[CML 021795] Re: 「政治の劣化と選挙制度」

Maeda Akira maeda at zokei.ac.jp
2012年 12月 26日 (水) 11:02:57 JST


前田 朗です。

12月26日

紅林さん

ご意見ありがとうございます。なるほど、と思います。

ご存じの通り、公職選挙法の規制に対する批判はずっと以前からありました。戸
別訪問の禁止なども代表例で す。

公職選挙法の根本問題は、選挙の主体が政府当局となっていることです。その部
分から考え直さないと、議論 がどんどんズレて行きます。

国民主権のもとでの選挙は、主権者たる国民の意思表示ですから、選挙の主体も
国民でなければなりません (ここではとりあえず日本国籍の有権者を前提とし
て、外国人選挙権のことには触れません)。「参政権」という言葉自体が、「す
でにあ るものにあとから、横から参加するイメージ」につながっているかもし
れません。

にもかかわらず、公職選挙法は政府当局を主体として位置付けていて、国民は公
的サービスの受益者にすぎな いことになっているのです。

他方、ご指摘の大政党のCMは、資本主義の論理がストレートにまかり通ってい
る例です。アメリカ大統領選 挙がその典型です。

国家の論理と資本主義の論理で組み立てられた選挙ですから、上から決めた規制
だらけになるのは当然です。

なお、水島朝穂さんもそうした現状を批判してきたと思います。今回の水島さん
の文章はそうしたことを主題 としていないだけです。

ただし、私は、今回の選挙に関して特に規制が問題だと主張するのは、橋下徹流
の身勝手極まりないご都合主 義に乗せられている、とも感じています。


> 紅林進です。
>
> 前田朗さんがご紹介していただきました水島朝穂氏(早稲田大学教授、
> 憲法学)のホームページに載っている「今週の『直言』」の昨日12月24日
> 付の「直言」に「政治の劣化と選挙制度――2012年総選挙2012年12月
> 24日」ですが、私も今回の総選挙の問題、小選挙区制の問題を的確に
> 指摘した論考だと思います。
>
> http://www.asaho.com/jpn/index.html
> http://www.asaho.com/jpn/bkno/2012/1224.html
>
> 但し水島朝穂氏のこの「直言」で、「特に今回は死票が劇的に出た。小選
> 挙区に投じられた5962万票の53%が死票になった。民主党に投じられた
> 票(1359万票)の82.5%、共産党票(470万票)の100%が死票になった。
> 共産党の場合、泡沫級の候補者を林立させたため、供託金没収点(有効
> 投票の10%)まで届かず、数億円の供託金を没収される。」と述べていま
> すが、「泡沫級」という言い方で、「数億円の供託金を没収」を正当化しか
> ねない言い方はいただけないと思います。
>
> 「供託金」や「憲法第44条」について触れながら、「供託金制度」しかも特に
> 高額な日本の現行の「供託金制度」が、「憲法第44条」の「両議院の議員
> 及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、
> 社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。」
> という規定の「財産又は収入によつて差別してはならない。」ということを
> 事実上侵していることには触れていませんが、それは問題で、日本の異常
> に高額な「供託金制度」は、事実上、貧乏人や資金力のない政党から立候
> 補する権理(被選挙権)を奪う、あるいは困難にするものであり、「選挙権」
> については、財産や収入によって差別・制限する「制限選挙」は撤廃され、
> 「普通選挙」が実現しているものの、「被選挙権」については、依然、事実上
> の「制限選挙」が続いている違憲状態だと私は思います。米国でも、かつて
> 「供託金制度」があったが、「法の下の平等」に反するという違憲訴訟が起こ
> され、違憲と判断され、廃止された(要確認)とも聞きますが、「供託金制度」
> は廃止ないし低額化すべきだと私は思います。
>
> ところで私は今回の都知事選挙で宇都宮けんじ候補の支援で勝手連的に
> 少し選挙活動に関わったのですが、そこで非常に感じたのが、これはいけ
> ない、あれはいけないというがんじがらめの公職選挙法の規定です。これ
> では、市民の自由な政治参加、選挙活動参加を阻害するものに他ならない
> ものだと痛感しました。候補者や支援者のホームページやブログの更新も
> 公示日以降の選挙期間に入ると更新できなくなったり、ML等で呼びかける
> こともできなくなる等の選挙活動におけるネット活用の規制は、解禁される
> との話も出ていますが、ネット上だけでなく、文書配布についても、理不尽
> な規制が多過ぎます。公示日以降は法定ビラ以外は配布できなくなる上に、
> 候補者の名前や写真を載せられる法定ビラは、枚数制限がある上、一枚
> 一枚証紙を貼った上で配らなければならず、候補者の演説している周りで
> しか配布できず、一方もう一つの法定ビラである確認団体ビラ(政策ビラ)
> には、候補者の名前も写真も載せられず、いったい誰の政策なのかすら、
> わからないというような、まったく意味のない規制、規制のための規制が
> 長年続けられてきています。一方で資金力のある政党は、テレビコマー
> シャルや全国紙への全面広告をバンバン打っています。安倍晋三につ
> いての本の宣伝も立て続けに載せていました。本来、規制すべきなのは、
> 市民の自由な選挙活動、政治活動ではなく、このように資金力にものを
> 言わせたテレビコマーシャルや全国紙への大々的な選挙広告ではない
> でしょうか。
>
> 小選挙区制の問題点は今回の選挙であまりにも矛盾が明らかになった
> ため、マスコミでもようやく取り上げられるようになりましたが、「供託金
> 制度」と「公職選挙法」の問題も非常に問題であり、国会でもほとんど
> 問題にされていないことも、それ自体も問題だと思います。現在の議員、
> 当選した議員は現行の選挙制度で当選してきているので、彼らの多数
> にとっては、手を付けたくないのでしょうが、それではいけません。 
>
>
>
>
>



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