[CML 015264] Re: 池田香代子さんと前田朗さんの「君」論について

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2012年 2月 27日 (月) 12:32:35 JST


池田さん wrote:
「君」は、たしかに現在は目下への呼びかけのニュアンスがありますが、古くは敬意をこめた横並びの関係で使われました(「近藤君」「土方君」とかね)。
国会での「君」づけはこれを引きずっているのであって、議長や委員長が権威を確認するためではありません。
しかし、明治維新由来の用例に従えば、「君」づけに女性は排除されていた。

前田さん wrote:
大日本帝国議会(貴族院および衆議院)は天皇の名によって、天皇の権威のもと、
股肱の民であり臣下である議員たちが天皇を翼賛するために、開催された天皇の
議会です。議長は、天皇の代理として、議員を「君」づけしたのではないのです
か?「確認」されるべき「権威」は天皇の権威だったのではないのですか?

上記の点については池田さんのご認識の方が事実に則しているように思います。

第1。国会での「君」の呼称は、1890年(明治23年)の第一回帝国議会からはじまったもので、当時、アメリカ議会では
議員の名前を呼ぶとき「ミスター~」と敬称をつけることになっていたものを和訳して「~君」としたものが始まりだった、
という指摘があります。
http://www.tisen.jp/tisenwiki/?%B9%F1%B2%F1

第2。「君」「僕」の呼称は江戸末期の長州発祥の呼び方で、当時、吉田松陰が上級武士や下級武士などの身分の差
を超えて同志はすべて対等であることを強調するために自分のことを「僕」と言い、同輩以下の相手を「君」と呼んでい
た呼び方が松陰門下生(高杉晋作、桂小五郎、伊藤博文など)や長州藩外の尊王攘夷の同志の間にも広がっていき、
さらには新撰組の同志間の呼び方にもなっていったという考証もあります(注)。そうした呼称が明治維新後の四民平
等の理念とともに当時国会開設運動を推し進めていた自由民権運動論者の間にも引き継がれ、そうした流れの中で
帝国議会における議員間の呼称のしかたにもなっていったのだろうと思われます。第1と第2は帝国議会における「君」
呼称の複合的な要素になっているように思います。

注:たとえば松陰が野山獄の獄中から9歳年下の門人高杉晋作にあてた手紙(安政6年)に「僕は君に負き父に負くの
人」というような字句が見られるようです。また、司馬遼太郎は「役人道について」という論文の中で、士分の桂小五郎
(木戸孝允)が元来足軽身分とも言いがたかった時期の伊藤俊輔(伊藤博文)に対して「君と僕とは対等である」として
上下の礼をとる必要がないと言ったという挿話を紹介しているようです。
http://townweb.e-okayamacity.jp/tanakanoda/kyoudo/home34.pdf
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1374148663

第3。「君」は「君主」の君であり、儒教にいう「君子」の君でもあります。「皇国史観の大家平泉澄は『君とは君主、天皇
陛下ただ一人である』として学生を決して『くん』『きみ』と呼ばず「さん」付けで呼んでいた」(wikipedia「敬称」)という話
もあります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%AC%E7%A7%B0

以上から、前田さんの「(帝国議会)議長は、天皇の代理として、議員を『君』づけしたのではないのですか?」という推
理は成立せず、池田さんのご認識の方が正鵠を射ているように思います。






東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/

-----Original Message----- 
From: maeda at zokei.ac.jp
Sent: Sunday, February 26, 2012 11:28 PM
To: 市民のML
Subject: [CML 015252] Re: フランス政府のマドモアゼル廃止を歓迎:林田力

前田 朗です。
2月26日

なんだか盛り上がってますね。

私はどっちでも構わないので、さして関心がないから茶々入れをしただけですが、
そんな投稿ならするなと萩谷くんに怒られるし、すり替えだと林田さんに叱られ
るし(苦笑)。

昨日は「原発を問う民衆法廷第1回公判」、今日は「文明と野蛮を超えて」出版
記念会で多忙でしたので、もうこの件では黙っていようと思っていましたが、下
記のような書き込みを見ると、黙ってはいられません。


>
> 「君」は、たしかに現在は目下への呼びかけのニュアンスがありますが、古く
は敬意をこめた横並びの関係で使われました(「近藤君」「土方君」とかね)。
> 国会での「君」づけはこれを引きずっているのであって、議長や委員長が権威
を確認するためではありません。
>

これはあんまりだと思います。

帝国議会における「君」づけが議長と議員の関係だなんて初めて聞きました。そ
んなことがありえるのですか?

大日本帝国議会(貴族院および衆議院)は天皇の名によって、天皇の権威のもと、
股肱の民であり臣下である議員たちが天皇を翼賛するために、開催された天皇の
議会です。議長は、天皇の代理として、議員を「君」づけしたのではないのです
か?「確認」されるべき「権威」は天皇の権威だったのではないのですか?

まあ、これ以上議論するつもりもないけど。







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