[CML 019123] ヒズブッラー議長: ハサン・ナスルッラーへのアサンジのインタビュー(TUP速報944号より)

Yasuaki Matsumoto y_matsu29 at ybb.ne.jp
2012年 8月 7日 (火) 01:45:01 JST



みなさまへ     (BCCにて) 松元

TUP速報で、ウィキリークスのジュリアン・アサ ン ジがヒズブッラー議長の
ハサン・ナスルッラー氏へインタビューしたものの日本語訳が公開されました。
許可を得て全文紹介さ せていただきます。前書きにもあるように、欧米の情報
に毒されている私たちにとっては、非常に貴重な発言と見解が引き出されてい
ます。

●本速報は、TUPウェブサイト上の以下のURIに掲載されています。
http://www.tup-bulletin.org/modules/contents/index.php?content_id=977

======以下、前書きとも全文転 載======

アサンジと語る「明日の世界」エピ ソード1(TUP速報第2回配信)

ジュリアン・アサンジが監修しホストを務めた連続インタビュー番組 「明日の
世界」は、4月中旬に開始され、7月3日に今期シリーズの幕を閉じた。毎週火曜
日にRT(ロシアの公共放送機関)そ の他のテレビ・ネットワークやユーチュー
ブなどインターネットを介して、多言語、世界規模[注*]で12回のエ ピソード
が放映された。

アサンジ連続インタ ビューの初回を飾ったゲスト、サイェド・ハサン・ナス
ルッラー。彼の名前を聞いてピンと来ない人でも、「ヒズブッ ラー」と聞けば
なんらかのイメージが浮かぶのではないだろうか。それはどんなイメージだろうか。

漠然としたイメージは浮かんでも、ヒズブッラーというグループが何を目指して
いるのか、そのリーダー であるナスルッラーがどのような人物なのか、それを
具体的に知る外国人は多くない。ヒズブッラーがイスラエルに敵視されている以
上、イスラエルは米国政治 経済界に強い影響力を持つことから、西 側諸国や日
本のマスコミで流される情報や印象 はイスラエル寄りになりがちだ。

また、レバノンの文化や社会について無知と思われる筋からの話がまことしやか
に流され、その間違った 情報を元にヒズブッラーやナスルッラーのネガティブ
なイメージが広められていくということがしばしば見受けられ る。このインタ
ビュー中にも出てくる例として、テイクアウトの食事はレバノンでは贅沢品では
なく比較的安価な食 べ物であること、シルクの服は特にイスラム教徒の男性は
好まないことなど、レバノンの文化的背景を知らないと思われる人物 の流した
情報がアメリカ大使館の外交公電として流れている。結果として、ヒズブッラー
に対するレバノンはじめアラブ世界の人々の印象と西側諸国の 人々の平均的な
印象とには、大きなギャップがありそうだ。

以下、その状況を鑑みて、このインタビューの背景理解への助けにな ることを
願い、いくつかの基礎的な、アラブの人々にとっては常識と言える事実を述べる。

まず、ヒズブッラーは、 レバノンで民主的な選挙によって選ばれた国会に議席
を持つ一政党、それも、現 在レバノンで連立政権の一部を形成している主流政
党の一つである。すなわちレバノン民衆の支持を集めている政党 であり、なか
でもリーダーのナスルッラーはレジスタンスの闘士として人々に人気がある。

人気の理由のひとつに、ナスルッラーは常にクリーンで庶民の近くにあり続け、
そして今もそうであることが 挙げられる。これはナスルッラー支持の人もそう
でない人も認めざるを得ない事実であり、汚職が当たり前で自分たち一族の利益
を優先し、権力にしがみつく ことしか考えないアラブの政治家が多い中、際
立った点と言える。

