその影響(ガン発生)との関係を明らかにしようとする試みのことである。しかしながら、ガンを
   発生させる要因には、放射能汚染だけでなく、喫煙、食習慣などいろいろあってそれらが複雑に絡みあっている。した
   がって、疫学調査結果に統計的に有意な「相関関係」があっても、それが「因果関係」であるとは限らない。トンデルら
   も、自分たちの調査結果が「見せかけ因子(交絡因子)」によるものかも知れないと検討している。(略)結局、チェルノ
   ブイリ事故による放射能汚染レベルとガン発生率の増加に有意な関係が認められ、その原因として第1に考えられる
   のが、汚染にともなう低レベル放射線被曝である、というのがトンデル論文の結論である。(略)トンデル本人も筆者も、
   チェルノブイリからの放射能汚染によってスウェーデンでガンが増えていることが「証明された」とは考えていない。それ
   が、本稿の表題に?が付いている由縁である。まどろっこしい言い方になるが同時に、スウェーデンでのガン増加の原
   因はチェルノブイリ事故による放射能汚染である、と考えるのが最も合理的な説明であると思っている。」
   http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No104/CNIC0602.pdf

上記の今中哲二さん通訳のトンデル講演を聴いたという市民社会フォーラムの岡林信一さんは、その講演を聴いた際に今
中さんから直接に「トンデル博士の疫学調査の結果は、チェルノブイリ原発事故とがん罹患の増加についての「相関関係」
があるかもしれないことを示しているにすぎず、まして疫学調査では「因果関係」は立証できない、その点を示さずに、あた
かも原発事故によるセシウム降下で放射線量が増加したことで、がん発生が増大したかのように」いうのは科学的な態度
とはいえない、という趣旨の話も聴かれたそうです。今中さんのいわれるこうした視点を抜きにしていたずらに原発事故と
甲状腺がんの増加を関連づける論は、いたずらに放射能危機をあおるという意味ばかりではなく、原発事故被災者の不
安を倍乗させるだけという意味においても有害な論といわなければならないだろう、と私は思っています。このことは強く指
摘しておきたいと思います。

次に「郡山4歳児と7歳児に 「甲状腺がん」の疑い!」という週刊文春記事について。この文春記事については次のような
批判もあります。

■週刊文春に「言ってないこと書かれている」 「甲状腺がん疑い」記事に医師が反論(J-CASTニュース 2012/2/24)
http://www.j-cast.com/s/2012/02/24123372.html?p=all

同記事中の

   「エコー検査をした「さっぽろ厚別通内科」の杉澤憲医師と弁護士が12年2月23日夕方に会見し、記事の内容に反
   論した。杉澤医師によると、甲状腺の検査を受けた18歳以下の人は170人おり、そのうち「5.1ミリ以上の結節や
   20.1ミリ以上の嚢胞」が確認され「B判定」だとされた人が4人いたが、精密検査の結果、いずれも良性だと判定さ
   れた。「甲状腺の状態等から判断して直ちに二次検査を要する」とされる「C判定」の人はいなかった。」
   「杉澤医師が会見で配布した正誤表には、「明らかな事実誤認」6点が指摘されている。中でも、記事中の、「札幌で
   甲状腺エコー検査を実施した内科医が言う。『しこりのあった7歳女児と4歳男児の2人に加え、19歳以上の「おとな」
   9人の計11人に、甲状腺がんの疑いがありました。うち成人女性1人は既に甲状腺がんが確定、切除手術を行うこ
   とも決まっています。いくら「5歳以下で5ミリ以上の結節ができることはない」と言われても、今回検査をして、これが
   出たことは事実です』」/という記述について、/「そのような話はしておりません」/と全否定している。「甲状腺がん
   の疑い」だとされる、記事中の大きな根拠が否定された形だ。」

という指摘は特に重要です。

文春記事には、「超音波の画像を診た医師は(略)、(女児の母親に対して、)『児童にはほとんどないことですが、がん細
胞に近い。二次検査が必要です』」と発言したという記述や、「なおも坂本さんを不安にさせるのは、エコー診断後の二次
検査の結果だ」、「(二次検査で)診てもらった北海道大学の先生も、今までに十四歳未満でがんになった子どもを二回し
か診たことがなく」など「甲状腺がん」の疑い!」という記事の根拠となっている二次検査をしたことを前提とする記述が3
か所見られますが、超音波の画像を診た杉澤医師は「『直ちに二次検査を要する』とされる『C判定』の人はいなかった」
と二次検査の必要性自体を否定しています。

さらに下記の「おしどりマコ氏・『週間文春』編集部緊急記者会見」での本間記者の質問で明らかになったことですが、「二
次検査をしたはずの北大の(医師の)コメント」はなく、同記事中にあるのはまったく二次検査に関与していない「全国の
甲状腺専門医」の一般論だけです。これでは二次検査で「甲状腺がん」の疑い!」が出た、という根拠にはまったくなりえ
ません。二次検査をほんとうにしたのかどうかさえ疑わしいのです。
http://blogos.com/article/33158/?axis=&p=2

今回の週刊文春記事は<誤報>というほかないのです。「ざまあみやがれい!」ブログ主宰者の同記事執筆のスタンス
も誤っているといわなければなりません。


東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/

From: OHTA, Mitsumasa
Sent: Tuesday, March 06, 2012 3:15 PM
To: cml at list.jca.apc.org
Subject: [CML 015520] ベラルーシ:チェルノブイリ事故後1年で甲状腺がんが増加

> ベラルーシにおける甲状腺癌診断症例数を東電がグラフ化してサイトで紹介している。出典は国連科学委員会2000年報告。

> それによると、甲状腺がんは事故後1年で既に増加を始めている。

> 山下俊一・福島県立医大副学長は福島の子どもたちに対する甲状腺エコー調査を3年もかけて一巡させ、しかもその間に異常が見つかっても再調査をさせないようにしているが、とんでもない。

> TEPCO : 放射線の話 | 放射線コーナーQ&A その他 Q2
> http://www.tepco.co.jp/nuclear/hige/qa/thi/gqa/qa-g2-j.html
> 文春おしどりマコ会見 誤報を騒ぐ前に確認すべき「チェルノブイリの甲状腺癌」1年後から増加グラフ:ざまあみやがれい!
> http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65792144.html

> 太田光征 



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