[CML 014495] 『なぜ米国の新聞は対イラン戦争に関するブレジンスキーの警告に沈黙するのか?』WSWSの2007年の記事

Yasuaki Matsumoto y_matsu29 at ybb.ne.jp
2012年 1月 21日 (土) 21:08:51 JST


みなさまへ   (BCCにて)松元

イスラエル、米国による「対イラン戦」の報道がくすぶり続けています。先回のペトラスの警告につづきバルセロナの童子丸さんが2007年のブレジンスキーの記事を紹介してくれました。

地球を覆う米軍の2003年5月の「近未来対イラン作戦(Theater 
 Iran Near Term:TIRANNT)」の開始以来、イランに対する直接的な軍事攻撃をふくむ軍事拡大シナリオが目論まれてきましたが、内外の報道では昨年から急速に「対イラン戦」報道が再燃してきました。

2005年から、そしてガザ攻撃の最中2009年1月にも、パレスチナなどでは使われる必要のないバンカーバスターなど超重量級兵器が米国からイスラエルに持ち込まれ備蓄されています。無謀な戦争が開始されないことを祈るばかりです。

======以下、転送======

新たに私のサイトにアップしたものですが、これは5年前の記事です。短い記事ですが、いま再び取り上げる価値があると思いますので、その翻訳をお知らせします。
日本ではあまりにもイランを巡る情勢に対する関心が小さいように思いますが、この戦争は、起これば、本当に核戦争になる可能性をはらんでいます。欲と狂気と嘘が支配する世の中です。

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http://doujibar.ganriki.net/Today%27s%20World%20of%20Fraud%20&%20Myth/Warnings_of_war_against_Iran_by_Brezinski.html

いま再び:World Socialist Web Site2007年の記事
『なぜ米国の新聞は対イラン戦争に関するブレジンスキーの警告に沈黙するのか?』
(写真:ズビグニュー・ブレジンスキー)
http://doujibar.ganriki.net/Today%27s%20World%20of%20Fraud%20&%20Myth/brzezinski-z.jpg

 ズビグニュー・ブレジンスキーはジミー・カーター政権で国家安全保障顧問を務めた人物だが、ヘンリー・キッシンジャーと並んで現代米国政治に最も大きな影響を与え続ける一人である。その怪物のような容貌と共に、ユーラシア大陸の「チェス盤」に一つ一つ駒を進める緻密で冷厳な知性は、20世紀後半を生きた大勢の人々の印象に刻み込まれているだろう。


 そのブレジンスキーが、ブッシュ政権が核弾頭を用いたイラン攻撃に急速に歩みを進めつつあった2007年1月に米国上院外交問題委員会で、イラン攻撃のきっかけとなる「事件」を画策する米国政府に対して厳しい警告を行った。その警告後、ブッシュ政権の好戦的な動きが沈静化し、いったんはイラン攻撃計画が押しとどめられた。しかしその戦争熱は「高止まり」の状態でオバマ政権に引き継がれていたのである。


 当時ほとんどの大手メディアがこの上院外交委員会の様子を報道せずに黙殺したため、彼の警告について知る人は今に至るまでほとんどいないのだが、World Socialist
Web Site(WSWS:世界社会主義者ウエッブサイト)によって、ブレジンスキーの発言とそれに対するメディアの反応ぶりが記録されている。
     http://www.wsws.org/articles/2007/feb2007/brze-f03.shtml
     Why is the US press silent on Brzezinski’s
warnings of war against Iran?
 この記事は次の記事の続編であり、ブレジンスキーの上院での証言はこちらにより詳しく書かれている。
     http://www.wsws.org/articles/2007/feb2007/brze-f02.shtml
     A political bombshell from Zbigniew
Brzezinski


 これは、米国・英国とイスラエルがイランへの攻撃に接近しつつある現在、非常に重要な意味を持つを思われるので、私がその当時阿修羅サイトに投稿した翻訳を少し訂正して取り上げることにしたい。


