[CML 019294] 【負債による支配】 借金と人権・民主主義 「市場経済のルール」と人びとの基本的人権(生存権、生活権)が対立・矛盾した場合には、基本的人権が優先される。

uchitomi makoto muchitomi at hotmail.com
2012年 8月 16日 (木) 16:44:26 JST


借金と人権・民主主義
http://blogs.yahoo.co.jp/tessai2005/64913629.html 

>この時代(1980年代以降――引用者)の特徴は金融システムの肥大化です。金融機関の収益が増し、社会を支配し始めます。この「金融化」が財政危機を引き起こし、深刻化させました。 
>(EUの)この緊縮策は、貸し手や銀行の保護を目的としたものと言えます。(C・ラパヴィツァス)

>支払う義務は誰にもありません。金融市場の腐敗のせいで生じた債務ですからね。(S・アミン)

>不道徳な債務を返済するのは、不道徳なことです。(E・トゥーサン)

「市場経済のルール」と人びとの基本的人権(生存権、生活権)が対立・矛盾した場合には、基本的人権が優先される。「市場経済のルール」と人びとの自己決定権(民主主義)が対立・矛盾した場合には、人びとの自己決定権(民主主義)が優先される。――これが、人類の歴史の99%の伝統であり慣習であり倫理であった。

ほんらいのエコノミー(元来の意味はオイコス[家]の経営術、つまり、人びとのサブシステンスの術であった)は「モラルエコノミー」を意味していたのである。

※不当債務(Odious debt)
http://www.jubileeusa.org/truth-about-debt/dont-owe-wont-pay/the-concept-of-odious-debt.html

「不当債務」とは、法律的に確立された原則である。政府が(政府高官の)個人的な目的のためや、国民を抑圧するために「国の名において借りた金」を使った場合には、この「借金」は「不当」なものとみなされる。さらに、政府の「借りた金」が国民の利益に反するかたちで使われた場合、「貸した側」がそのことを承知して貸したのであれば、「貸した側」は国民に対して敵対行為をはたらいたということができるだろう。このような国の債務に対し、債権者は法律的に債権を主張し、「貸した金」を回収することができない。国民は借金を返済する義務はないのだ。



http://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=qKpxPo-lInk

Debtocracy(debt「借金」とcracy「支配」を組み合わせた造語)とは、2011年にKaterina Kitidi と Aris Hatzistefanouによって制作されたドキュメンタリー映画である。この映画は二つの点に焦点を当てている。すなわち、(1)2010年以来のギリシア危機の原因、(2)ギリシア政府が考慮に入れていない、債務危機に対する将来の解決策の可能性。この映画は「クリエーティヴ・コモンズ3.0」(注1)のライセンスによって、2011年4月6日以来、オンラインで公開されている(注2)。リリース後の五日間で五十万人が視聴したと言われている。期間限定(12月14日(水)午前0時まで)だが、「BS世界のドキュメンタリー」(NHK)で日本語版の全編を視聴することができる(注3)。

(注1)http://en.wikipedia.org/wiki/Creative_Commons_licenses

(注2)http://www.debtocracy.gr/indexen.html
http://www.imdb.com/title/tt1890383/

(注3)日本語版の映像はこちら。http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/111107.html
NHKの日本語版には一部省略がある。この省略によって映画がだいぶ「温和」になってしまっている。元の映画はもっとラディカルな主張をしている。英語版とじっくり比較して見ることを、お薦めする。

NHKがカットした部分(例)。
However, the decision is basically political, not financial. Even if the debt was legitimate, no government has the right to to kill its people in order to satisfy its leaders...
The debt is a result of class struggle...
Respect is gained through struggle, not by obeying one's creditors. Look at Tunisia and Egypt. Only when the people take action can the situation really change...