一 例として、ナスルッラーは、自分の息子をレジスタンスの戦士たちと共に前
線へと送り出したことが挙 げられる。多くのアラブのリーダーたちにとって、
自 分の子弟は安全な海外へ留学させたり贅沢させ たりすることが当たり前であ
ることを考えれば、これは稀有な決断である。そ の息子はイスラエル軍に殺さ
れ、かつ遺体を返還してもらえない状況になったが、ナスルッラーは決して自分
の息子だけ有利になるよう遺体返還交渉をするこ とはなかった。あくまで他の
レジスタンスの仲間と同じように扱い、彼らと一緒でなければ自分の息子の遺体
を返し てもらおうとはしなかった。死後息子のことを美化してプロパガンダに
使うこともなかった。

また、ナスルッラーは約束したことは実行する人物 としても名高い。2006
年のイスラエル・レバノン戦争の際、テレビで演説中に海上にいるイスラエル軍
の船 を攻撃すると言い放ち、その直後に生中継で本当に爆撃した。またこの時
の戦争で被害を受けた家々をヒズブッ ラーの責任で新しく再建すると約束し、
それを実行した。レジスタンス活動で父親や夫を失った子どもや未亡人 に対す
る保護も厚い。本来は政府の役割であるべきことながら、現実には政府が何もし
ない中、ヒズブッラーが実行している。

ヒズブッラーのイデオロギーや手法を支持するかしないかは、レバノン人の間で
も意見が分かれる。ヨー ロッパ人の間でも意見が分かれる。最近、ヒズブッ
ラーをテロ組織として指定して欲しいというイスラエルの要求 を、EUが加盟国
間の合意が 得られないとして拒否した。誰がテロリストで誰がそうでないの
か、何を基準に誰がそれを決めるのか。

話し合いによる問題解決や非暴力不服従の考えにより親しみを感じる人ならば、
ヒズブッラーの武器を 使ったレジスタンスに納得できない部分もあるだろう。
ただ、これらの手法が可能であればヒズブッラーは生まれな かったと言っても
過言ではないと筆者は考える。実際、ヒズブッラー率いるレジスタンスが武器を
取るまでに払った犠牲や辛抱の大きさや、レバノン人がイスラ エル から受けて
来た仕打ちに対する国際社会の無視・無関心が語られることは少ない。

ヒズブッラーの手法すべてに 賛成できなくても、いやむしろ理解できない部分
があればあるほど、その 主張に注意深く耳を傾けることに意義があるのではな
いだろうか。レバノン国内においてもアラブ世界においても、彼らがキープレー
ヤーの一つであることは確 かなのだから。

メ ディアの作り話を鵜呑みにするのではなく直接当事者に話を聞きたい、とア
サンジ自身が述べているように、ヒズブッラーとナ スルッラーの素顔に触れる
貴重な機会、日本語情報としては尚更です。書き起こし全文を邦訳してお届けし
ます。

[注:全世界100カ国以上におけるこの番組の対象視聴者は、RT の契約者5億3000
万人。番組放映日には一日中、二時間おきに放送され、インターネッ ト上でも
同時に視聴可能だった。この契約者数には8500万人の米国ケーブル視聴者(タイ
ムワーナー、コムキャスト)が 含まれており、全世界のケーブル・ テレビ視聴
者の25%。放送後1日ほど経つとインターネットでユーチューブに番組全体 が
アップロードされ、この視聴回数は世界各地で少なくとも7億回を超えた。]

RT放送日:2012年5月1日(火)(12回シリーズの第1回)

RTリンク: http://assange.rt.com/nasrallah-episode-one/

ユーチューブ・リンク:http://www.youtube.com/watch?v=GDLXPpooA18

公式リンク:http://worldtomorrow.wikileaks.org/episode-1.html/

(訳注/岡真理、前書き・翻訳/宮地葉月:TUP)

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「The World Tomorrow(明日の世界)」は、世界で最も興味深い人物たちとジュ
リアン・アサンジとの対話をお届けする12回シリーズのインタビュー番組です。
こ の番組は、国内放送局および国際放送機関に対するライセンス供与を 行って
います。お問合わせは配給会社Journeyman Picturesまで電子メール
mark at journeymanpictures.comに てご連絡ください。

