[CML 016160] 震災がれきの広域処理反対論 「島田市の試験焼却結果を考える ~バグフィルターは本当に99.9%取れるのか?~」という解析データのナンセンス性について

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2012年 4月 4日 (水) 17:16:15 JST


「島田市の試験焼却結果を考える ~バグフィルターは本当に99.9%取れるのか?~」(注1)という静岡の市民グループ
(技術研究者主体の市民グループだといいます)の島田市の試験焼却結果の解析データがあれこれのメーリングリスト
で話題になっていますが、この静岡の市民グループの解析データについて先日来私はいくつかのメーリングリストに私と
しての批判的な見解を発信しています。議論の参考としてこちらのメーリングリストにも転載させていただこうと思います。

注1:島田市の試験焼却結果を考える ~バグフィルターは本当に99.9%取れるのか?~ 

http://www.yasuhirok.sakura.ne.jp/Products/Shimadacity_RI_Garbage_Repor_Final.pdf

その前にひとこと。

私の震災がれきの広域処理問題に関する基本的な考え方は、本来、国が明確にするべき放射性廃棄物の集中管理、
がれきの当該地処理という大方針を明確にしない中での震災がれきの広域拡散、また、放射能のさらなる全国的拡散
の恐れのあるいまの焼却炉システムのもとでの各自治体の震災がれきの受け入れ、さらには「セシウム完全シャットア
ウト」型の焼却設備の国としての責任ある検証を怠ったままの震災がれきの焼却処分にはまったく賛成できない、とい
うものです。

が、震災がれきの広域処理反対の論の中には、3・11事故からまもなくして罹患した病気をただ原発被災地の近隣に
住んでいたという理由だけでいたずらに白血病だと断定したり(白血病が顕在化するためには少なくとも5年程度以上
かかるというのが現代医学の知見です)、大量の放射線を一気に浴びない限り生じない鼻血や血便、下痢、湿疹など
の諸症状(これも現代医学の知見です)をすぐに放射能のせいにしたり、あるいは煙草を呑むと放射能にかかるなどと
いうデマ(これもデマでしかないことの論証記事を私は書いています。注2)をまことしやかに拡散したりなどなど不確か
な根拠をもとにいたずらに放射能被害の危険を煽り、そのつくられた危険をもとに震災がれきの広域処理反対論の根
拠にしている論が少なくなく(というよりも圧倒的に)見られますが、そうした一種カルト化したといってもよい広域処理反
対論に接する度に私は今般の脱原発運動の思想的貧困ということを思わざるをえません。 


少し調べればすぐにウソとわかるたぐいのウソをウソともデマとも思わずにただ一途に信じきって拡散し続けている人
たちの端的にいって現代カルト化現象ともいうべき知性の貧困。私たち現代人(大衆)の知性は、「朝鮮人が井戸に毒
を入れ、また放火して回っている」というデマと流言飛語からあの関東大震災の際の朝鮮人虐殺が始まった、という痛
恨の経験からなにごとも学んでいない。あの時代の暗愚の知性から一歩も前進しえていない、ということをつくづく痛感
せざるをえません。これでは人々は脱原発の理念を信用しなくなるだろう。人々を真の脱原発理念とはまったく逆向き
のベクトルの方向に向かわせることにしかならないだろう、と私はこのような現象を激しく憂うるものです。

注2:反原発運動の高まりに乗じたあらたな禁煙ファシズムの論理 「たばこ放射能」説のデマゴギー性について(弊ブ
ログ 2011年10月31日)
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-361.html

さて、以下、転載です。転載は返信の返信を重ねたため3部に分かれます。

(1)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
標題と同様の情報メールは昨日、私の地元のメーリングリストにも流れてきました。

以下、その情報メールの真偽について述べた私の返信メールの要旨です。あなたの情報メールへの疑問の提示に
もなりえていると思いますので転載させていただこうと思います。

なお、私の下記の応信(転載文)と太田さんの標題の問題提起には論点に若干のズレがありますので、その点につ
いては転載文の下に若干のことを追加的に述べておきます。

以下、転載文:

ご呈示の木下黄太氏のブログの「島田市のガレキ焼却でバグフィルターで40%のセシウム137が取れていません」
という断言の真偽について検討してみました。
http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/653ca9bfcb7d861f9ad0bd251af51103

木下氏がそのように断言する根拠となった計算式はこちらにあります。
↓
(1)神奈川を瓦礫から守る会 バグフィルターで99.9%は嘘!島田市実験焼却結果。 

http://blog.livedoor.jp/kanagawamamoru/archives/4758139.html
(2)島田市の試験焼却結果を考える 計算過程の表
http://www.yasuhirok.sakura.ne.jp/Products/Shimadacity_RI_Garbage_Report_Final.pdf

一方その計算式のもととなった島田市そ静岡県の放射能濃度測定結果はこちらにあります。
↓
(3)島田市放射能濃度他測定結果
http://www.city.shimada.shizuoka.jp/mpsdata/web/7576/kekkaichiran.pdf
(4)静岡県 災害廃棄物の試験焼却における放射能濃度測定結果
http://www.pref.shizuoka.jp/kankyou/ka-040/gareki/1-7.html

両者を比較して計算式の妥当性を検討してみましたが、その計算式に用いられている数値及び計算結果の数値
には誤りは認められません。

が、問題は、「ごみピットの323445Bqと原灰の209380Bqの差分はどこへ?」という問題を立てた((2)の4頁)上で
の「ガス・飛灰として出ていく Cs137=343445-6698=336747(336747Bqのセシウム137がガス・飛灰として出ていく )」
(同5頁)という結論部分です。

