[CML 015178] グランサコネ通信―120223

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2012年 2月 23日 (木) 17:06:36 JST


前田 朗です。
2月23日

グランサコネ通信―120223

連日、昼間は快晴が続きます。数日前に少し雨が降りましたが、あとは好天気で
す。例年、この時期は雨や曇りの日が多いのですが、今年は気分爽快。

1)	NGOサイドイベント

2月21日昼休み、国連欧州本部の会議室を借りてNGOサイドイベント「人民
の平和への権利――日本の貢献」を開催しました。主催はIADL、AEDIDH、
JALISAなど。冒頭にダヴィド・フェルナンデスが昨年12月の日本ツアー
の報告。続いて、日本にファンの多いロベルト・サモラ(コスタリカ、弁護士)
が憲法9条とコスタリカ憲法12条の関係と、平和的生存権を認めたコスタリカ
の裁判所判決を紹介。次に笹本潤(弁護士)が名古屋宣言などを紹介。後藤安子
(関西大学)が環境問題と平和への権利について発言。増田都志美(VAWW 
NETジャパン)が「慰安婦」問題について発言。小林・JALISA事務局員
がJALISAの原発問題の活動を紹介。最後に私が無防備地域宣言運動を紹介。

諮問委員会は、伝統的価値問題、食糧の権利、テロと人質問題の審議を続けてい
ます。

2)	「クラブ<ロシアの四季>」

国連欧州本部で開かれている絵画展です。スルコフ大学で美術を学んだアンナ・
バースタインの作品は艶やか、華やかそのものの花の絵です。ヴィタリ・グバレ
フはていねいな細密画でロシアの風景を描いています。フランスやイタリアで評
価されているようです。エレーナ・ネナスティナの風景画は一見するとどこにで
もあるつまらない風景画なのですが、パリで活躍しているそうで、ソウル現代美
術館にも収蔵されているとか。マリア・サプリキナはロシアの田舎を描き続けて
いるようです。クラブといっても、ロシアの四季の情景を描いている点が共通な
だけで、画風はみな全く違います。

Rue Des Belles-Filles, Cabernet Franc de Geneve,2010.  バナナ、トマト、
アーモンド、カシューナッツ。これだけで幸せになれる得な性格。

3)	CERDヴェトナム政府報告書

人種差別撤廃委員会に提出されたヴェトナム政府報告書(CERD/C/VNM/10-14)に
よると、憲法は平等、差別の禁止を要請しているとのことですが、具体的な該当
条文はないようです。民族間の平等規定は、国籍法、国会選挙法、刑法、刑事訴
訟法、民法、民事訴訟法、労働法、教育法などに明記されています。54の民族
がいるので、当然、平等規定があるということです。選挙法は民族マイノリティ
のためのクォータ制を採用しています。その他、各種の法律に平等規定のあるこ
とが紹介されていますが、包括的な人種差別禁止法はないようです、

4条に関連して、2003年、共産党中央委員会は民族マイノリティ問題に関す
る決定24号を出して、民族問題への対応を重要視しています。刑法では、すべ
ての犯罪者は、性別、民族、信念、宗教、社会階級・地位による差別なしに法の
下に平等であるとされています。刑法87条は、民族的憎悪、差別、隔離、平等
侵害の扇動行為を犯罪化していると書かれていますが、具体的な条文は紹介され
ていません。2011年1月14日、政府は、民族問題に関する決定2011年
5号を出しています。

残念ながら記述が簡略なので詳細が分かりません。人種差別撤廃委員会は、事前
に、刑法87条のもとで人種に関連する差別行為が国内裁判所どのように扱われ
ているのか、統計データを提供してほしいと質問しています(CERD/C/VNM/Q/10-
14)。審査の一部しか聞いていないので、ヴェトナム政府がどう答えたのかわか
りません。

4)	別冊宝島編集部編『世界で広がる脱原発』(宝島社新書、2011年)

イタリア、ドイツ、アメリカ、台湾、韓国、中国、ロシア・東欧、EU諸国で、
福島第一原発事故がどう報道されたか、さらに原発推進と脱原発がどう扱われて
いるかを、分担執筆しています。執筆者は、それぞれの地域に在住している、ま
たは在住経験のある人がほとんどで、地元のニュースをもとに書いています。
たとえば、ドイツの脱原発政策について、日本では「ドイツは脱原発などと言っ
ているが、実はフランスから電力を輸入している」と茶々入れをしています。本
書では、「昨年度の実績では、ドイツに輸出するより、ドイツから輸入している
電力量のほうが多いとは、驚くべき事実である。・・・世の中ではまるでドイツ
が原発を廃止し、不足分はフランスの原発産電力に一方的に頼るみたいに思われ
ているが、実情はそれほど単純ではない。ドイツの電力生産が減って、ドイツか
ら今までのように電力輸入ができなくて困るのはフランスのほうなのである」
(197〜198頁)としています。このあたりを数頁読むだけでも、定価本体
700円の価値があります。

5)	大島堅一・除本理史『原発事故の被害と補償――フクシマと「人間の復興」』
(大月書店、2012年)

 『再生可能エネルギーの政治経済学』『原発のコスト』の大島さんと、『環境
被害の責任と費用負担』の除本さんの共著です。といっても、除本さんの本は読
んでいませんが。オビには「東電の責任逃れを許してはならない  被害の「全
面補償」とエネルギー政策の転換へ  子どもたちの今、そして未来のために」
と書かれています。コンパクトですぐ読める本ですが、事故による深刻な被害を
どのようにとらえて理解し、責任を明らかにし、全面補償を実現するべきか、視
点が明快で、いい本です。原発事故が地域をいかに引き裂いたのか、被害構造を
しっかり理解する必要があります。被害構造への想像力を欠いたインチキ科学論
議がいかに堕落したものであるかがよくわかります。
法律論は、日弁連の『原発事故と私たちの権利』(明石書店、2012年)があ
りますが、この2冊を合わせて読むことで、補償論の骨格はできるでしょう。





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