[CML 021588] 東京都知事に猪瀬直樹氏が当選

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2012年 12月 16日 (日) 22:53:14 JST


石原慎太郎氏の辞職に伴う東京都知事選が2012年12月16日、投開票され、猪瀬直樹・前副知事が初当選を果たした。勝手連「人にやさしい街づくりをめざし、宇都宮さんを応援する会」呼びかけ人にとって残念な結果となったが、猪瀬副知事の石原都政にも肯定できる要素はある。以下の実績を評価している。 

第一に石原都政は東急不動産だまし売り裁判において東急不動産に行政指導を実施している(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』「東急不動産の遅過ぎたお詫び」)。 

第二に石原都政はグリーンウッド(吉野敏和)などの悪質なゼロゼロ物件業者を宅地建物取引業法違反で業務停止処分にしている(東京都都市整備局「宅地建物取引業者に対する行政処分について」2010年6月8日)。 

これらは消費者の立場では「もっと悪徳業者に厳しい対応を」と言いたいところであるものの、行政の現状を踏まえれば一定の評価は可能である。東京都は脱法ハーブの危険性への積極的な注意喚起をするなど生活行政面では積極性が見られる。 

これに対して大型開発という構造的な問題は硬直的である。ここは猪瀬氏の作家としての良心に期待したい。ミハイル・ゴルバチョフもソ連共産党書記長になる前からペレストロイカを唱えていた訳ではない。公共事業などの構造的な腐敗に対して知事となって初めてできることもあるはずである。 

猪瀬氏の注目すべき思想として田園都市Garden Cityの理解である。首都圏で田園都市と言えば東急田園都市が有名であるが、猪瀬氏によれば東急田園都市は東急電鉄が田園都市の理念を歪曲したものとする。その上で東急に乗っ取られる前の田園都市の理想は少子高齢化時代に価値があるとする。 

「ハワードの構想は自己完結できる機能を持った街ではなかったのだろうか。しかし、渋沢秀雄がつくった田園調布は郊外からの通勤スタイルに変わってしまう。詳細は省くが、田園都市株式会社が東急電鉄の創業者五島慶太に乗っ取られてしまったからだ。……だが、田園都市の理想は、少子高齢化時代のいま、徒歩圏内で病院や市役所に行けるエリアに集約する「コンパクトシティ」という都市モデルにも通じている。」(猪瀬直樹「田園都市づくりの理想、散る〜第一生命、大井事業所の本社機構を東京へ移転」日経BPネット2008/06/11) 
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これは現在の都政問題の一つである二子玉川東地区再開発とも重なる。二子玉川再開発は二子玉川駅前に大きな公園ができる計画であったが、世田谷区と東急電鉄の密約によって超高層ビル乱立の二子玉川ライズに変質してしまった(林田力『二子玉川ライズ反対運動』)。 

しかし、二子玉川ライズを正当化する広域生活拠点という考え方は「少子高齢化時代のいま、徒歩圏内で病院や市役所に行けるエリアに集約する『コンパクトシティ』という都市モデル」からは時代遅れである。現実に二子玉川ライズは徒歩生活を困難にしている。ビル風によって高齢者の徒歩通行が困難になる。周辺商店街が寂れて、買い物難民も発生している。 

「コンパクトシティ」という言葉は開発推進の正当化材料としても使われるために要注意であるが、「徒歩圏内」を強調する猪瀬氏の文脈では二子玉川ライズ的な広域生活拠点とは相反するものである。コンパクトシティ研究会でも東急電鉄の田園都市が時代遅れの街づくりとして取り上げられている。 

「東急電鉄は田園都市線をやってきてこれが今赤字になってきたのです。この理由は田園都市線の界隈につくったニュータウンの人たちが高齢化してきて、東京の中心部に通勤しなくなってしまったからです。さらに、息子たちの通学がなくなってしまう」(北原啓司「都市交通・公共交通について」第5回コンパクトシティ研究会、仙台市太白区文化センター、2006年1月19日)。 

猪瀬都政によって街づくりを徒歩生活重視のコンパクトシティに転換することを期待する。
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林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』
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