[CML 021589] 宇都宮けんじ選挙戦の分析と総括 棄権者がやはり多数

石垣敏夫 motoei at jcom.home.ne.jp
2012年 12月 16日 (日) 23:17:06 JST


みなさん林田さん
お世話様
都知事選。
国政と同時選挙となり、
支援体制ができなかったこと、
脱原発がマスコミに消され、
焦点化できなかったことが
大きいと思います。
野田首相が、消費税で自公との約束を守り、
主権者との約束を守らない醜態を見せ、
自公支持者、猪瀬支持者が選挙に足を運び、
若者は政治不信で棄権、
投票率が50%程度では、民意による
自公の返り咲きとは言えないでしょう。
しかし、これが日本の現実です。
原発再稼動を巡って新たな闘いがおき、
自民党のいう景気対策で、また非正規雇用等の
過酷な労働、反貧困の闘いが激化するでしょう。
それと、私たちはメールを見ていますが、
投票に出かける圧倒的多数はメールを見ない人たち
だということの認識も必要だと思いました。
       石垣

Subject: [CML 021587] 宇都宮けんじ選挙戦の分析と総括

石原慎太郎氏の辞職に伴う東京都知事選が2012年12月16日、投開票され、猪瀬直樹・前副知事が初当選を果たした。勝手連「人にやさしい街づくりをめざし、宇都宮さんを応援する会」呼びかけ人にとって残念な結果となった。以下で私的な分析と総括を行う。

第一に政策の浸透が十分ではなかったことである。宇都宮陣営では告示直前に完成度の高い「人にやさしい東京をつくる会 政策集」が作られたが、全てをビラや演説で盛り込むことは物 
理的に不可能である。ビラや演説では内容をチョイスすることになる。公職選挙法の規制が恨めしい。

第二にチョイスした結果が福祉予算・教育予算充実というバラマキ中心の傾向になったことである。宇都宮氏は美濃部革新都政と重ね合わされるが、美濃部都政は財政破綻というマイナス評価が下されている。財源手当てなしのバラマキ中心では美濃部都政の二の舞という悪印象を与えてしまう。

実際は政策集で財源について考慮している。以下のように大型開発の見直しで財源を捻出する。

「都心部の大規模開発を抑制し、環境重視・生活重視のまちづくりを進めます」

「無駄な公共事業からの撤退の制度づくりを進めます」

「道路予算を削減し、生活保障のための緊急財源へと振り替えます」

この点を前面に出せば納得する有権者も多いものと予想される。実際、石原都政に否定的な人でも「何だかんだいっても石原都政は財政を立て直した」と評価する声は強い。それに対して「その石原都政が開発案件では無駄遣いをしている」と指摘し、その無駄を改める政策と説明できる。石原都政批判と財源担保の一石二鳥の説明になる。このような説明で個人的には効果をあげたが、宇都宮陣営全体の主張傾向はバラマキ側に傾斜していた。

石原都政を通じて福祉や教育分野は削りに削られ、関係者の怒りや苦しみは大きく蓄積してために、まずは予算を取り戻すという点を強調する必要があったと推測する。しかし、それだけでは無党派的な市民層には既得権益擁護に映ってしまう。
http://hayariki.net/8/16.htm
第三に「人にやさしい都政」を掲げた宇都宮陣営は敵にもやさしい存在であったことである。大型開発事業への大量の税金投入という石原都政の問題点への批攻撃を中心に組み立てることもできた。それは財源の説明のためにも必要なことであった。

開発中止は決して後ろ向きの政策ではなく、強い破壊力を持っている。それは青島幸男氏が都知事選で公約に掲げた世界都市博中止が示している。また、民主党の公約「コンクリートから人へ」はコンクリートという悪者を作って、その悪者との対決姿勢を示したから絶大な支持を得た。

宇都宮氏はキックオフ集会では「悪く言う人はいない」「対立する人を同意させる魅力がある」と紹介された。その宇都宮氏の姿勢からすると、批判を前面に出すのではなく、多くの人が歓迎する「希望の政策」を前面に出して賛成を広げるスタンスかもしれない。

しかし、そのスタンスは問題との対決を望む立場からは物足りなさがある。「悪く言う人はいない」は素晴らしい人徳であるが、債務整理や住まいの貧困問題に取り組む弁護士ならばサラ金業者やゼロゼロ物件業者からは蛇蝎のように嫌われても不思議ではない。逆に嫌われていなければ多重債務者やゼロゼロ物件被害者は不安になる。

第四に脱原発だけが争点ではないということである。これは前回の選挙で小池晃候補の票が伸びなかったことが示している。しかも、前回と異なり、脱原発票を完全に取り込めたかも疑わしい。今回の相手はバリバリの原発推進派の石原氏ではなく、東京電力に意見し、電力自由化への方向性も見せる猪瀬氏である。脱原発派で猪瀬氏を投票することも十分に考えられる。

猪瀬氏も11月24日にTwitterで「脱原発の皆さん、新宿と原宿の中間あたりから発信されると思われる個人攻撃に惑わされないようご注意ください」と呼びかけている。脱原発派を呼びかけ対象にし、その分断を図っている。

第五に脱原発派を完全に取り込むために放射脳カルト的な主張に傾斜する傾向が見られたことである。宇都宮氏は東京を変えるキックオフ集会(11月14日)で被災地瓦礫の広域処理は「住民の意見を聴く」との慎重な回答で、ナイーブな放射脳カルトとは異なる見識を示した。

質問した山本太郎氏は「住民」が誰を指すのか理解できず、被災地の住民かと聞き返す一幕もあった。これは瓦礫焼却反対を叫ぶ放射脳カルトには焼却炉周辺住民が意識の外にあることを示している。焼却炉周辺では日常生活のゴミの焼却に反対する運動があることも知らず、被災地瓦礫だけを特別視して暴れている。「住民の意見を聴く」との宇都宮氏の回答は、住民の意見を聴かずにトップダウンで決めた石原都政だけでなく、放射脳カルトの独善性への批判にもなる。

その後は公約で瓦礫焼却の凍結や都内各地の放射能汚染状況の調査を掲げるようになった。これは差別化になるが、一方で放射能カルト的と同じような主張になると良識派市民が離反する(林田力「放射脳カルトと一線を画す保坂区政の脱原発」真相JAPAN第115号、2012年9月7日)。

最終日の12月16日に有楽町での候補者演説でも都内各地のホットスポットの調査と除染を強調したが、放射能の危険性を真に受けている人は雨の中を映画鑑賞で外出しない。放射能汚染の強調は脱原発集会などでは効果があるかもしれないが、場所によっては逆効果になる。

最後に、ここで書いたことは「あれか、これか」のトレードオフの問題である。宇都宮陣営の選択によって失ったものもあるが、それをしなければ別のものを失った可能性もある。陣営は制限された状況の中で最善を尽くしており、その活動に感謝と敬意を表したい。
-- 
林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』
http://www.hayariki.net/
http://hayariki.zero-yen.com/ 



CML メーリングリストの案内