**表示-非営 利-改変禁止(CC BY-NC-ND)"CC non-commercial
noderivatives" license


2012年2月[番組ナレーション] :私はジュリアン・アサンジ、ウィキリークスの
編 集長だ。我々は世界の秘密事項を暴いてきたため、権力者たちから攻撃を受
けている。私は現在何の罪状もなしに500日間拘束され ているが、そんなこ
とで我々を止めることはできない。我々は明日の世界を変えることができる革命
的なアイデアを追求する。

今週お 迎えするゲストは、レバノン国内の秘密の場所から参加してもらってい
る。中東で最もたぐい稀な人物の一人で、イスラエルと何度も 戦火を交え、今
シリアをめぐる国際闘争に巻き込まれている人だ。私が知りたいのはこういうこ
とだ。なぜ彼は何百万人もの人々に自 由の戦士と呼ばれ、同時に他の何百万人
にはテロリストと呼ばれているのか。2006年のイスラエル・レバノン戦争以
来、彼が欧米 メディアのインタビューに応えるのはこれが初めてのことだ。彼
が属する政党、ヒズブッラーはレバノンの連立政権のメンバーであ る。その
リーダー、サイェド・ハサン・ナスルッラーをお迎えしよう。

ジュリ アン・アサンジ(以下JA):

準備は いいですか?イスラエルとパレスチナの将来について、あなたのビジョ
ンはどんなものでしょう?ヒスブッラーにとって勝利とは何で すか?それと、
もしその勝利を手にしたら武装解除しますか?

サイェ ド・ハサン・ナスルッラー(以下SHN):

イスラ エルは違法な国家で、他の人々の土地を占領することによって、つま
り、他の人々の土地を強奪することによって建国された国です。 他人の土地を
力ずくで統治し、追い出されたパレスチナ人の虐殺に手を下しましたが、被害者
のパレスチナ人にはイスラム教徒もキリ スト教徒も含まれていました。ですか
ら、正義は・・・正義は十年経とうともパレスチナ人の側にあり、歳月が経った
からといってそ の正義を否定することなどできないのです。もしこれが私の家
だったら・・・(それとも)あなたの家だったら・・・私がそこへ行っ てあな
たの家を力ずくで占拠しても、ただ単に私があなたより強くてその家を占拠し続
ける力があるという理由だけで、その家が50 年や100年経ったら私の家に
なるというわけではないでしょう。それは私があなたの家の所有権を合法的に主
張できる根拠になどな らないのです。少なくとも、これが私たちのイデオロ
ギー的見解であり法的な見解で、パレスチナはパレスチナ人のものだと信じてい
ます。でもイデオロギーと法律、そして政治的な現実を総合して実際の状況に即
して考えると、唯一の解決策は―私たちは誰も殺した くないし、誰にも不正義を
強いたくない、ただ正義を取り戻したいだけです―そうすると、唯一の解決策は
ひとつの国家を作ることだ と思われます。パレスチナの地にイスラム教徒、ユ
ダヤ教徒、キリスト教徒が平和に民主主義的に暮らせる国を。これ以外の解決策
は、どう考えてもうまくいかないし長続きもしないでしょう。

JA:イ スラエルはヒズブッラーがイスラエル市街地に向けてロケット弾を発射
したと言っていますが、本当なんですか?

SHN:過 去ずっと、1948年にパレスチナの地にイスラエル国家が建国されて
以来ずっと、イスラエル軍は市民を砲撃してきました。レバノ ン人市民を、レ
バノンの町々を、レバノンの村々を。1982年から92年のレジスタンス時
代、この10年間のレジスタンスの後、 私たちは反撃し始めたのです。でもそ
れは純粋に、私たちの市民に対するイスラエルの砲撃を止めさせるため、唯一、
そのためだけに 行われたものです。それから1993年になってレジスタンス
勢力とイスラエルの間に間接的な暗黙の了解ができ、それが1996年 に再認
識されたのですが、その了解は双方が市民への砲撃はしないという明確なもので
した。私たちは常々、「あなたたちが我々の村 や町を攻撃しないのであれば、
我々もあなたたちの村や町に攻撃は加えない」と宣言していました。ですからこ
のヒズブッラーの手法 は、レバノン人市民に対する長年の武力攻撃の後に取ら
れたもので、イスラエルによるレバノン人市民の殺戮を食い止めるための抑止
力を働かせる、という目的のみに使われているのです。