 あのお笑いものの「ノーベル平和賞」が功を奏したのかどうか知らないが、オバマ政権前半には対シリア・イラン戦争への熱気が盛り上がることはなかった。しかし後半に入って2012年の大統領選が近づくに伴い、米国とNATOと西側メディアは、ペンタゴンが21世紀初頭に攻撃目標の一つとして掲げたリビアの解体と植民地化を実現させ、つづいてシリアとイランに向けてその毒牙をむき出しつつある。イラン開戦の決定は、再選を狙うオバマに対する「踏み絵」となるだろう。2011年にメディアが誉めそやした一連の「アラブの春」もまたこの流れの中で初めてその意味が分かる。


 さて、2007年にブレジンスキーは「イランとの軍事衝突のためのまことしやかなシナリオ」を次のように述べている。
 「イラクでの失敗がその基点となる。続いてそれをイランのせいにして非難し、次に何らかの挑発行為をイラクで行うかまたは米国内で起こるテロ活動をイランの仕業とする。そしてついにはイランに対して、いわゆる『防衛的』な軍事行動を起こすことになる・・・。」


 もちろん当時はイラクでの米軍による破壊と殺人が膨大に行われており、同時に、イラク内でのいわゆる「テロ」にイラン製の武器が使われているなどといったデマが盛んに流されその「証拠写真」(その後全く姿を消した)がまことしやかに発表されていた。そしてこの米国上院で行われたブレジンスキーの警告後に、そういったイランへの挑発行為は収まっていった。しかしその《「核開発」への非難と制裁→挑発→事件でっち上げ→対イラン攻撃》の流れは、ワシントン・ロンドン・テルアビブの重要な選択肢として残り続けているように思える。


 仮にオバマがそれを拒めば、戦争を義務付けられた共和党候補が大統領選に勝利して、戦争の可能性は来年になるかもしれない。だが悪くすれば夏の以前に米国内で大型テロが起こり(オバマ自身がその標的となることもありうる)、イランの仕業として戦争が開始される可能性もある。


 しかし昨今のイラン周辺での動きを見ると、もう一つ別のシナリオが進行中なのかもしれない。それは《「核開発」への非難と制裁→イラン国内とシーア派への攻撃と挑発→イランからの先制攻撃→イランに対する「反撃」》という、ちょうど半世紀以上前の「パールハーバー型」誘い込みのシナリオである。イラクから米軍戦闘部隊が引き揚げて以来イラクやパキスタンで続発するシーア派への爆弾攻撃、イラン国内での核施設の爆発や核科学者の暗殺などは、英米とイスラエルによるテロ攻撃の可能性が高いが、そうだとすればイランを追い込み挑発してイランに先に引き金を引かせるためのものだろう。


 この点について、ミシェル・チョスドフスキーは次の文章で強く警告を発している。
    http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=28652
    Beating the Drums of War: Provoking Iran into
"Firing the First Shot"?   by Michel Chossudovsky


 なお、ブレジンスキーは、米国内で起こるテロ活動をイランのせいにして『防衛的』な軍事行動を起こす可能性を語ったのだが、しかしこれは同時に、『防衛的』なアフガニスタン戦争および「対テロ戦争」の引き金となった9・11事件の性格をも「そのようなものだ」と示唆していたようにも思える。

(2012年1月20日 バルセロナにて 童子丸開)

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■なぜ米国の新聞は対イラン戦争に関するブレジンスキーの警告に沈黙するのか?
バリー・グレイ著 ワシントンDCにて  2007年2月3日    【※ 強調は原文に基づいたもの:訳者】

 大手の新聞とほとんどの放送局は、木曜日の上院外交問題委員会におけるズビグニュー・ブレジンスキー元国家政治顧問の驚くべき証言を、伝えることすらしなかった。
 ジミー・カーター大統領の国家安全保障顧問であったブレジンスキーは、米国の外交指導部の中で最も優れた者の一人である。彼はイラクでの戦争をこき下ろす批判を行い、ブッシュ政権の政策がイランとの軍事衝突を避けがたく導きつつあるが、それは米国の帝国主義に対して破滅的な結果をもたらすであろうと警告した。


