[CML 019370] Re: 従軍慰安婦と統一教会

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2012年 8月 20日 (月) 00:19:10 JST


前田 朗です。
8月19日

熊田さん
小林さん

ご苦労様です。

基本的に小林さんと同じ立場の私ですが、改めて少し考えてみました。

アジア女性基金が失敗に終わったことは、基金関係者も認めるところです。ただ
し、彼らは、「無理解な反対派が妨害したためにうまくいかなかった。これによ
って被害者の希望が砕かれた」という趣旨の難癖をつけています。日本政府も、
国連人権委員会で「日本政府がきちんと対応したのに、無理解な被害女性が受け
取らなかったのだ」と切り捨てるような発言をしていました。

私の理解では、アジア女性基金には、例えば、次のような難点がありました。
・日本政府が責任逃れのためにごまかしのアジア女性基金を始めたこと。
・被害者、被害者団体、被害者支援団体を無視して、一方的に基金を立ち上げた
こと。
・被害者・被害者団体を分断させ、対立をあおったこと。
・国連人権委員会などの多数の勧告を無視したこと。
・韓国、台湾、フィリピンのみを対象として他を排除したこと。
・国内における民間基金の立ち上げを妨げたこと。

それにもかかわらず、熊田さんが民間基金と書かれているので、おやっ、と思い、
小林さんの投稿に納得しました。

しかし、もしかすると、熊田さんの提起には、アジア女性基金とは違う形の、民
間基金を、国家賠償とは別に(あるいは並行して)進めるべきだった、というこ
とも含まれるのかなと考えてみました。

1990年代半ば、そうした動きはありました。ファン・ボーベン報告書、IC
J報告書、クマラスワミ報告書によって、国家賠償の必要性が明らかになっても、
同時に民間基金をという動きはありました。

その中にもいろいろな流れがあったと思います。たとえば、ある有名フェミニス
トは「国民の教育と反省の意味がある。国民が一人500円、コーヒー1杯の募
金をすれば・・・」といった発言をしていたのを覚えています。こういう考えで
はダメです。

他方で、「国家賠償ができるまでの間、せめて私たち市民の気持ちを表すために」
という意見も多数ありました。

実際には、日本政府がこれらの声を巧みに取り込んでアジア女性基金を立ち上げ
たために、「国家賠償はない。ニセのアジア女性基金が動く。そのため民間基金
の可能性が奪われてしまった」という結果になりました。

どこかの時点で、国家賠償とは別に、民間基金を立ち上げる可能性は、ないわけ
ではなかったのに、と思います。(もちろん、個別には努力されてきた方が多数
います。全国的、組織横断的にはできなかったのですが)

熊田さんは「日本の国益」とおっしゃるので、なかなか難しいかなと私は思いま
すが、市民社会の側で独自の動きをつくることはできたはず、と反省しています。

2007年に、アメリカ、カナダ、オランダ、EUで決議が相次いだときにも、
アジア女性基金とは違う形で何ができるかを考えた人たちがいたのですが、結局、
何をやっても「第2アジア女性基金」と受け取られかねない困難が残されていた
ように思います。同じ時期に頑張った地方自治体決議の運動は、打開策を求めて
のことでした。


----- Original Message -----
> 熊田 様
> 
> 札幌の小林と申します。
> 
> 私は、ご提案の「『従軍慰安婦問題』についても、民間の賠償基金を設置し」
との解決方向では
> 「慰安婦」問題は解決にならないと考えますので、一言申し上げたいと考え投
稿させていただきます。
> 
> 「慰安婦」問題は、日本政府と日本軍による戦時下の人権侵害問題であり、未
だ解決されていない問題です。
> その解決には、被害者の声に耳を傾け、その求めに応じることが解決のために
は必要と考えます。
> 被害者の求めていることは、日本政府がその事実を認定し、その責任を認め、
謝罪し賠償することです。
> そして、真相究明、再発防止、歴史の継承の施策を実行するこを求めていると
思われます。
> 
> したがって、「慰安婦」問題の解決は、日本政府が、被害者に受け容れられる
解決策をどのように考えるかに
> かかっています。
> 
> 日本政府は、サンフランシスコ条約と日韓請求権協定で「法的に解決済み」な
ので「人道的立場で解決」するとしていますが、
> 日韓請求権協定で解決したのは、政府が繰返し国会で答弁している通り、実態
的財産権(即ち、経済的補償)の関する
> 外交保護権の相互放棄であって、人権侵害や違法行為などの損害賠償は未解決
のままになっています。
> 
> ですから、「慰安婦」問題の解決には、日本政府がまず責任を認め、謝罪し賠
償することが必要であり、そのことが無かった
> 「女性のためのアジア平和国民基金」では解決できなかったものと考えていま
す。
> 
> 熊田さんの、歴史教育の徹底は、日本社会が「慰安婦」問題を解決のために絶
対的にひつようなことですが、
> 政府の責任をあいまいにしたままの解決策は、解決に至らないものとかんがえ
られますので、
> ご注意を喚起いたしたく、一言申し上げさせていただきました。
> 
> ******************************
> 小林久公
> pc mail: q-ko at sea.plala.or.jp
> 携帯電話 090-2070-4423
> FAX  011-596-5848
> 住所 061-2273 札幌市南区豊滝442-90
> 
> --------------------------------------------------
> From: "熊田一雄" <k-kumata at y3.dion.ne.jp>
> Sent: Saturday, August 18, 2012 4:00 PM
> To: "市民のML" <cml at list.jca.apc.org>
> Subject: [CML 019330] 従軍慰安婦と統一教会
> 
> | 熊田と申します。
> | いつも情報を提供していただき、ありがとうございます。
> |
> |  統一教会による日本における霊感商法の被害総額は、被害届けがあっただ
けでも、過去25年間で約1100億円にのぼるそうです。
> |  私は愛国者ですがプラグマティストですので、「従軍慰安婦問題」につい
ても、民間の賠償基金を設置し、歴史教育を徹底した方が、長期的には、イメー
ジ戦略も考慮すれば、日本の国益になると思います。
> |
> | 「ポストコロニアル時代における統一教会問題」 
> 
> | http://d.hatena.ne.jp/kkumata/20120307/p2
> |
> | 熊田一雄(愛知学院大学文学部宗教文化学科准教授)
> | はてなダイアリー http://d.hatena.ne.jp/kkumata/
> |
> | 
> 
> 




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