JA: レバノンのアメリカ大使館からウィキリークスに流れた情報によると、あな
たはヒズブッラーのメンバーがどんなに汚職にまみれてい るかを知ってショッ
クを受けたそうですね。あなたが「我々はなんて者に成り下がってしまったん
だ」と言ったのは、ヒズブッラーの メンバーたちが、SUV(スポーツ用多目的
車)や大型車を乗り回し、シルクの服を着て、テイクア ウトの食べ物を買った
りしているからだと言われています。これはヒズブッラーが(レジスタンス活動
から)レバノン国内におけ る選挙政治へと主眼を移した当然の帰結でしょうか?

SHN:まずはじめに、この現象について彼らが言っていることは正しくないです
ね。 これは彼らがヒズブッラーの評判をおとしめ、イメージダウンを図るため
の噂のひとつに過ぎません。私たちに対するメディア戦争の 一部なんです。彼
らがヒズブッラーのことを、マフィア組織だとか、世界中で麻薬取引組織を運営
しているとか、そういった噂をして いるのはご存知でしょう。でもこういった
ことは我々の宗教やモラルからしても完全に忌むべきことであって、私たちが戦
うべき項目 のひとつなんですよ。彼らは根拠のない噂をたくさんしますが、私
がまず念を押しておきたいのは、これは正確な情報ではないという ことです。
二つ目に、彼らが最近言及した現象についてですが、これは非常に限られたもの
であって、こういうことが起きる理由とし て、以前はヒズブッラーやその方向
性、イデオロギー、方針を支持していなかった裕福層の中に、今はヒズブッラー
支持の人たちがい るということです。ご存知のように、レバノンのレジスタン
スとヒズブッラーが―そしてヒズブッラーはレジスタンスの主力だったわ けです
が―2000年に南レバノンを解放することに成功した時、それは奇跡のように
思われ、レバノン社会に衝撃を与えました。そ れに、(2006年のイスラエ
ルとの戦争で)ヒズブッラーのように小さな勢力が中東で最も強大な軍隊を相手
に、打ち負かされるこ となく33日間対峙できたなんてどういうことだ、とい
うわけです。ですからレバノン社会にはこの後ヒズブッラー支持に回り始めた
人がいて、彼らの中にはその経済力に見合った裕福な生活をしていた人もいまし
た。この現象がヒズブッラーにも顕著になってきたと 言われますが、それは正
しくありません。私はこれを自信を持って言えますし、私の持ちうる情報からし
てもヒズブッラーに巣食う改 善しなければならない現象というわけではありま
せん。

JA: あなたは、チュニジア、イエメン・・・エジプト、そして他のアラブ諸国の
アラブの春を支持してきたのに、なぜシリアだけはしない んですか。

SHN: それには明白な理由があります。まず、私たちは他のアラブ諸国の内政に
干渉しないことを基本姿勢としていますし、これは常に私た ちのポリシーでし
た。(でも今)とても切実で重大な事態がアラブ世界では展開されていて、誰で
あれ、どんな運動や政党であれ、こ れらの出来事に関して何らかの立場を取ら
ずにいることはできないのです。シリアでは、バッシャール・アル=アサド政権
がレバノン のレジスタンスを支持し、パレスチナ人のレジスタンスを支持して
きたことは誰もが知っています。イスラエルやアメリカの圧力に屈 することが
ない現政権は、パレスチナ人の大義のためには適任です。私たちがシリアに呼び
かけているのは、対話、改革、そして改革 案の実行です。なぜなら、シリア国
内の多様性やシリア情勢のデリケートさを考えると、その他の代案はシリアを内
戦へと追いやるこ とになり、それはまさにアメリカとイスラエルが望んでいる
ことだからです。

