[CML 014766] <テント日誌 2/3(金)>

Kimura-m kimura-m at ba2.so-net.ne.jp
2012年 2月 4日 (土) 16:00:13 JST


<テント日誌 2/3(金)>
    テントひろばの盆踊り 「かんしょ踊り」を円陣となって
      ―― 経産省前テントひろば 146日目 ――

 午前5時頃、テクノ・ミュージックの大音響で登場し、湘南ナンバーの軽自動車の天井であぐらをかいて、大声でどなり散らしている壮年の男。どうやら酒場での口論でうるさいと警察に通報され、抵抗したところ、警官に組伏せられ、地べたに顔面を押し付けられ、署に連行された。命が危ないと思って、逃げた……などと供述している。神奈川県警をよくふりきったものだ。結局、消防車、救急車、紺の警察ワゴン、回転灯をきらめかすパトカー、覆面警察車、派出所の警官用自転車……ほぼ一ダースになんなんとする警官隊。そして、一時間後、錯乱男は、おとなしく、ストレッチャーに横たわり、救急車に収容された。
一時間半ほどの朝の怪事件だった。
 Iさんは、ほとんどは、官庁街の事務所内の清掃に駆けつける通行人に、あいそよく「おはようございます」と声をかけるのを忘れない。そして、テントは「平常」にもどった。そう、これは、あの命こそが宝なんだという灯台でもあったのだ。
 
 誰もいなくなるような時間、受付担当が来る前、まず、出勤前の看護婦さんが、またしてもあれこれのスナックを届けてくれる。ついでではなく、わざわざ遠回りしてである。「ご飯持ってこれないでごめんね!」看護婦さんになるひとというのは、凄まじい献身のひとだなあ! と嘆声を洩らし、頭が下がる。 
 読書中の『福島からあなたへ』に目を落とす。「放射能の見えない壁に囲まれるこどもたちを救いたい」そんな一行に目を凝らしていると、テントのキャンバスがガサガサ動く。「おはようございます」受付署名の人が来た。誰かな? 目をあげると、執筆者の武藤類子さん、そのひとだ。「夢か!」 ヨンデイタラ、キテクレタ!
 インターネット・テレビ OUR PLANET TVの取材チームが来た。「テントまだありますね! よかった!」そして、茨城の谷田部さんが、明るい調子で「おはよう!」と告げて第二テントへ。お鍋を洗って帰って来たTさんがカメラの周りを通って帰って来た。これは私の仕事だったのに! 大変なおみやげを持ってテントに一泊し、ほとんど、熟睡せず、働き続けるTさん。
 最近、表面的にしろ、警察なども、テントが、悪意に満ちた犯罪から最も遠い「善意」で建っていることがわかってきたのではないか。これは、こうした人人のテントを守ろうとする自然な振る舞い、人柄から察せられるものにちがいない。命令はこうした共感を消す。

 女性たちの今日のイベントは、ワークショップ「かんしょ踊り(会津磐梯山古式踊り)」だった。あの執筆者の武藤さんが踊って見せる。みんな輪になって学ぶ。「福島からあなたへ」〔青木書店〕のなかにも踊りについての断章がある。今日はまた別のお話が聞けた。「この踊りの激しさ、強さ、集団で繰り返す迫力が、為政者をおびえさせ、いろいろな干渉がされてきました。が、いまでも、この踊りは、何世紀もの風雪に耐えて生き残っています。(これが福島の本当の力でしょう)……」
 テント前広場での盆踊り、自治警戒のTさんをあわてさせる場面もなく、警察官はいっさいあらわれなかった。(私服がいたかな)
 「全国の女たち世話人」の谷田部さんはじめ、50人ほどの中で、男性は、おとこではなく、みんなと呼ばれる。女性たちと手をつなぐときに傍らの女性が魅惑的な声で、「みんな」に「ごめんなさいね」とささやかれた。「みんな」は「光栄です」と応えた。切り裂くような凍て風に、一瞬、春の光翳を見、懐かしいぬくもりを感じる。
 昔、バレーや舞踏を見ていたころ、ロシアの少数民族出身のプリマは「ことばを使えなくさせられれば、踊りで表現するしかない」とか、パリのエトワルは「人間が生まれて最初にすることは、踊りよ」とか、アイヌ舞踊の踊り手は「これは、見る人へのものではなく、カムイへの踊りなんです」とかとか、思い出した。歴史的闘争は文化的なものであるほど、残され伝わる可能性は、良い悪いは別にして、高い。倫理的美的知的向上心に触れることは一回性の人生にとって至福。中上健次はそれを物語といったのかもしれない。
 たんぽぽ舎で活躍中の福島出身のTSさんは、「踊りは苦手なんだよね」といいながら、やはり結構なお姿でありました。テントで生きていれば、天真爛漫になれる!
 
 戦争の歴史は戦争否定の歴史だった。死人にくちなしならば、なんとしてでも生きて、伝えねばならぬことを生きている人に伝えねばならない。歴史とはいまだ! 世界の大海を周遊して、老いつかれた鮭鱒の大群が出生の原点へ、上流へ向かって、重力に逆行するように、遡上してゆく、そうした力のあるものが、次世代を継承する。平和史観なしに未来は無い。テントはそのようにある。「笑って殺す馬鹿もいる」なんて、この広場では信じられない。未来は編み出されねばならない、みんなと女と・・・なぜなら、あるべき社会はまだない
からだろう。
                                     (Q記)

★「全国からのたより」

◎寒い中ご苦労さまです。
 特に何も出来ませんが、応援だけはしていますので、お身体大切に頑張ってください。 

 この寒さを乗り切れば春はもうまじかです。
 時間が出来れば伺いたいと思います。          (男性) 



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