[CML 021771] 選挙に見る加点主義と減点主義

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2012年 12月 24日 (月) 19:51:48 JST


2012年12月16日投開票の東京都知事選挙や総選挙では大衆の加点主義と左翼の減点主義という印象を強く受けた。もともと石原慎太郎という欠点の多い政治家が都知事として支持された要因は欠点を認識しつつも、それも含めて、そのユニークさに魅力を感じる有権者が多かったためである(林田力「都知事選出馬の渡辺美樹・ワタミ会長の経営の評価」PJニュース2011年2月21日)。減点主義ではなく、加点主義で評価していた。 

猪瀬氏の圧勝も延長線上にある。保守派としての顔も改革派としての顔も持つ。アンチ石原でも改革派的側面に期待して猪瀬氏に投票する。アンチ石原が石原都政で副知事を務め、石原氏に後継者として指名された猪瀬氏に投票することは奇妙に見えるが、それが加点主義の発想である。 

これに対して左翼は減点主義に固執する傾向がある。誰々の脱原発は真の脱原発ではない的な内ゲバ体質がある。被災地瓦礫焼却を容認する主催者の脱原発デモへの不参加を呼び掛ける放射脳カルトが最たるものである。 
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減点主義を怖れて失速した政党が日本未来の党である。小沢一郎氏の不人気がダメージになることを恐れ、小沢氏は前に出なかった。しかし、小沢氏の存在を無視して未来の党を語ることはできない。隠せば隠すほど白々しくなる。嘉田由紀子・滋賀県知事と小沢氏の二枚看板にし、時には二人が別々の発言をするような乱れがあった方が国民の関心は集まる。日本維新の会は石原慎太郎氏と橋下徹氏のギャップが野合と批判されながら、そのバトルが興味を惹いた。 

価値観の多様化した現代において一つの性格だけで圧倒的支持は得られない。加点主義で評価されるならば様々な顔を持った方が有利である。自民党の圧勝も戦後政治を彩る長い歴史からの様々な顔のお陰である。今の自民党は高度経済成長を牽引した自民党から離れているが、当時は良かったとの懐かしさからの自民党支持も少なくない。 

反対に民主党はTPPや消費税増税賛成で候補者を締め付け、党の性格を自ら狭めて、凋落した。今の民主党も日本未来の党も、政権獲得時の民主党に比べれば思想は純化されているが、それが党の魅力を奪っている。 

ステレオタイプな民族社会論では減点主義は「けなしの文化」という特殊日本的性格を反映したものである。特殊日本的性格の悪い面が、実は左派に見られることは皮肉な真実である。若年層の右傾化も全共闘世代のノスタルジアで運営される左翼の保守性への幻滅も一因である(林田力「ネット右翼は東京都青少年健全育成 条例で目を覚ませ」PJニュース2010年12月20日)。 

一方で大衆の加点主義は人間評価としては結構であるが、それが普遍的なものかが問題である。政治家のような権力者には加点主義で好意的に評価しながら、目下の者には減点主義を使うような二重基準があるならば決して好ましいことではない。
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林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』
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