JA:サイェド、この週末には100人以上の人々が(シリアの)ホムスで殺され
て、その中には私が1年前に一緒に食事をしたジャーナリストのメアリー・コル
ヴィンも含まれているんです。何の目的もなく国を破 壊するのではなくて、で
きれば改革するほうがずっといい、というあなたの論理は分かります。でもヒズ
ブッラーには、越えてはなら ない一線はあるんですか?例えば10万人が殺さ
れたらとか、百万人が殺されたらとか、ヒズブッラーはいつ、もうこれで十分だ
と声 を上げるんでしょうか。

SHN: そもそもシリアで一連の出来事が起こり始めてからずっと、私たちは(シ
リア政権と)連絡を―コンスタントな連絡をね―取り続けて 来たんです。友人と
してシリアの指導層と話をして、はじめからずっと改革を実行することの重要性
についてお互いにアドバイスし 合って来ました。個人的には、アサド大統領は
抜本的で重要な改革を実行する意志があったと思っているし、私たちがシリアを
信頼す る理由もそこにあったわけです。一度ならず、私は公の場で、これと同
じことをスピーチでも言って来ました。レバノンや他のアラブ 諸国の政治リー
ダーたちとのミーティングでも同じことを言って来ました。それは、アサド大統
領は改革をしたいと思っているし、改 革を―現実的で真摯な改革を―すると私は
信じているというものですが、反政府勢力は話し合いに応じなければなりませ
ん。更に付け 加えましょう―これを言うのは初めてですが― シリア政権との話し
合いを促し、仲裁するために、私たちはシリアの反政府勢力にも連絡を取ったの
です。けれども彼らは話し合いを拒み、その一方ではじめか ら改革と話し合い
に応じる用意のある政権があったわけです。話し合いに応じるつもりもなけれ
ば、どんな改革も受け入れるつもりの ない、政権を打倒することしか頭にない
反対勢力がいるというのは問題です。それから、シリアで起こっている出来事は
片目でなく両 目で見なければなりません。シリアの(反政府)武装勢力は、多
くの民間人を殺しています。

JA: シリア情勢はどういう方向に向かうと思いますか。シリアでの流血を止める
にはどうすればいいんでしょうか。あなたは話し合い、と いうけれど、それを
言うのはとても簡単ですね。シリアで起こっている流血を止めるのに、現実的な
方策はありますか。

SHN: 前の質問の時に言わなかったことがあるので、ここで加えたいことがあり
ます。お金や武器を提供して、シリア国内の戦闘に油を注い でいる国々がある
ことは確かです。アラブの国もあれば非アラブの国もあります。これがひとつ。
確認されているとても重大な問題と しては、アル=カーイダのリーダー、アイ
マン・アル=ザワーヒリー博士が、武器を取ってシリアで戦うよう呼びかけ、
様々な国から シリアへ集まったアル=カーイダ戦士たち、更にそれに続く者た
ち、こういう者たちがシリアを戦場と化そうとしています。ですか ら、武器や
お金を提供している国々は、話し合いのテーブルについて政治的な解決策を目指
そうとしている反政府グループを買収する ことができるのです。これは数日前
にも言ったことですが、アラブ諸国の中にはイスラエルと政治的な対話を今後十
年単位でする用意 をしているところもあるんですよ、イスラエルが今まで中東
でしてきた数々の蛮行にも関わらず、です。でもこれらの国々は、シリア に対
しては一年や二年、いえそれどころか数ヶ月の政治的解決の猶予も与えないんで
す。こんなことは理に叶っていないし、不公平で もあります。

JA: これらの反政府勢力とアサド政権の仲裁をするつもりはありますか。あなた
はアメリカやサウジアラビア、イスラエルの手先ではない と信用されています
が、あなたがアサド政権の手先でもないということを人々は信用すると思います
か。もし彼らが話し合いに応じる ことに合意したら、平和の仲裁役を買いますか。

