[CML 019474] 封印されたフジタの戦争画

donko at ac.csf.ne.jp donko at ac.csf.ne.jp
2012年 8月 25日 (土) 11:01:32 JST


 坂井貴司です。
 転送・転載歓迎。
 
 明治維新以後、日本はあらゆる分野で西洋近代文明の導入に全力を注ぎました。
 
 絵画の分野もそうでした。必死になって油絵を学びました。文明国として欧米
に認められるためには必要との思いからでした。また、新しい芸術を学ぶという
喜びもありました。
 
 その甲斐あって、黒田清輝や青木繁、坂本繁二郎など今でも高く評価される画
家が多くの作品を描きました。
 
 しかし、高く評価されるのは日本国内だけのことであって、本家の欧米では
「極東の島国の猿に似た連中が、猿マネで油絵のようなものを描いている」と無
視されていました。
 
 その中で例外的に欧米の絵画愛好家たちから熱狂的に受け入れられ、日本でも
人気を得た画家がいました。
 
 藤田嗣治です。
 
 「芸術の都パリで成功したい!」
 
と留学ではなく、画家としての成功を夢見て、フランスに渡り、猛勉強を重ね、
艱難辛苦の末、画商たちが絵を奪い合う人気者になりました。

 成功の秘訣は日本画の技法である墨で輪郭を描き、鉛白で彩色した「乳白色の
肌」でした。現在でも再現が不可能とされる高度な技法を苦難の末油絵に活かし
た藤田は、世界の芸術の首都だった1920年代のパリで、スターとして拍手喝
采を受けました。日本でも彼は人気者になりました。
 
 しかし、第二次世界大戦が始まると藤田は日本に帰国。

 「私は絵筆を持った兵士であります」
 
と宣言し、自ら進んで戦争画を描きました。冷たい美しさに満ちていた「乳白色
の肌」を捨て、藤田は一心不乱に壮絶な戦場の絵を描きました。その絵は他の画
家たちが描いた戦争画とともに全国で開催された「聖戦美術展」に展示され、熱
狂的な人気を得ました。

 その中でも「藤田の最高傑作」と評されるのは『アッツ島玉砕』と『サイパン
玉砕の図』でした。あまりの凄惨な描写に軍の御用評論家から「戦意高揚になら
ない」と非難されるほどでした。その批判にもかかわらず、この作品を観た人々
は感動の涙を流して賞賛しました。
 
 太平洋戦争が終わると藤田は一転して罵声を浴びせられました。戦争協力者、
軍部の御用画家、ファシスト芸術家と轟々たる非難を、共に戦争画を描いた他の
画家たちから受け、戦犯画家の烙印を押されて日本画壇から追放されました。藤
田はフランスに渡り、フランス国籍を取得してレオナール・フジタとなって再び
「乳白色の肌」の画を描き続けました。そしてフランス人として生涯を閉じまし
た。
 
 戦後70年が経とうとする今でも日本近代画壇のタブーとして封印されてきた藤
田嗣治の戦争画を、NHK教育の「日曜美術館」が放送します。
 
 NHK教育
 
 日曜美術館
 
 「藤田嗣治 玉砕の戦争画」
 http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2012/0826/index.html
 
 放送日:8月26日
 
 放送時間:9時〜10時
  再放送:20時〜21時
  
  
坂井貴司
福岡県
E-Mail:donko at ac.csf.ne.jp
======================================
「郵政民営化は構造改革の本丸」(小泉純一郎前首相)
その現実がここに書かれています・
『伝送便』
http://densobin.ubin-net.jp/
私も編集委員をしています(^^;)
定期購読をお願いします!
購読料は送料込みで1年間4320円です。


CML メーリングリストの案内