[CML 012777] 南スーダンへの自衛隊派遣問題をめぐって(転送)

Yasuaki Matsumoto y_matsu29 at ybb.ne.jp
2011年 10月 25日 (火) 16:47:34 JST


みなさまへ    (BCCにて重複失礼)松元

南スーダンへの自衛隊部隊の派遣は、「自衛隊の海外派兵拡大の動き(イラク派兵、あるいは「海賊対策」を名目とするソマリア沖派兵)の一環にほかならない」と警告している千葉大学・栗田禎子さん(中東現代史研究)の投稿を紹介させていただきます。

=====以下、public-peaceより転送=====

栗田禎子@千葉大です。

南スーダンへの自衛隊部隊の派遣の動きが本格化してきました。 


自衛隊の海外派遣の「実績」をまた一つ増やそうという危険な動きです。

この問題をめぐり、「ふぇみん」という新聞の9月号に書いた原稿を以下に添付しますので、参考資料としてご覧ください。

(その後政府は現地に調査団を送り、「安全なところ」を探し求めた結果、首都ジュバで川港の工事をする、というプランを固めつつあるようですが、それならば逆に、民間組織でも十分にできる活動だということになります。矛盾だらけの派遣であることが明らかになりつつあります。)

栗田

〔以下、資料です。〕

■南スーダンへの自衛隊派遣問題をめぐって   (栗田禎子) 


(はじめに)

 7月9日に「南スーダン」が独立したのに伴い、このアフリカの新国家に展開する予定の国連平和維持活動(PKO)部隊に、日本の自衛隊を参加させようという動きが生じている。この問題をめぐっては、たとえばイラクへの派兵などと比べた場合、アメリカ主導の戦争・占領に加担するわけではなく、国連に協力して新しい「国づくり」を応援する仕事なのだから良いではないか、という印象が強いと思われる。しかし、たとえ国連に協力するという名目であっても、自衛隊の海外派遣という決定を下してしまっていいのだろうか。また、南部スーダンにおけるPKOは本当に、戦争とは無関係な平和的活動なのだろうか。

(火種を抱えた独立)

 南スーダンは、スーダン共和国からの分離独立という形で生まれた国である。スーダン共和国は1989年以来クーデタで成立したバシール政権の支配下にあり、全国民が政治的自由のない生活を強いられるとともに、経済面では特に国内の開発格差が深刻化した。首都ハルツームを初めとする北部に権力と富が集中する一方で、低開発地域(南部、ダルフール地方など)の住民は劣悪な状況に置かれ、異議申し立てを行なおうとすれば武力で弾圧された。このような状況は本来ならスーダン共和国全体の民主化や開発格差の是正によって克服されるべきであり、実際に1990年代には、独裁政権打倒をめざして、北部の市民と、南部等の低開発地域を代表するSPLM(スーダン人民解放運動)が共闘していた。しかしアメリカをはじめとする先進国主体の「国際社会」はスーダン全体の民主化を必ずしも望んでおらず、むしろ南北を分離して、石油資源が豊かな南部を独立させる方向を後押ししたことから、結局は北部の独裁制は温存したまま、南部が分離する結末となった。

 南部独立後も、南北両国家間には、石油やナイルの水資源分配などの難題が山積している。また、境界地域にあるアビエイ地区の帰属をめぐっては南北が依然争っている。さらに北部スーダン内部には、(これまでの南部同様の)低開発状況に置かれ、SPLMの影響力が強い地域(南コルドファーン州等)があり、南コルドファーン州は6月以降、バシール政権と現地のSPLM支持勢力との間の戦争状態に陥っている。

 南スーダン内部にも矛盾は存在する。新政府を形成することになったSPLMは元来は軍事組織なので、民主的政党に脱皮するまでには多くの困難が予想される。石油目当てで進出しつつある外資と結びつく形でSPLMの腐敗や独裁化が進み、これに反発する勢力とのあつれきが生じる可能性、またこれが南部社会の複雑な構造と結びついて「部族紛争」の形をとる危険性もある。

(「南スーダンPKO」の性格)

 このような状況下で展開することになる「南スーダンPKO」は、必然的に、厳しい軍事的緊張を念頭に置いている。今回のPKO発足を定めた国連安保理決議1996は、南スーダンは依然、「国際社会の平和と安全を脅かしかねない状況」にあると規定している。任務内容は「平和の確立」「紛争予防」「法の支配の確立」であり、この中には民主化応援等の政治的任務も含まれるが、根本は、南北国境での監視活動、南部内部の反乱分子対策、武装解除、治安部門創設、といった軍事的任務である。任務遂行過程では市民保護のための武力行使も認められている。また、南北国境での監視活動と関連して、アビエイ、ダルフールなどに展開中の国連部隊とも緊密な連携態勢をとることが定められている。

南スーダンでのPKOはやはりまぎれもなく軍事的活動であり、このような活動に参加することは日本の平和憲法では許されていない。日本政治の文脈で見るならば、今回の動きは客観的には、これまでさまざまな形で追求されてきた、自衛隊の海外派兵拡大の動き(イラク派兵、あるいは「海賊対策」を名目とするソマリア沖派兵)の一環にほかならない。その背後には、海外派兵の「実績」を積み重ねることで、平和憲法をなし崩しにし、最終的には正式の改憲に踏み切って、世界中で(アメリカをはじめとする「国際社会」に伍して)資源目当ての戦争に参加できる国になりたいという、政府や財界の思惑が存在する。遠く離れたスーダンの話、と思わずに、反対していきたい。(了)

 

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パレスチナ連帯・札幌 代表 松元保昭
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