[CML 015245] Re: フランス政府のマドモアゼル廃止を歓迎:林田力

池田 香代子 0146945001 at jcom.home.ne.jp
2012年 2月 26日 (日) 15:29:38 JST


池田です。

議論をちゃんと追えていないかもしれませんが。

「君」は、たしかに現在は目下への呼びかけのニュアンスがありますが、古くは敬意をこめた横並びの関係で使われました(「近藤君」「土方君」とかね)。
国会での「君」づけはこれを引きずっているのであって、議長や委員長が権威を確認するためではありません。
しかし、明治維新由来の用例に従えば、「君」づけに女性は排除されていた。
学校などでは女性も「君」づけで呼び、呼ばれますが、あくまでも後世の拡大適用です。
そのまま拡大適用を定着させて性差による呼称をなくしていく、という方向も可能性としてはありかと思います。
しかし、土井たか子さんは異なる判断を下した、ということです。
つまり、「君」づけは本来の用法に従って男性間に限るものとし、もとから性差のない呼称「さん」を採用したのだ、と。
男性を「君」づけできない土井さんの言語感覚はけっこう古い(古いことが悪いと言っているのではありません)。
議長と議員の上下差を解消しようとしたのではありません。

ヨーロッパ語で女性のみ未婚既婚で呼称が変わるのは、父系相続が母系相続より強い社会だったからです(母系で相続される財産がなかったということではありません。限られていた)。
つまり、「この女はまだ他の男のものではない、自らの家族・部族の男の子どもを産ませ、そのうちの男子に財産を相続させることは可能だ」ということがはっきりしている必要があったのです。
(日本はこれに較べると父系による相続が弱いから、女性の未婚既婚呼称の区別がないと言えるかもしれません)

近代は、相続が前近代より重視されません。
そして、フランスでは第一子に限れば未婚の母から生まれる方が多いという事態が固定化しています。
できちゃった婚なので、第二子以降は法的婚姻関係から生まれた子どもという形をとる、というわけです。
あるいは、何人産んでも未婚で過ごして痛痒のない社会ができあがっている、ということです。
その結果、女性が未婚か既婚か区別する社会的な必要性が薄れた、あるいはなくなってしまった。
もっといえば、赤ん坊を抱いている女性を「マドモワゼル」と呼ぶことへの違和感が臨界に達した。

「マドモワゼル」廃止は言語が現実の後追いをしたということだと理解しています。
ドイツで「フロイライン」が禁止されたという話は聞きませんが(わたしが知らないだけかもしれない)、とんと目や耳にしなくなったとは感じています。

(こうした言葉にときめきを感じると告白してしまった方がたは、けっこう無自覚マッチョなのよ)










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