SHN: ヒズブッラーの30年に渡る経験が、私たちはシリアの友人であり、手先
ではないことを証明しています。レバノン政治において、ヒ ズブッラーとシリ
アの関係があまりよくなかった時期もありました。私たちの間に問題があったの
です。それが今となっては、かつて レバノンにおけるシリアの政治的影響力に
よって利益を得ていた人々が私たちに反対を唱えているわけですが、私たちはか
つてシリア の圧力下にあったのですよ。つまり、私たちは(シリアと)友人な
んです、手先ではなく。シリアの反対勢力自身、そして中東のすべ ての政治勢
力はこのことを知っています。我々は友人なんです。これが第一点。二点目に、
私たちが政治的解決を支持すると言った場 合、その目的を達するためにはあら
ゆる努力や協力を惜しみません。私たちは(反政府の)政党に連絡を取ったと言
いましたが、政権 との話し合いを拒否したのは彼らなのです。ですから、シリ
ア政権と話し合いを持ちたいと思っているあらゆるグループの仲介は喜ん でし
ますが、他の人たちも政治的解決のために努力をして欲しいと言っているのです。

JA: もしあなたがシリアのアサド政権に対して、我々にも限界があるのだと告げ
たら、これら反政府勢力にとってヒズブッラーの役割はよ り信頼できるものに
なると私は思います。ヒズブッラーとしては、シリア政権は何をするのも自由だ
と思っているのでしょうか。それ ともヒズブッラーとしてこれは受け入れられ
ない、ということはあるのでしょうか。

SHN: ええ、もちろんバッシャール・アル=アサド大統領にも一線というものは
あると思いますし、我々のシリアの兄弟たちにだって一線は ありますし、私た
ちはみんなこの一線を守らなければならないと再認識しています。でも問題は戦
闘が続いていて、結果的に一方が引 けばもう一方が前進する、といった具合な
のです。政治的解決策への道が閉ざされている限り、これは続くでしょう。なぜ
なら一方が 引いても、もう一方が前進するだけのことなんですから。

JA: チュニジアはシリア政権をもう政権として認めないと宣言しました。チュニ
ジアはなぜ、このようにシリアと関係を断つような強い態 度を取ったのでしょ
うか。

SHN: チュニス、あるいは他のどこかでなされたこの決定は、不完全な―間違った
とは言いません、不完全なんです―証拠に基づいていたか らだと思います。もち
ろんアラブや欧米諸国の政府に伝わった情報には、間違いや不正確な情報もあり
ました。シリア政権は数週間す れば倒れるだろう、といった情報で、多くがそ
の予測された勝利を分け合う者たちの仲間入りをしたいと思ったのです。それに
私の考 えでは、彼らがこのような態度を取った理由はおそらく、できたばかり
の新しい政府は難しい試練に直面しているので、今は欧米と事 を構えている場
合ではない、とりあえずなだめておいて長いものには巻かれておいた方がよい、
といったものだと思います。

JA: ヒズブッラーは国際的なメディア・ネットワークを作りましたね。米国は国
内でアル=マナールが放送されるのを禁止しているにも関 わらず、自分たちは
言論の自由の砦だと宣言しています。米国政府は、なぜそんなにもアル=マナー
ルを恐れているのだと思います か。

SHN: 米国は、ヒズブッラーはテロリスト組織で、人を殺し、殺害するのだと言
えるようにしておきたいのですが、人々に我々の言うことを 聞かせようとはし
ません。例えば、公正な裁判において、被告は少なくとも自分を弁護する場を与
えられますが、米国政府のやり方だ と、私たちは容疑者扱いされても自分たち
を弁護して世界の人々に私たちの意見を聞いてもらう、という最も基本的な権利
さえ認めら れていないのです。つまり、米国は私たちの声が世界に届くのを阻
止しているのです。

