[CML 014161] 2012年の年のはじめに(2)『丸山眞男手帖』に収められている丸山の社会主義に関する認識(浅井基文さんの抜き書きから)

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2012年 1月 8日 (日) 20:53:20 JST


というのは、第一、社会保障というのは資本の原理からは出てこないわけです。儲けることを動機とするという生産の考
えから、どうして社会保障をする必要があるのですか。あれは全部、労働者階級の運動を抑えるという動機で出てきた。
資本家が、ブルジョアジーが、善意で社会保障をやったのでも何でもないんです。社会保障政策を-揺りかごから墓場
まで-先進資本主義国でやっている。それは余裕があるということもありますけれど、実は社会主義から学んでいる。
社会主義になると困るから、ということなんですね。‥それでもって資本主義が問題ないかというと、やはり利潤原理に
立っている以上、生産というのは、要するに利潤のあるところ、儲かれば生産する。いまでも不必要な生産はものすごく
多いんです、どこの国でも。社会的に必要がなのに生産されるものが、ものすごく多い。購買力さえあれば、生産される
わけです。資本主義の受給供給関係-需要というのは社会的必要ではないのです、購買力のある需要なのです。これ
を持っているものの需要なんです。…

世界的に見たら資本主義ですから、何十万人の幼児が一方では餓死している。他方では、余剰米を焼いているわけで
す。それは資本主義原理だからです。こんな矛盾はないじゃないですか。どうしてその余った米を飢えている子供にや
れないのですか。これは資本主義だから、やれないんです。こういう体制がどうしていいと言えますか。僕は根本的な矛
盾をはらんでいると思いますね。‥原理的に考えてご覧なさい。利潤原理と市場原理だけで、OKなのか。」
(手帖33 「中国人留学生の質問に答える(下)」1989.6.26.)

「社会主義といわれると、広い意味では賛成でしたね。それは今でもそうです。だから、このごろ腹が立ってしょうがない、
社会主義崩壊とかいわれると。「どこが資本主義万万歳なのか」ってね‥。日本というのはひどいね、極端で。二重三重
のおかしさですね。第一にソ連的共産主義だけが社会主義じゃないということ。第二にマルクス・レーニン主義は社会主
義思想のうちの一つだということ、それからたとえマルクス・レーニン主義が正しいとしても、それを基準にしてソ連の現
実を批判できるわけでしょ、それもしていない。ソ連や東欧の現実が崩壊したことが、即、マルクス・レーニン主義全部が
ダメになったということ、それから今度はそれとも違う社会主義まで全部ダメになったことっていう短絡ぶり、ひどいな。日
本だけですよ、こんなの。」
(集 「同人結成のころのこぼれ話」1992.6.)

浅井さんは上記の丸山のことばを抜き書きした後、次のように結びます。

「丸山の社会主義(及び資本主義)に関する認識は、私が『ヒロシマと広島』で示した認識と共通するものです。今年のコ
ラムでは、人類史の方向性を考えるという視点に立って、この問題についても注意を向けていきたいと思います。やはり、
今の私たちに必要なことは、様々な問題について批判するだけではなく、日本、世界そして人類にとっての確かな進路を
見極めることにあると思うからです。人類史の方向性について確信を持ちながら、この1年を希望を失わずに過ごしてい
きたいと思います。」


東本高志@大分
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