[CML 015176] Re: 挙証責任(立証責任)は、国および電力会社が…

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2012年 2月 23日 (木) 15:51:43 JST


東京の弁護士の河内謙策さんと東京・立川自衛隊監視テント村の岩下雅裕さんがCML 015135(「IK原発重要情報(79)」
2012年2月21日)とCML 015148(「挙証責任(立証責任)は、国および電力会社が…」2012年2月22日)でそれぞれ伊方原
発・最高裁判決を引用しながら、河内さんは「立証責任は、本来、原告が負うべきもの」という最高裁判決の判示の部分
を強調し、岩下さんは「立証責任は国側にある」とする判示の部分を強調して違う結論を導き出しています。

どちらとも伊方原発・最高裁判決文そのものは明示していませんが、同判決文の当該判示部分は以下のとおりです。

■最高裁判所(第一小法廷)平成 04年10月29日判決(行政判例百選[第四版]癸娃牽鎧件判決〔裁量と専門技術
性/伊方原発訴訟〕)
http://www.hiraoka.rose.ne.jp/C/921029S1.htm

「以上の点を考慮すると、右の原子炉施設の安全性に関する判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟
における裁判所の審理、判断は、原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な調査審議及び判断を
基にしてされた被告行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学技術
水準に照らし右調査審議において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、あるいは当該原子炉施設が右の
具体的審査基準に適合するとした原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の調査審議及び判断の過程に看過し
難い過誤、欠落があり、被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、被告行政庁の右判断に不
合理な点があるものとして右判断に基づく原子炉設置許可処分は違法と解すべきである。

原子炉設置許可処分についての右取消訴訟においては、右処分が前記のような性質を有することにかんがみると、被
告行政庁がした右判断に不合理な点があることの主張、立証責任は、本来、原告が負うべきものと解されるが、当該
原子炉施設の安全審査に関する資料をすべて被告行政庁の側が保持していることなどの点を考慮すると、被告行政庁
の側において、まず、その依拠した前記の具体的審査基準並びに調査審議及び判断の過程等、被告行政庁の判断に
不合理な点のないことを相当の根拠、資料に基づき主張、立証する必要があり、被告行政庁が右主張、立証を尽くさな
い場合には、被告行政庁がした右判断に不合理な点があることが事実上推認されるものというべきである。」

上記の最高裁判決の判示部分を虚心坦懐に読めば、「立証責任は、本来、原告が負うべきもの」とする最高裁の判示
部分は一般論を述べたものであり、具体論の場面、すなわち、原子炉設置許可処分についての取消訴訟などにおいて
はその「立証責任は国側にある」と判示していることは明らかであると思います。

河内さんの立論は、裁判官会同の問題点の指摘など参考にすべき点はもちろんありますが、伊方原発・最高裁判決の
解釈という肝心な点で解釈を誤っており、前提を誤った立論というほかないように思います。


東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/

-----Original Message----- 
From: yo3only 
Sent: Wednesday, February 22, 2012 10:15 AM 
To: 市民のML 
Subject: [CML 015148] Re: 挙証責任(立証責任)は、国および電力会社が… 


立川の岩下です。
以下の議論はいろいろ参考になりますが、論点がずれているとともに、
議論の前提が事実に則していないように思われます。

_脇發気鵑諒絃呂蓮引用されている範囲では(私は河内さんの投稿
はあまり読みません)、裁判官会同における最高裁事務局による
裁判官への「しばり」を論じているように思われます
吉田さんは、伊方原発・最高裁判決が立証責任が民衆側にあるとした
ことがとんでもないと言われているようです
0吠原発・最高裁判決(私はオリジナルを読んでいるわけではあり
ませんが・・・)では、以下の通り立証責任は国側にあると論じています。

「被告行政庁がした右判断(原子炉設置許可処分のこと)に不合理な点
があることの主張、立証責任は・・・、当該原子炉施設の安全審査に関
する資料すべてを被告行政庁が保持していることなどの点を考慮すると、
被告行政庁の側において、まず、その依拠した前記の具体的審査基準
並びに調査審議及び判断の過程等、被告行政庁の判断に不合理な点
のないことを相当の根拠、資料に基づき主張、立証する必要があり、
被告行政庁が右主張、立証を尽くさない場合には、被告行政庁がした
右判断に不合理な点があることが事実上確認される」(・・・ので設置許可
処分は取り消されるべき)

以上は海渡雄一『原発訴訟』(岩波新書)からの孫引き(P17)です。
この本はとても良いので、お勧めします。河内さんの最高裁事務局の
動きについてのコメントも、この本の「孫引きではないか」と思われる
ほどです。



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