JA: サイェド、戦時中のリーダーとして、あなたはどうやって敵の砲撃を浴びて
いる人々を団結させたんですか。

SHN: 私たちに関して言えば、重要なのは私たちには目的があって、その目的を
明確にしていることでしょう。この目的は人道、モラル、信 仰に基づいたもの
で、愛国的でもあるんです。これに議論の余地はありません。私たちの目的は自
分たちの土地を占領から解放するこ とです。これが本来の、そして真の、そも
そもヒズブッラーが設立された理由であって、レバノン人の間でこれに関する議
論はありま せん。私たちはレバノン政府に入りたいわけでもないし、政治権力
のために争いたいわけでもありません。私たちが最初にレバノン政 府に入閣し
たのは2005年でしたが、それは権力の分け前が欲しかったからではなく、レ
ジスタンスを守るためでした。2000年 に組閣された政府がレジスタンスに
対して間違った態度を取らないように、です。そういう怖れがありましたから
ね。目的、正しい目 的があると、そして私はこの目的を最優先してそのために
は他のすべての対立を避けるようにしているのですが、人々を団結させ、目 的
に向かって協力させることができるのです。そこに到達できる日が来るまで、私
たちはレバノン国内の抗争に巻き込まれないよう最 大限の努力をしています。
レバノンには多くの、本当に多くの重大な議論や意見の違いが存在することは
知っているでしょう。私たち は時として、自分たちの見解を表明することや、
ある立場を取ることすら避けて来ましたが、これも人々とのいざこざに巻き込ま
れな いためです。私たちの最優先項目は、今でも自分たちの土地の解放とイス
ラエルの脅威からレバノンを守ることです。レバノンは今で もその脅威にさら
されていると私たちは考えているからです。

JA: あなたが子どもの頃の話に戻りたいと思うのですが、あなたは八百屋さんの
息子ですね。あなたが子どもの頃、レバノンの家での最初 の思い出というのは
どんなものですか。そして、幼少の頃の思い出があなたの政治思想に影響を及ぼ
しましたか。

SHN: 私が子どもの頃、ごく小さい子どもの頃、私が生まれ育って15年間住ん
だ東ベイルートにある地区は独特の雰囲気がありましたし、 もちろん環境は自
然に人の性格に影響を及ぼします。この地区の特徴のひとつは、貧しい地区だと
いうことでした。私が子どもの頃 は、ここにはイスラーム・シーア派、スンナ
派、キリスト教徒、アルメニア人、クルド人、そしてレバノン人とパレスチナ人
も両方一 緒に住んでいました。私はこの非常に多種多様な人々が混在した環境
で生まれ育ちました。ですから自然にこの環境のおかげで、パレ スチナとパレ
スチナ人が被らなければならなかった不正義に気づき、関心を持つことになりま
した。私の近所のパレスチナ人はみん な、自分たちの故郷、ハイファから、
アッカから、エルサレムから、ラーマッラーから追い出された人たちでしたか
ら、私はごく小さ い時からこの問題について知っていました。これが私が生ま
れ育った環境だったのです。

JA: イスラエルが行っている暗号化と暗号解読について、あなたが言った面白い
ジョークを読みました。私の専門は暗号化で、ウィキリー クスは厳しい監視下
に置かれているので、私にとっては興味深いものでした。このジョークを覚えて
いますか。

SHN: ええ、私が話したのは、シンプルなことがどうやって複雑なことを打ち負
かすか、についてでしたね。例えばレバノンにいたイスラエ ル軍はとても洗練
されたテクノロジーを使っていて、武器であれコミュニケーション手段であれ、
とにかく洗練されていました。逆 に、レジスタンスは民衆によるレジスタンス
ですから、ほとんどの若者たちはただ普通の村の男の子たちで、農場や小さな
町、農業コ ミュニティから来ているのです。彼らは普通のトランシーバーで話
をするのです。何も複雑なことはないし、とても簡単な機械です。 でも彼らは
暗号化して話す時、自分の村や家族の間だけで使われている俗語を使って話すの
です。ですから盗聴機械の向こうでコン ピューターを使って彼らの言葉を暗号
解読しようとしても、その村に長年住んでいないことにはその言葉の意味を探し
当てるのは至難 の業です。例えば彼らはこういう言葉を使うのです―単なる村の
言葉です―鍋とか、ロバとか、村のことわざとか、そう、「鶏のお 父っつぁん」
とか言った類いのものです。イスラエルの諜報機関にもコンピューター解析の専
門家にも、誰が鶏のお父っつぁんなの か、なぜその人が鶏のお父っつぁんと呼
ばれているのか、全く分からないのです。でもこれはウィキリークスの役には立
たないです よ!この方言を(笑)使うのはね!