 ブレジンスキーが示唆する最も明らかで不穏なものは、ブッシュ政権がイランへの軍事攻撃を正当化する言い訳となる事件を捏造するかもしれないということであった。ブレジンスキーが「イランとの軍事衝突のためのまことしやかなシナリオ」と呼んでいるのだが、彼は次のような一連の事柄を採り上げた。「イラクでの失敗がその基点となる。続いてそれをイランのせいにして非難し、次に何らかの挑発行為をイラクで行うかまたは米国内で起こるテロ活動をイランの仕業とする。そしてついにはイランに対して、いわゆる『防衛的』な軍事行動を起こすことになる・・・。」


 こうしてブレジンスキーは米軍によるイラン攻撃が、あたかもイランの挑発とされるものへの防衛的な反応であるかのように紹介されつつ、極めて攻撃的な行動となるであろうという見解を述べた。そして、さほど明白な言い方ではなかったにせよ、ホワイトハウスが戦争への口実を与える米国内でのテロ攻撃を捏造する、あるいはわざとやらせる能力があることを指し示しながら、その言葉を結んだ。


 このような証言が公開の議会の場で、米国の外交政策指導部で何十年もの経験を積みしかも軍事や諜報の機関と最も緊密なつながりを持つ者の口から聞こえるというのは、単に報道の価値があるばかりではなく最も重大で深刻な情報であることは自明の理である。客観的で意識の高い新聞やニュース・チャンネルならば必ず、このような展開を公衆に伝達することを義務であると見なすはずなのだ。


 ところがである。ニューヨーク・タイムズもワシントン・ポストも、金曜日の版でブレジンスキーの証言を記事の片隅にすら掲載しなかったのだ。USAトゥデイやウォールストリート・ジャーナルにも無かった。もちろんだが、これらの新聞は全部、ワシントンの閣僚のお歴々や議会の公聴会ではおなじみの連中、特にイラクでの戦争についての派手な政治的質問をやらかすような連中については記事を載せている。


 彼らがこの話をもみつぶす決定をしたことについては説明するのも馬鹿馬鹿しいことだ。木曜日のワシントン・ポストは、その前日に上院委員会の前に姿を表したヘンリー・キッシンジャーの大きな2段のコラムと写真を掲載した。このリチャード・ニクソンの下で国務長官を務めた男は、ブッシュ政権の戦争政策に対する一般的な支持を証言したのである。


 さらにワシントン・ポストのウエッブ版は、アソシエイテッド・プレスのブレジンスキーに関する記事を掲載した。その記事は、イランとの戦争に向かう道のブレジンスキーによる注目すべきシナリオに少しだが明白な変化をつけていた。そしてそれは、ブッシュ政権に対するブレジンスキーの批判の重要性と緊急性を覆い隠す効果を持つものだった。それは戦争正当化とすべき米国内のテロ攻撃を示唆する部分を省略したものだったのだ。そしてまた、イランに対する「防衛的な」戦争に関するブレジンスキーの疑問符を取り除いたものであった。


 World Socialist Web siteは金曜日にニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォールストリート・ジャーナル、USAトゥデイに電話をかけて、このブレジンスキー証言の記事を書かなかったことに対する説明を求めた。どの新聞も我々の質問には答えなかったのだ。
 TVニュース放映に関しては、PBSの「News Hour with
Jim Lehrer」が上院委員会でブレジンスキーが戦争のシナリオを整理して説明する場面のクリップを全く解説抜きで流した。「NBC Nightly News」はその話 
自体を完全に無視した。


 このイラク戦争、ブッシュ政権の謀略的なやり口、そして中東での戦争拡大策謀に対する厳しい批判に対する抑圧は、米国マスメディアの腐敗と反動性をまた一つ見せ付けるものである。それは、支配者側のメディアがもう一度、イラクへ侵略に先立ってやったのと同様に、政府の戦争プロパガンダと嘘の宣伝係として仕える準備をしていることを示しているのだ。


【翻訳終り】





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