[CML 021763] 市民派から見た共産党の評価

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2012年 12月 24日 (月) 12:18:11 JST


東京都知事選挙及び衆議院議員選挙(2012年12月16日)の状況を踏まえて市民派と共産党の連携の進化を期待する。市民派には市民派には非共産を結集軸とする傾向があることは事実であるが、以下の理由から好ましくない。 

第一に共産党が市民派有数の勢力であるとの現実を直視する必要がある。社会党系が凋落した現在、もはや共産党は少数の過激派ではない(林田力「世田谷区長選挙結果と反共意識の是非」PJニュース2011年5月2日)。 

第二に地方レベルで対抗勢力となっている共産党の実績である。共産党の主張する通り、地方議会レベルではオール与党対共産党という構図が大半である。国政レベルの対立軸だけを持ってきても、地方の実情には合わない。 

『東急不動産だまし売り裁判』著者として、各地のマンション反対運動や再開発反対運動の話を聴くことがあるが、取り上げてくれることは共産党の議員だけという紛争もある。これが実態であって、ノスタルジアから社共共闘を叫んでも無意味である。 

第三に左翼世界の中で共産党の主義主張が相対的に中庸になったことである。これは前衛党を目指す共産党自身には嬉しくない評価かもしれないが、市民派のパートナーとしては安心感がある。 

日本社会の行き詰まりの中で左翼世界には珍説奇説が飛び出している。珍説奇説の最たるものは放射能汚染デマを流す放射能カルトである。「自民党が徴兵制を施行する」などのデマゴギーもtwitterで散見される。この種のデマは良識的・穏健な市民派には逆効果になる(林田力「放射脳カルトと一線を画す保坂区政の脱原発」真相JAPAN第115号、2012年9月7日)。それらに比べると現実の生活課題から政策を述べる共産党がまともになる。 

科学の発展を信奉する共産主義のイデオロギーは、本質的な意味での脱原発の障害になると批判されることがある。「原発は現在の科学技術水準で制御できないから反対」という考え方は「制御できるならば原発を推進してもいい」という考えに至るためである。しかし、科学主義は放射能カルトの非科学的なデマへの防波堤にはなっている。 

市民派との共闘は共産党にとっても意味のあることである。共産党独自候補の得票は毎回減少しており、退潮傾向にあるためである。2009年総選挙の比例表の得票率は7.03%であったが、2012年総選挙では6.12%となり、議席を減らせた。議席倍増という公約は果たせなかった。 

共産党はほとんどの小選挙区に候補者を立てるという勝算を度外視した戦略を採った。これは共産党内部の論理では一応の合理性がある。小選挙区候補者の選挙活動を通して比例票を底上げする戦略である。実際、共産党の選挙活動では選挙カーでもビラでも比例重視の構成で、小選挙区にはリソースをかけない傾向が見られた。 

しかし、選挙結果は上記戦略の誤りを明らかにした。小選挙区の得票数が約470万票に対し、比例代表の得票数は約360万票である。100万人近くが小選挙区では共産党候補に投票したが、比例代表では共産党に投票しなかったことになる。共産党にとって皮肉な結果である。 
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前回総選挙での共産党の小選挙区の得票率は4.22%であったが、今回は7.87%に大幅増になっている。共産党以外の政党支持者が小選挙区では共産党に投票した人が増えている。これは共産党アレルギーを持つ人が減っていることを意味する。小選挙区での選挙協力の必然性は高まっている。 

問題は共産党中央に問題意識があるかということである。今回の選挙結果は目標不達成であるが、第三極報道で完全に埋没した中では健闘した部類に入る。未来の党というライバルが期待外れの結果に終わったことから、「確かな野党」の独自路線を継続するという結論も十分に考えられる。 

市民派から共産党への協力の仕方も難しい。共産党が求めている協力は結局のところ、機関紙を購読し、党員になることである。これは市民が求める緩やかな政治参加とは異なる。そのような市民に対しては一点共同という形で、共産党の政策の中で賛成できる部分を共同するという形になる。共産党から歩み寄るという姿勢が見えず、市民派が共産党に抱くネガティブイメージを払拭できない状況である。共産党の変化の有無に注目していきたい。


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