JA: ここでひとつ、とても挑発的な質問をしたいと思います、でも政治的なもの
じゃないですよ。あなたは米国の覇権主義と戦ってきまし た。アッラー、ある
いは神という観念は、究極的な超権力(スーパーパワー)じゃないんですか。自
由の戦士として、あなたは人々を 全体主義的な概念からも解放するべきなん
じゃないでしょうか、つまり一神教の神から。

SHN: 私たちは全能の神が、この存在の、人間の、そしてすべての生き物の創造
主だと信じています。神が私たちをお造りになった時、私た ちに能力を下さ
り、体を下さり、心理的、精神的な能力も下さいました―私たちはこれを本能と
呼びます。孤立した人々、つまり宗教 的な枠組みから孤立した人々はこの本能
だけ持っているのですが、真実を見極める本能を持っています。彼らは、真実は
よいもので嘘 は悪いものだ、正義はよいもので不正義は悪いものだ、貧しい人
や不正義を受けている人を助けたり彼らを守ったりするのはよいこと で、他の
人を攻撃したり血を流したりするのはひどいことだ、ということは本能で分かり
ます。米国の覇権主義に抵抗すること、占領 に抵抗すること、自分たちに対す
る攻撃に抵抗すること、これらはモラルの問題、本能的な問題、人間的な問題な
のです。

そして 神もこのように望んでおられるのですから、モラルと人間的な理念は天
の法則と合致するのです。なぜならアブラハムの宗教 [訳注] は、心や人間の
本能と矛盾するようなことはひとつもないからです。それは宗教の創造主と人間
の創造主は同じであるため、このふたつは一貫性 があるからです。どこの国へ
行っても、それが例え家であろうと国であろうとリーダーが二人いるのは破滅の
元ですから、何十億 年もの間こんなにも美しい調和の中に存在してきた宇宙
に、神が一人以上いるでしょうか。もし一人以上の神がいたとしたら、宇 宙は
ちりぢりになっていたでしょう。これが証拠です。私たちは誰かに信仰心を強制
するために戦ったりしません。預言者アブラ ハムは、いつも対話と証拠を示す
ことを好みました。そして私たちはみんな、この預言者の教えに従っているのです。

JA: ありがとう、サイェド。

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[訳注] アブラハムの宗教 (Abrahamic religions) :アブラハムに信仰上の起源
を見出すユダヤ教、キ リスト教、イスラームの、いわゆる「 セ ム的一神教」
を指す、比較宗教学上の呼称。ユ ダヤ教では、ユダヤ人はア ブラハムとサラの
息子であるイサクの息子ヤコブ(別名イスラエル)の子孫とされる(他方、アブ
ラハムとエジプト人ハガルの息子イシュマエルの子 孫がアラブ人とされる)。
キ リスト教は、そのユダヤ教の一セクトとして発祥した。ま た、イスラームで
は神の命であれば息子(創 世記ではイサクとされるが、ク ルアーンではイシュ
マエル(イスマーイール)を も殺そうとしたアブラハム(イブラーヒーム)
に、アッラーへの絶対的帰依(=イスラーム)の姿を見出し、イスラームは彼を
「最初のムスリム」と考える。

本速報は、TUPウェブサイト上の以下のURIに掲載されています。
http://www.tup-bulletin.org/modules/contents/index.php?content_id=977

(以上、全文転載終わり)

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