この結論部分は(3)島田市放射能濃度他測定結果の「試料名:排ガス(1号炉)」「試料名:排ガス(2号炉)」(7頁)
の「煙突 放射性セシウム 不検出(煙突出口部分からはセシウムは検出されなかった)」という表の記述と矛盾し
ますし(島田市の「放射能濃度他測定結果」はウソである、と仮定しない限り)、下記(5)の島田市放射能濃度他
測定結果の考察とも矛盾します。

(5)島田市放射能濃度他測定結果の数値を検討する
http://japan-radiation-21.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-08de.html

(5)の考察は島田市の「公表値は正しい」ということを前提にして考察されています。「意図的に隠していると考え
ると公表値も疑わしくなり」、計算そのものが成り立たないからです。

それでも木下黄太氏が紹介される「静岡グループの技術研究者」と同様に物質収支の計算式を用いて「混焼用
ゴミの放射能量 331,400 Bq でしたから、溶融原灰になった時点で、331,400 - 
268,800 = 62,600 Bq の放射性セシ
ウム(放射能全体の19%程度)が途中で消えてしまったことになります」、と数値は若干異なりますが「静岡グルー
プの技術研究者」とほぼ同様の計算結果を導いています。

しかし、(5)の考察者と(2)の「静岡グループの技術研究者」とでは結論が異なります。(2)の「静岡グループの
技術研究者」の結論は「ガス・飛灰として出ていく Cs137=343445-6698=336747」というものでしたが、(5)の考察
者の結論は「おそらく大半は燃料室以降のボイラ、減温塔、集塵器の内部に付着したのではないでしょうか」と
いうもの。すなわち、「40%のセシウム137がガス・飛灰として大気中に出ていく 」わけではない、というものです。
常識的に見て、私は(5)の考察者の結論の方が正しいと思います。

木下黄太氏の「島田市のガレキ焼却でバグフィルターで40%のセシウム137が取れていません」という言説の流
布は単に危険を煽るだけのガセネタのたぐいである、というのが私の判断です。

(2)
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この件について、あなたは次のように書かれています。

「集塵器入口のCs137は排ガス量を考慮すると、135830Bq(排ガス量17000m^3/hr)、159800Bq(排ガス量20000
m^3/hr)となるが、煙突の検出限界が集塵器入口より高く、集塵器入口の測定値とほとんど変わらないので、最
大で115600Bq(排ガス量17000m^3/hr)、136000Bq(排ガス量20000m^3/hr)が不検出となる。」

しかし、不検出=NDとは測定誤差の3倍以下のことをいいます。つまり、放射能は自然放射線によるバックグラ
ウンドがあるため、何もサンプルを入れなくても測定したら値が出てきます。測定というのは必ず誤差を含むの
で、バックグラウンドを何度も測定して、その測定による測定誤差を求めます。そのバックグラウンドの測定誤差
の3倍を検出限界値、3倍以下をND=不検出といいます。

注:バックグラウンド及び検出限界値、またND=不検出については下記にわかりやすい例が示されています。
http://tsukuba2011.blog60.fc2.com/blog-entry-356.html

その測定誤差の範囲内で正確な値を検出できないからND=不検出といっているところに「煙突の検出限界が
集塵器入口の測定値とほとんど変わらないので」という理由で無理やり集塵器入口の測定値を当てはめるとい
うのはあまりにも乱暴な計算のしかたといわなければならないでしょう。集塵器は文字どおり塵を集めるところで、
この集塵器に高性能の排ガス処理装置(バグフィルター)が備わっていて排煙中の放射性物質をほぼ100%除
去できるといわれている(検証が必要ですが)わけですからこの集塵器通過前の放射能の値から除去率をはじ
き出すというのは乱暴な計算のしかたという以前にナンセンスな計算方法といわなければならないでしょう。

したがって、木下黄太氏の「島田市のガレキ焼却でバグフィルターで40%のセシウム137が取れていません」と
いう言説の流布は単に危険を煽るだけのガセネタのたぐいである、という私の判断はやはり変わりません。

がれきの広域処理反対のためには、正当でそれゆえに説得的な反対理由が必要だと思います。がれき広域
処理反対論であればどのような論でも援用してもよい、ということにはもちろんならないと思います。

(3)
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私が「常識的に見て」と言っているのは2つの点からそう言っています。

第1は島田市が公表している「放射能濃度他測定結果」は「必要なはずの数値が不足している」ということはあ
っても基本的にその公表数値は正しいだろうということを前提にしているということです。地方自治体という公的
機関が誰もが見ることのできる同自治体のホームページ上に明証的に公表しているものです。当然、この公表
数値は専門家の目にもとまるわけですからそこにウソがあればすぐにバレてしまうでしょう。ウソをつくにしても
そういう稚拙なことはまずしないだろうし、できもしないだろうということがあります。測定機関としての 株式会社
静環検査センター及び日本環境衛生センターも信頼のおける測定機関です。そこの測定結果にまずウソや誤
りはないだろうということもあります。だから、焼却施設の1号炉と2号炉の煙突出口部分からはセシウムは検
出されなかったという公表値は真と見てよいだろうというのが私が「常識的に見て」と考える第1の理由です。

第2に田代環境プラザの「溶融処理フロー」図を見れば明らかなように搬入ごみは溶融炉を経て燃料室、ボイ
ラ、減温塔、集塵器という経路をたどって焼却、分解されていきます。この過程でそれぞれの装置の内部に付
着したと見るのが「常識的」な見方というべきであろうということです。
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東本高志@大分
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