Debtocracyはネット上で注目を集め、さまざまな議論を呼んでいる(注4)

(注4)http://en.wikipedia.org/wiki/Debtocracy

NHKのサイト(担当者メモ)によると、この映画の生い立ちは次のとおり。

>この作品は市民から寄付を募り、約85万円という低予算で制作。最初はウェブ上で発表されましたが、金融関連報道で「豚」呼ばわりされたギリシャ、スペイン、ポルトガルなどの民衆の共感を集め、難しい経済の話ながら各地で上映されました。番組の中で熱弁を振るうラパヴィツァス教授は、東京で暮らした経験があり、日本の金融システムが研究テーマの一つという親日家でもあります。

NHKによる作品紹介(タイトルは、「ギリシャ 財政破綻への処方箋~監査に立ち上がる市民たち~」)

ギリシャの債務問題が、欧州のみならず全世界に深刻な影響を与えるのではと懸念されている。IMFの主導による従来の解決策では立ち行かないと考える専門家や有識者のインタビューをもとに、ギリシャ経済再建への新たな処方箋を模索する動きを伝える。

番組は、ギリシャの債務増加の歴史をたどると共に、EU内でドイツのような勝ち組と、PIIGSと蔑まれる周辺国の競争力に大きな格差が生まれた理由を説明する。

また、アルゼンチンの前例から、IMFによる緊縮財政の推進は、銀行や大企業の借金を国民に付け替えるものだと指摘。一方、石油収入が債務返済に消えていたエクアドルは、IMFと決別。国の借金のうち国民の恩恵につながらず、役人や貸し手の利益に資しただけのものについて、返済停止を宣言したことによる成果を紹介する。

ギリシャでも、さまざまな社会団体、ジャーナリスト、知識人、芸術家など多方面から一般市民が集まり、不当債務をあぶりだすための監査委員会が発足。その活動を描く。



この映画で取り上げられているのが「不当債務(Odious debt)」という概念である(注5) 。

(注5)http://en.wikipedia.org/wiki/Odious_debt

1927年にアレクサンダー・サック(Alexander Nahum Sack)という法律学者が提唱した概念で、

① 政府が国民の認識と承認なしに融資を受けた場合 
② その融資が国民の利益にならない活動に使われた場合 
 貸し手がこの状況を知っていたにもかかわらず見て見ぬふりをした場合

の3条件を満たす場合国家は「不当債務」として返済を拒否できるとする。  

19世紀末、米国はスペインとの戦争(米西戦争1898年)によってキューバを保護国にした際に、同様の理屈によって400年間にわたるスペインの植民地支配時代のキューバに対する累積した膨大な借金の返済を拒否している。この史実がOdious debtという概念の元になっている。


映画では、2002年12月のイラク侵攻計画の中でアメリカ国務省はこの概念を使ってイラクの債務(フランスやロシアからの数十億ドルの武器購入にあてたものなど)を免除しようという計画を立てたものの、この概念を途上国が主張しだすと「パンドラの箱」を開けることになってしまうので、債権国はイラクに対する債務を自主的に80%削減するという「ご都合主義の解決」をしたと指摘している。

Odious debtという概念を使って債務の削減に成功した例としてエクアドルが取り上げられている。エクアドルは石油資源があるにもかかわらず、インフラ投資などにかかる先進国からの融資がふくれあがり、2005年度では国家予算の半分の30~40億ドルを返済にまわす状態だった。しかし、これらの債務は、過去の政権が先進国の企業と癒着して行なったものであり、投資は先進国の企業に発注されて回収され、後には無用の長物と借金だけが残っている。エクアドルの石油輸出代金は債務返済という形で先進国に吸い上げられ、国民には何も残らない(途上国を借金漬けにする手法は「エコノミック・ヒットマン」と言われている――注6)。

(注6)ジョン・パーキンス『エコノミック・ヒットマン――途上国を食い物にするアメリカ』(東洋経済新報社、2007年)
http://www.youtube.com/watch?v=tcgzrhPIs0g&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=zUFWhnvOgJc&feature=related
>大企業が欲しがる石油などの資源を持つ国に目をつけ、世界銀行などから巨額の借金をさせます。その金はインフラを請け負う外国企業の手に落ちます。現地で恩恵に浴するのは特権階級だけで、庶民は電気も車もない。でも、返済不能な借金は残ります。やがて私たちが取り立てに行き「金がないなら石油をよこせ」「国連決議で味方しろ」「米軍基地を作らせろ」と命じる。エクアドルやパナマのように指導者が言うことを聞かない時は、「ジャッカル」が乗り出し暗殺か政権転覆です。それも失敗すると、イラクのように軍隊が派遣される。。。


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